全国的に風疹が流行する中、今年に入ってからの県内の患者数は全国で2番目に多い503人で、前年同期比で100倍超となった。黒岩知事は16日の定例記者会見で、風疹の非常事態を宣言、予防接種費用の助成を行う市町村に対し、総額約1億円の支援を行う方針を明らかにした。
風疹は、免疫を持たない妊婦が感染すると、赤ちゃんに白内障などの影響が出る恐れがある。
県健康危機管理課によると、今年第1週から第14週(2012年12月31日-13年4月7日)に、県に報告された風疹患者数は、横浜市が180人と最多で、次いで川崎市161人、藤沢市33人、相模原市24人などとなっている。総数の503人は、全国でも東京都に次ぐ多さで、2012年に報告された年間患者数(259人)をすでに上回っている。12年の第1週-第14週(12年1月2日-4月8日)の患者数は5人だった。
横浜、川崎、相模原の3政令市は15日、妊娠を希望・予定している女性や、妊娠している女性の夫を対象に予防接種費用の一部を助成すると発表した。だが、政令市以外では助成の動きが鈍いことから、県は支援金を出すことで、各市町村の助成を促す考えだ。
16日の会見で、知事は「患者数の伸びが急激で、早く対応した方がいいと判断した。予防接種は市町村の事業だが、非常事態という危機意識を(市町村に)共有していただきたい」と語った。
県は、妊娠を希望・予定する女性の推計人数などから、助成制度の利用者を全県で計5万6000人と見込んでいる。県の支援金は、市町村の助成金の3分の1とする方針で、県内自治体の行政基盤強化に充てられる「市町村自治基盤強化総合補助金」から約1億円を支出する。
国立感染症研究所によると、今年第1-14週に全国で報告された患者数は3480人で、08年の全国集計開始以来、初めて3000人台に達した。