鳥インフル感染者83人に 中国9市場でウイルス検出
【上海共同】中国衛生当局は17日、鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)感染による死者が1人増え、17人になったと発表した。同日には上海市で1人、浙江省で4人の感染が新たに確認され、中国全体の感染者は計83人になった。
上海の感染者は今月12日に発症した89歳の男性。浙江省で判明したのは37歳の女性1人と41〜86歳の男性3人で、今月8〜14日に発症した。感染は上海、北京の2市と江蘇、浙江、安徽、河南の4省に拡大している。
中国農業省は17日、緊急検査の結果、上海市と江蘇、浙江、安徽3省にある計9カ所の食材市場で採取した家禽(かきん)の計39サンプルから同型ウイルスを検出したと発表した。野鳥については、16日に判明した江蘇省南京市のハトの1件のみ。
中国当局はニワトリなどの生きた鳥を扱う全国約470カ所の食材市場、約30カ所の食肉解体場、約900カ所の家禽飼育場、約80カ所の野鳥の生息地を調査。既に約4万8千サンプルの検査を終えたとしている。
中国政府系研究機関の中国工程院の鍾南山(しょう・なんざん)医師は、ニワトリなどの家禽を飼育する農家が多い農村部ではなく、人口密度が高い都市部に感染地が集中している傾向を指摘した。中国中央テレビに語った。
鍾医師は、都市部は交通も発達し「家禽を(市場に)集め(消費者に)分配する活動が活発だ」と説明。一方で「農村部での飼育は場所が分散しており、感染が比較的少ないのではないか」と述べた。
医療機関の発達が遅れている農村部で、感染状況が表面化していない可能性については言及しなかった。
鳥インフル「限定的な人から人へ」も…中国当局
【北京=竹内誠一郎、広州=吉田健一】中国で拡大中の鳥インフルエンザ(H7N9型)感染問題で、中国疾病予防コントロールセンターの馮子健主任は17日、上海市などで「限定的な人から人への感染」が起きている疑いがあるとの見方を示した。
国家衛生・計画出産委員会の公式微博(中国版ツイッター)が伝えた。
馮主任は、大流行を引き起こす恐れのある一般的な人から人の感染については「今のところ、それを示す根拠はない」とした。世界保健機関(WHO)は、ウイルスに変異がなくても「家族間など濃厚な接触がある条件下では、限定的な感染を起こすことができる」との見解を示している。
香港の人権団体・中国人権民主化運動ニュースセンターは17日、上海市の衛生当局者の話として同型インフルエンザに感染して3月4日に死亡した87歳男性とほぼ同時期に肺炎症状を起こし同市第5人民病院に入院していた息子2人にも感染が確認されたと伝えた。