メタボ症候群の慢性炎症
抑制の仕組み解明 久留米大グループ

 

 メタボリック症候群の人は慢性的な炎症が全身に起き、それが動脈硬化を誘発して脳梗塞や心筋梗塞を招いて寿命が短くなるとされる。この炎症を抑える仕組みの一部を、久留米大学医学部内分泌代謝科の山田研太郎教授らの研究グループが解明したとして、4日付の米国電子ジャーナル「プロスワン」で発表した。

 メタボリック症候群は、タンパク質の一種であるアディポネクチンの血中濃度が低くなる特徴もある。この点に着目しながら研究を実施。小田辺修一臨床研究員らが既に開発していた「長生きネズミ」(アディポネクチンの血中濃度が高くなるように遺伝子を改変したネズミ)を使った動物実験と、細胞培養実験に取り組み、約3年間かけて今回の成果を上げた。

 その内容について、中心メンバーである和田暢彦助教は「アディポネクチンが慢性炎症の抑制に関係があることは予想されていた。今回の実験では、その血中濃度が高くなるほど、体の形成に関与する『ウィントシグナル(タンパク質のネットワーク)』に作用して慢性炎症が抑えられるようになることが分かった」と説明。山田教授は「今回の研究が深まれば、健康寿命を延ばす創薬開発につながる可能性がある」と話す。

2013年7月29日 提供:西日本新聞