アトピー性皮膚炎のかゆみなどの症状を引き起こす化学物質ヒスタミンが、発汗を抑えて皮膚を乾燥させるなどし、病状を悪化させることを大阪大大学院医学系研究科の室田浩之(むろた・ひろゆき)講師(皮膚科)らのチームがマウスを使って突き止め、31日発表した。アレルギー疾患や発汗異常の診療に役立つと期待される。
汗は体温を下げるほか、病原体からの防御や肌の保湿といった重要な役割を持つ。アトピー性皮膚炎の患者では、発汗量が通常の人の約半分になっており、チームは汗をかかないことが悪化の一因と考えた。
チームが、正常なマウスにヒスタミンを投与したところ、汗腺から汗が出なくなり、汗腺を観察すると汗の量が減少。
詳細に調べたところ、ヒスタミンは汗腺で、糖質の合成を妨げていた。糖質は汗の成分の一つで、汗を出すのに必要なエネルギーのもとにもなるため、汗の量自体が減り、汗腺も活発に働かなくなっていた。
室田講師は「汗をかいたら清潔にするよう心掛けてもらいながら、発汗を促す指導も大切」と話している。