妊婦への歯科処置、学会が奨励 【米国産科婦人科学会】
 

歯科受診指導、初回妊婦健診時に

米国産科婦人科学会(ACOG)は7月26日、妊婦に歯科受診を指導するよう産科医に求める勧告を発表した。Obstetrics & Gynecology誌8月号に掲載。

 この勧告は、妊娠中の歯科処置の安全性を懸念する産科医や歯科医および妊婦の疑問に答えたもの。
 妊娠による身体変化は歯肉や歯にも変化を及ぼし、米国の妊婦の約40%は、歯肉炎、虫歯、歯周炎など、何らかの歯科疾患にかかっている。妊娠中の歯周病は、黒人、喫煙者、低所得者に最も多く認められる。多くの州では、妊婦管理に対するメディケイド保険が歯科受診にも適用されるが、妊婦の歯科受診が少ないことが、特に低所得層で問題となっている。

 これに対しACOGは、口腔衛生と他疾患(心疾患、糖尿病、呼吸器感染など)との関連や、虫歯原因菌の母子感染の可能性を指摘。通常の歯面清掃、歯科X線検査、局所麻酔などは妊娠中に行っても安全だとして、初回妊婦健診時に歯科受診を指導し、また妊婦を含む全ての患者に口腔衛生の重要性を伝えるよう、産科婦人科医に促した。

 ACOGは、悪阻や胃逆流を来たした妊婦に制酸薬や重曹水でのうがいを勧めるなど、口腔衛生についての実際的な助言を患者に与えることを奨励している。

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2013年8月6日 提供:米国学会短信