シンポジウム 「認知症」を学ぶ 市民ら400人参加 久留米
久留米 /福岡
認知症の早期発見・早期治療を訴えるシンポジウムが15日、久留米市城南町の市民会館であった。市民ら約400人が参加し、認知症患者との向き合い方や予防などについて、医師や介護指導者らの説明に耳を傾けた。
認知症高齢者支援事業として市が2年に1回、開いている。冒頭、楢原利則市長は「厚労省によると65歳以上の人口の中で4人に1人が認知症と、その予備軍という状況。認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らせる社会構築が重要」と呼び掛けた。
全国認知症グループホーム団体連合会の林田俊弘事務局長が「これって認知症? こんなときどうする?」と題して基調講演。認知症状態にある人の心理を理解することの大切さを挙げ、「認知症の方は自分が間違っているとは感じていない。その真剣さを理解しなければ心の内側には入り込めず、生活を支えることはできない」と訴えた。
また、パネルディスカッションでは久留米大高次脳疾患研究所の森田喜一郎教授が「スクリーニング検査では診断が困難な隠れ認知症について」のテーマで発表。視線が合わない▽身なりや生活態度の乱れ▽仕事のミス――など、認知症初期段階の変化の「気付き」の重要性を指摘した。
市介護福祉サービス事業者協議会による寸劇もあり、認知症の疑いがある際は「一人で悩まず、市役所や地域の民生委員などに相談を」と呼び掛けた。【松尾雅也】
2013年12月16日 提供:毎日新聞社
高次脳機能障害シンポジウム 「知識持ち、諦めずリハビリ」
佐賀
交通事故などの後遺症で、記憶力が低下したり感情制御が難しくなったりする高次脳機能障害者への理解を深めるシンポジウムが15日、佐賀市の佐賀大医学部であった。患者や家族、医療関係者ら約75人が参加し、日常生活や職場で必要な支援について考えた。
家族会「ぷらむ佐賀」と佐賀大学が共同で企画。高次脳機能障害の専門家で、脳梗塞(こうそく)を発症した当事者でもある神戸大大学院客員教授の関啓子さんが講師を務めた。
関さんは2009年に発症した直後の自分の姿や音声を動画や録音で示した。当時抱えた言語障害について「一人で外国に放り出されたようだった。自信を失い消極的になっていた」と振り返った。
リハビリを重ねて回復し、復職も果たした関さんは「知識を持ち、諦めずにリハビリすれば、誰にでも回復は期待できる」とエール。支援者に対しては「対象者の生活を具体的に想像してほしい」と助言した。
講演後、障害者の就労支援に取り組む、県や支援団体の担当者が事例や課題を報告した。【蒔田備憲】