人工多能性幹細胞(iPS細胞)より簡単に短時間で作製でき、
ガン細胞化もすくない?


STAP細胞、サルで実験 米チーム、脊髄損傷に 人間での作製も研究

 細胞に刺激を与えることで、さまざまな種類の細胞に変化できる能力を持たせた新しい万能細胞「STAP細胞」を使い、米ハーバード大のチームが脊髄損傷のサルを治療する研究を始めていることが30日、分かった。人間の細胞を使った作製も研究しているという。

 世界で初めてマウスの細胞で作った理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の小保方晴子(おぼかた・はるこ)研究ユニットリーダーらの共同研究者でハーバード大のチャールズ・バカンティ教授が、共同通信の取材に答えた。

 人工的に脊髄を損傷してまひを起こさせた複数のサルからSTAP細胞を作製し、移植に利用する実験を2011年から始めているという。現在は論文発表の準備をしているため詳細は明らかにできないものの「驚くべき結果が出ている」と話し、回復効果があったと示唆している。

 さらに「最近になって、人間の皮膚にある線維芽細胞からもSTAP細胞を作製してみたが、まだ十分に細胞の性質を明らかにできていない」と述べた。理研も、人間を含む複数種の動物の細胞を使ってSTAP細胞を作ろうと研究を進めている。

 脊髄損傷の治療では、同様の能力を持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使い、慶応大チームがサルの機能回復に成功している。米ジェロン社は胚性幹細胞(ES細胞)を利用し患者を治療する臨床試験を始めたが、経済的理由で撤退した。

 理研チームは昨年、東京女子医大や米チームと共にSTAP細胞の作製方法に関する国際特許を出願していた。小保方さんら7人が発明者だとしている。

 ※STAP細胞

 体のさまざまな細胞になれる万能細胞の一種。マウスの血液に含まれるリンパ球を約30分間、弱い酸性の溶液に浸し、培養して作製した。開発した理化学研究所の小保方晴子(おぼかた・はるこ)・研究ユニットリーダーらが「刺激が引き金となって多能性を獲得した」という意味の英語の頭文字から名付けた。遺伝子を入れて作る人工多能性幹細胞(iPS細胞)より簡単に短時間で作製できる。iPS細胞からは作れない胎盤もできた。人間の細胞で作製できれば、再生医療への応用が期待されるとして研究が進んでいる。


2014年1月31日 提供:共同通信社