さまざまな種類がある「マイクロRNA」という微小物質のうち、たった1種類を導入することで、悪性度の高いがん細胞を良性の細胞に変えることに鳥取大医学部の三浦典正(みうら・のりまさ)准教授のチームが成功し、30日までに英科学誌電子版に発表した。
チームによると、複数種類のマイクロRNAなどを用い、同様の変化を起こした報告はこれまであるが、1種類での成功は初めて。人での効果は未確認だが、研究が進展すれば、抗がん剤治療が難しい末期がんへの応用が期待されるという。
マイクロRNAは微小なリボ核酸。がんの治療に役立つ可能性があることは以前から知られており、チームはこれまでに、がん細胞を良性に変えるマイクロRNAを12個発見。このうち最も強い作用を示すのが「miR―520d」だと突き止めた。
このマイクロRNAを導入すると、腫瘍がない正常な細胞などになり、悪性度の高いがん細胞が正常か良性になった。悪性度が高いほど、短時間で良性に変わった。
チームは、一般的な抗がん剤や放射線治療などとは違う、これまでにない作用の仕方をする医薬品になる可能性がある、としている。
※英科学誌はサイエンティフィック・リポーツ