SFTS 「マダニウイルス」拡大 感染研確認、関東や北海道でも
マダニが媒介する新種の感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」について、国立感染症研究所は25日、これまで患者が報告されていなかった関東、東北、北海道で採取したマダニから原因ウイルスが見つかったと発表した。
調査は、全国26道府県で実施。新たに確認されたのは三重、滋賀、京都、長野、岐阜、栃木、群馬、岩手、宮城、北海道の10道府県で、全国に広がっていることが判明した。
国内では、2013年1月に初の死亡例が確認された。昨年12月までの1年間に西日本の12県で計40人の患者が報告され、うち13人が死亡している。これまでの調査では中部地方まで拡大していることが確認されていた。
SFTSはマダニに刺されることで発症し、高熱や倦怠(けんたい)感、腹痛、嘔吐(おうと)、下痢、意識障害、口の中や消化管の出血などの症状が出る。潜伏期間は6日〜2週間。特効薬はない。
マダニは野山に生息し、血を吸うと体長1センチ以上にふくれあがる。春から秋にかけて活動が活発になるため、厚生労働省は「ウイルスを持つマダニが確認されていない地域でも、山や草むらなどに入るときは、肌を露出しないよう注意してほしい」と呼び掛けている。【須田桃子】
全国に分布 草木の多い場所は注意を
マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」のウイルスが、これまで患者の報告例がある西日本だけでなく、北海道や東北、関東も含む計23道府県で採取されたマダニからも見つかったことが25日、厚生労働省研究班の調査で分かった。
厚労省は「全国に広く分布していると考えられ、草や木の多い場所に入る際は肌を出さないよう注意してほしい」と呼び掛けている。
研究班が26道府県で植物やシカに付着したマダニを調べたところ、これまでに患者が報告されている9県のほか、北海道、岩手、宮城、栃木、群馬、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、和歌山の14道府県でウイルスが確認された。
またシカの血液を調べたところ、患者報告のない宮城、長野、静岡、三重、滋賀、京都、和歌山、福岡の8府県でも、ウイルスの感染歴を示す抗体が確認された。
SFTSはウイルスを持つマダニにかまれることで感染し、発熱や嘔吐(おうと)、下痢などを発症。白血球や血小板の減少もあり、重症化すると死亡することもある。これまでに近畿、中国、四国、九州など、西日本の13県で53人の患者が報告され、うち21人が死亡している。