女性が冷え性になりやすいワケは
人間の体温は、4割以上が筋肉によってつくられます。その筋肉を使うことでエネルギーが生まれ、熱を発生しているのです。でも、男性に比べて筋肉量が少ない女性は、熱を作り出す力が弱いのです。女性に多い脂肪は、外の寒さをブロックする役割をしますが、一度冷えると温まりにくい性質があります。
また、女性ホルモンの分泌は毎月の生理周期に合わせてめまぐるしく変化します。そのために脳の視床下部(自律神経をもコントロールしている脳の組織)が過度の緊張を強いられ、オーバーワークぎみに。その結果、体温調節・血管運動系などの働きを司る自律神経の機能までも低下してしまうことに。
さらに、生理のたびに血液を失う女性は、男性に比べて貧血になりやすい状態。体のすみずみにまで酸素や栄養素が運ばれにくいために熱をうまくつくれません。また、低血圧の人は、血液を全身に送る力が弱く、手先、足先が冷えてしまうことになるのです。
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体をあたためる食品を積極的に摂りましょう |
体を温かく保つのに一番効果的な栄養素は「こたついらず」とも呼ばれるたんぱく質。熱量の30%が体温として使われ、体温のもととなる血液の主原料でもあります。筋肉もたんぱく質からつくられていますから、全体量が増えればたくさんの熱が生まれます。
また、ご飯や砂糖などの糖質は、すぐにエネルギーとなる栄養素ですから、忙しい朝でも欠かせません。朝食をしっかりとって、体をウォーミングアップさせましょう。注意したいのは、生野菜やフルーツ。体を冷やしてしまうので、旬の根野菜などを使った温サラダやスープをたっぷり摂りたいもの。各種ビタミンを配合した、栄養バランスのよいスープをメニューに入れるのも方法です。
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規則正しい生活を心がけて |
体の自然のリズムは、昼間は自律神経のうち交感神経が働いて活発に活動し、夜は副交感神経が働いて休息の体制になります。ところが、夜型生活を送っていると、夜になっても交感神経が休まらず、自律神経のバランスが乱れてきます。その結果、本来交感神経が働いて体温の上がる昼間に体温が上がらず、体が冷えきってしまうことに。
ストレスの多い生活も問題です。副腎からストレスホルモンであるアドレナリンが放出され、血管が緊張するので、血液循環が悪くなります。そして、これが長く続くと神経が緊張を強いられ続け、交感神経ばかりが働きます。自律神経のバランスがくずれてくるので、さらに冷えを増長させます。
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運動で血行を促しましょう |
血液は、ポンプの役割をする心臓から動脈を通って体の隅々まで行き渡ります。その血液を心臓に戻す静脈は、実は筋肉の働きによって行われています。ですから、筋肉が少なく押し戻す力が弱いと血液の流れが滞り、冷えの原因に。この働きをスムーズにするには、日ごろから適度な運動を習慣づけ、しっかりとした筋肉づくりをすることが大切です。
また運動をすると、血流を促そうとして血管が広がります。そこにたくさんの血液が流れることで、血管内の不純物が除去され、新鮮な酸素と栄養を体の隅々まで運ぶことができます。エネルギーもたくさん生まれ、新陳代謝が高まって、寒さに負けない健康的な体をつくることができるのです。
ツボ刺激で体本来の機能を活発に
腰と脚のツボで、下半身を温めましょう。まず、ウエストの下、背骨から左右に指2本分外側の「大腸愈」と、ここから指3本分下の尾骨の両側、「次_」を押します。さらに内くるぶしから指4本上にある「三陰交」を刺激するとより効果的です。ゆっくりと気持ち良く感じるくらいの力で行いましょう。
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イチョウ葉
血流粘度を低下させてサラサラに |
イチョウは生命力が並外れて強く、そのイチョウ葉には、約数十種類以上のフラボノイドが含まれています。これはイチョウが外敵から身を守る、強い殺菌力のある色素で、血液をサラサラにする働きがあります。
また、イチョウ葉にはイチョウ葉だけが持っているギンコライドという有効成分が含まれ、末梢神経を拡張したり、赤血球、血小板の凝集を防ぐ働きをしています。血行がよくなると酸素や栄養素が体の隅々まで運ばれるので、冷えが予防できるのです。
本来イチョウ葉エキスは、欧州では動脈硬化や心臓病など循環器系疾患のトップクラスの医薬品。でも、生のイチョウ葉にはかぶれ成分があるので、これを除去した信頼できるイチョウ葉エキスを摂取しましょう。
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高麗人参
末梢血管を拡張し血行を促します |
高麗人参の学名は「パナックス(万能薬)ジンセン(人参)」。中国などで、古くからその薬効が高く評価されてきました。
その薬理効果のポイントとなるのが、高麗人参に含まれている人参サポニンという配糖体です。
この人参サポニンは、末梢血管を広げて、抵抗を減少させることにより、末梢血管への血液の循環をよくする働きがあるといわれています。
また、善玉コレステロールを増やし、中性脂肪を減らして血液粘度を正常にすることも挙げられます。
最近の研究では、心臓の働きを活発にする強心作用もあるそうです。血液を潤滑に送り出すので循環がスムーズになり、冷えの改善に効果があるといわれています。
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ビタミンE
血行をスムーズにする働きを |
ビタミンEは、老化防止のビタミンといわれていますが、それはビタミンEの持つ抗酸化作用にあります。
老化を引き起こす活性酸素は血管の細胞を傷つけたり、過酸化脂質を増やして血流を妨げます。ここにコレステロールや中性脂肪がたまってしまうと、血液の粘度が増し、血行がさらに悪化します。
ビタミンEの持つ抗酸化作用は、血管壁の細胞を修復し、強化することにあります。コレステロールや中性脂肪が溜まるのを防いで、血流をスムーズに促します。
このビタミンEはストレスやアルコール、喫煙などで激しく消耗します。積極的な健康づくりを目指すなら、ビタミンAを組み合わせたサプリメントで効率よく摂るのがおすすめです。
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鉄分
赤血球の材料となり貧血を防ぎます |
鉄は、日本人の日常食で最も不足しがちなミネラル。その原因には偏食の人が多くなって、鉄分のあるものを食べていない、野菜自体の栄養量が減少したことが挙げられます。
成人の体(体重60kg)にはおよそ5g程度存在し、1日の必要量はおよそ10mg。とくに女性の場合は、生理があるため、より多くの鉄分が消費されます。
摂取した鉄の70%は、赤血球のヘモグロビン(鉄を含む色素たんぱく)に含まれます。このヘモグロビンは、血管内で酸素運搬の働きをして、体の隅々に酸素を供給して各器官の働きを促し、代謝を正常に保つ役割をしています。
貧血を防いで冷えを予防する鉄分は、女性には不可欠の栄養素。日頃からたっぷり補うことが大切です。
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冷え予防は足元から始めましょう |
体の中でも、足首は特に熱が逃げやすく、足先は一番冷えやすいところです。「足が冷えるので眠れない」「ソックスを2枚ばきしている」など深刻な悩みをかかえている女性が多いようです。
冷えには必需品のソックスですが、最近では機能性の高い二重構造のソックスやウォーマーが話題です。外側はあたたかいアクリルとウールで、内側は100%シルク。肌にやさしいばかりでなく、空気を抱え込む性質があるシルクは、厳冬期の登山や極地探検の下着としても愛用されています。また、吸湿、放湿性が高いので、肌がムレずにサラサラです。ソックスとウォーマーの組み合わせもおすすめ。締めつけ感がないものなら、足をあたためながら、着用中もリラックスして過ごせます。
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上質の下着は厚着をするよりあたたかです |
寒い冬は、何枚も厚着をして見た目がモコモコ。女性らしいシルエットの服は着られないと思っていませんか? でも、上質の下着は、素材からデザインまで機能的に設計されているので、1枚プラスするだけで驚くほどの保湿効果があるのです。
今注目されている素材がマイクロファイバーアクリル。ウールに匹敵する保湿性の高さを持ち、ウールに比べて温度が下がりにくいのが特徴です。この素材はなめらかな風合いと、羽のように薄くて軽い着心地でアウターシルエットをくずしません。
化学繊維に弱いという人は、肌側が綿素材のものがおすすめ。二重構造仕上げなら、中心の層に温かい空気がたまるので、冷たい外気から体を守ってくれます。
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冷えを予防する機能性タイツをご存じですか? |
タイツは冬の必需品。ある程度の保湿性を得るには、80デニール相当の厚手のもので、ぴったり足にフィットするゾッキ編みのものを選ぶのがポイントです。
さらにあたたかさという点で考えるなら、一番冷えを感じる爪先とパンティ部分の仕様をチェック。この部分の内側がパイル編みになっているタイプなら、見た目は同じでもあたたかさが格段に違います。パイルが空気をため込んであたたかく包んでくれるので、寒い日でもスカートスタイルが楽しめます。
でも、屋外が寒くても、部屋の中や交通機関では暖房がかなり効いているもの。汗で不快な思いをしないためにも、吸汗加工のものを。汗を素早く吸水、拡散するので、サラサラの着用感がキープできます。
対策11
頑固な冷えには腰下をしっかり温めるインナーボトムを
いろいろな対策をしても治まらないという人は、保湿性が高いインナーボトムを試してみるのも手。裏起毛のものなら、起毛部分に温かい空気がたまるので、抜群の保湿性。さらに吸汗放湿効果も兼ね備えていれば、さらっと快適です。
でも、インナーボトムはガードルとの重ね着で、着膨れやたるみが気になるという人も多いのでは? そこでおすすめなのが、あたたかさとガードルのサポート力を兼ね備えた高機能のインナー。ヒップをしっかり整えて、腹部を抑えるので、着用するだけですっきりした下半身になります。スカートスタイルにはロングタイプ、パンツスタイルやスキーなどにはフルレングスと、アウターに合わせて選びましょう。 |