心筋梗塞や脳卒中、MRIで発見 負担少ない検査法開発
心筋梗塞(こうそく)や脳卒中を引き起こす危険な血管内部のふくらみをMRIで見つける新しい手法を、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)と新古賀病院(福岡県久留米市)の研究チームが開発した。従来のCTでの検査より、放射線や造影剤を使わないために体への負担が少なく、繰り返し実施できるという。
同センターによると、ふくらみはプラークと呼ばれ、脂肪などが血管内部でたまったもの。覆っている膜が破れて脂肪分が血管内に流れ出すと、血管をふさいで血流を止め、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす。
現在はCTを使って検査しているが、放射線で被曝(ひばく)したり、造影剤で吐き気やじんましんなどの副作用が出たりする。そのため、より体への負担が小さい検査方法が求められていた。
研究チームは、呼吸で動く胸部の血管を詳細にMRIで測定する技術を2年がかりで開発。568人の患者にMRI検査を受けてもらって経過を2〜6年間にわたって観察し、プラークの状態と発症との関係を分析。プラークがはっきり見えるほど心筋梗塞などになる患者の割合が高く、検査方法の有効性が確認できたという。
目立った病気がなくても、心筋梗塞になる可能性が高いかどうか検査するのに役立つという。担当した同センターの野口暉夫(てるお)・冠疾患科医長は「病気の発症を予測して、発症を遅らせることができる」と話した。(福島慎吾)
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〈CTとMRI〉 CT(コンピューター断層撮影)は、人体に照射して吸収されずに透過したエックス線をもとに、MRI(磁気共鳴断層撮影)は強い磁場のなかで電磁波を当て、「核磁気共鳴」という現象による信号から体内の様子を画像化する技術。
CTは解像度が高くて細かいところまで見ることができ、検査にかかる時間も短い。MRIは骨に邪魔されなかったり、放射線被曝がなかったりする利点がある。