梅毒、都市部の男性中心に拡大 昨年、21年ぶり千人超


潜伏期が長く、症状も多彩で、気づかないで、感染を広げていく


梅毒、都市部の男性中心に拡大 昨年、21年ぶり千人超

 梅毒の患者が増えている。国立感染症研究所の調べによると、昨年の患者数は1226人で、21年ぶりに1千人を超えた。今年も5月25日までで548人と、昨年を上回るペースで増え続けている。性行為で感染するため、疑いがあれば速やかに医療機関を受診し、感染を広げないよう呼びかけている。

 都道府県別では、東京が172人と最も多く、大阪71人、愛知56人、神奈川36人、千葉20人と都市部で広がっている。患者の約8割が男性で、特に20〜40代を中心に増えている。男性同士の性的接触による感染が多いが、最近は女性にも広がりつつあるという。

 国内の患者数は戦後間もないころは10万人を超えていた。その後、治療薬の普及で減り、2001〜05年は500人台で推移していたが、11年から3年連続で増えている。

 梅毒は感染して2、3週間後に陰部などに潰瘍(かいよう)ができ、2、3カ月後に全身に発疹が出る。その後、数年から数十年して大動脈瘤(りゅう)ができたり、認知症や歩行障害を起こしたりすることがある。妊婦が感染すると、赤ちゃんの手や足の骨が発達しなかったり、目や耳に障害が出たりする。 

 治療にはペニシリンが有効。早期なら2週間ほど薬をのみ続ければ治る。感染研感染症疫学センターの山岸拓也主任研究官は「パートナーとともにできるだけ早く病院を受診してほしい」と話す。(土肥修一)

引用:朝日新聞 2014年6月6日(金)

2014年6月20日更新