「電子たばこ」安全性検証へ 厚労省、規制も検討
味や香りのする溶液を蒸発させて吸う「電子たばこ」について、厚生労働省が健康影響の調査を始める。有害物質が含まれているという指摘があり、厚労省などは今後、調査結果をふまえ規制も含め対応を検討する。現在、ニコチンが入っていても「たばこ」とは必ずしもいえず、未成年の利用も明確に禁じられていない。
厚労省は今後、国内外の研究成果などを調べ、秋から有識者による委員会で安全性を検証する。厚労省は「未成年者への影響などを明らかにし、関係省庁と規制のあり方を検討していきたい」としている。
電子たばこは、吸入器にニコチンや香料などの溶液を入れて電気で加熱し、気化した蒸気を吸う仕組みで、欧米で急速に利用が広がっている。日本では2010年の増税によるたばこの値上げをきっかけに、禁煙グッズとして注目された。国内では10業者以上が製造・販売するが、利用実態ははっきりしない。
国立保健医療科学院の欅田(くぬぎた)尚樹部長らが市販されているニコチンなしの電子たばこの蒸気を調べたところ、がんのリスクを高める有害物質が含まれる銘柄があった。「調査した約4年前よりも製品が多様化しており、さらに調べる必要がある」と指摘する。
現在、電子たばこの法的な位置づけはあいまいだ。財務省はたばこ事業法の「たばこ」にはあたらないとの見解だ。厚労省は10年、ニコチン入りの電子たばこは薬事法上、無承認医薬品にあたるとして、都道府県を通じて販売中止や回収を指導したが、個人輸入している人が多い。ニコチンなしだと規制対象外だ。
未成年の利用について、警察庁は「定義がはっきりせず、未成年者喫煙禁止法違反にあたるのかは個別に判断する」との立場だ。過去に適用したケースは把握していないという。(田内康介)
引用:朝日新聞 2014年7月2日(水)