エボラ出血熱、史上最悪の規模に…封じ込め困難?


エボラ出血熱、史上最悪の規模に…封じ込め困難?

 【ヨハネスブルク=上杉洋司】西アフリカで、致死率の高いエボラ出血熱の感染が史上最悪の規模となっている。

 世界保健機関(WHO)によると、6日までのギニア、リベリア、シエラレオネの3か国で確認された感染者は、疑い例も含めて844人。うち518人が死亡した。

 感染は、今年2月にギニアで始まったとみられる。過去の事例では過疎地での感染が多かったが、今回は、現時点で3か国60か所以上で患者が確認されており、患者の隔離による封じ込めは難しくなっている。

 西アフリカでは、葬儀で遺体を洗う風習があり、患者の家族がウイルスに接する機会が多いことも、感染拡大の原因になっているという。現地で治療にあたる国際NGO「国境なき医師団」は6月下旬、「制御不能なレベルにある」と警告した。

 米疾病対策センター(CDC)によると、これまでに最も多くの死者が出たのは、分かっている限りで280人。ウイルスの存在が初めて確認された1976年に、ザイール(現コンゴ民主共和国)で起きた事例だった。

提供:読売新聞 2014年7月9日(水)

 

エボラ熱、史上最大規模に 西アフリカ、歯止めなく

【ジュネーブ共同】西アフリカで3月以降感染が拡大したエボラ出血熱の死者が増加の一途をたどっている。感染が疑われる死者は400人を超え、世界保健機関(WHO)によるとエボラ熱の流行としては過去最大規模に。感染拡大に歯止めがかからず、WHOは一層の警戒を強めている。

 WHOの6月下旬の集計によると、これまでに感染が確認または疑われるケースはギニア、シエラレオネ、リベリアの3カ国で計759人。うち死者は、ギニア303人、シエラレオネ99人、リベリア65人の計467人に上った。6月中旬の死者は約330人で、約2週間で死者が130人以上増えた計算となる。

 エボラ熱は過去、主にアフリカ中部や東部で20回以上流行している。今月2日に周辺11カ国の保健相らがガーナの首都アクラで開いた緊急会合で、WHOのサンボ・アフリカ地域事務局長は「感染者数、死者数、地理的広がりにおいて、過去に報告された流行で最大規模だ」と明言。適切な対策を怠れば西アフリカ以外の地域にも広がる恐れがあると警告した。

 西アフリカで感染が拡大している背景には、葬儀の際に遺体を洗う伝統儀式をエボラ熱流行後も人々がやめないことが挙げられている。

 国際赤十字社・赤新月社連盟(IFRC)は2日の声明で、感染者が恐怖心から姿をくらましたり、医療施設に入院するのを拒んだりして感染拡大の一因になっていると指摘、住民らへの啓発活動の重要性を強調した。

 ※エボラ出血熱

 エボラウイルスが原因の急性感染症。世界保健機関(WHO)によると、1976年にザイール(現コンゴ)などアフリカ中部で初めて集団発生が確認された。野生のコウモリやサルがウイルスの宿主とされ、血液や汗などの体液から感染する。高熱に加え、頭痛、下痢や皮膚などからの出血を伴う。ワクチンや治療法はない。致死率は25〜90%。(ジュネーブ共同)

提供:共同通信社 2014年7月7日(月)

2014年7月10日更新