細胞間結合力測定が可能に? 
がんや再生医療に期待

 生物の組織や臓器を形作る細胞が互いにくっつき合う力を、特殊なレーザーと顕微鏡を用いて計測する技術の開発に奈良先端科学技術大学院大と近畿大のチームが成功し、17日発表した。

 成果は米科学アカデミー紀要電子版に掲載。

 チームによると、がん細胞が血管内側の細胞に強く接着して起きると考えられるがんの転移メカニズムの解明や、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った組織や臓器の細胞同士が正常にくっついているかの測定にも応用が期待できる。

 チームは細胞を入れた培養液の中に、超高密度の光エネルギーを持つフェムト秒レーザーを集光して当て衝撃波を発生させた。超微細な世界を捉えられる原子間力顕微鏡で、衝撃波を検出し力の単位に換算。レーザーの強さを変え、どの程度の衝撃波で細胞同士が分離するかを調べることでくっつき合う力を計測した。

 奈良先端大の細川陽一郎(ほそかわ・よういちろう)特任准教授によると、これまで、細胞は非常に小さくもろい構造なのに互いに強く接着しているため、引き離して、くっつく力を測定することは困難だった。

2010.01.18 記事提供:共同通信社