冬になると、薬膳の世界では寒さに弱い「腎」を守ることが重視される。腎は腎臓などの泌尿器系や生殖、免疫系に関係し、人の成長や発育、老化をつかさどると考えられている。
国際中医師(中国政府による中国伝統医学の認定資格)で上海中医薬大学付属日本校薬膳講師の赤堀真澄さん(43)は「腎が弱ると、下半身の冷え、腰や膝の痛み、頻尿や失禁、白髪や抜け毛の増加、精力減退などさまざまな老化現象が出てきます」と話す。冬こそ腎を強化して、アンチエイジングに取り組みたい。
腎を守る食材は、黒豆や黒ゴマ、黒キクラゲなど「五色」の中の黒い食材が中心だ。また、ナマコ、アワビ、スッポン、カキ、エビなど海からとれる食材、クルミやクリ、シナモン、ニラも腎を強めてくれる。
赤堀さんお薦めの薬膳料理「魚介とキノコの豆鼓炒め」は、老化を防止する魚介類がたっぷり。キノコは免疫力を高めてくれる。カキが主原料のオイスターソースや黒豆を発酵させた「豆鼓醤」など、調味料もアンチエイジングにぴったりだ。
あっさりとした甘さで腹持ちがいい「ハスの実入り黒米の滋養しるこ」は、おやつとして食べられそうだ。
4人分の作り方は、黒米50グラムを500ccの水に30分間漬け、漬け汁ごと鍋に入れて火にかける。軟らかく形が少し崩れるまで弱火で煮る。ココナツミルク200ccを加えて、氷砂糖(30〜50グラム)で好みの甘さに。氷砂糖が溶けたら完成だ。トッピングのハスの実は3時間水に漬け、軟らかくなったら、蓮子芯(れんししん)(中にある緑色の芯)を取り除く。水からゆでて軟らかくなったら、しるこに乗せる。
「ハスの実はゆでた状態で冷凍保存しておくことができ、滋養強壮や心を落ち着かせる作用がある」と赤堀さん。黒米はアンチエイジングに効く黒い食材で、血管の老化を防ぎ、血の流れを改善する役割も持っている。漬け汁ごとゆでるのがポイントだという。【倉田陶子】=この項おわり
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◇魚介とキノコの豆鼓炒め
《主な材料》4人分
▽ホタテ貝柱 4個
▽ブラックタイガー 8匹
▽スルメイカ 1/2杯
▽魚介の下味として、かたくり粉大さじ1、酒大さじ2、塩コショウ少々
▽エリンギ 2本
▽シメジ 1パック
▽水 大さじ2
▽ニンニクみじん切り 小さじ2
▽ゴマ油 大さじ2
▽酒 大さじ2
▽しょうゆ 大さじ1
▽オイスターソース 大さじ1/2
▽豆鼓醤 小さじ1
▽砂糖 小さじ1
▽松の実 大さじ1と1/2
▽付け合わせのチンゲンサイ 2株
《作り方》
<1>エビは殻と尾、背ワタを取り背中側から開く。イカは皮を取り筒切りにし、ホタテやエビとともに下味に絡める。エリンギは根元を落として縦四つに割く。シメジは小房に分ける。
<2>フライパンでゴマ油大さじ1とニンニクみじん切り小さじ1を火にかけ、(1)のホタテ、エビ、イカをさっと炒めて一旦取り出す。
<3>同じフライパンでゴマ油大さじ1とニンニクみじん切り小さじ1を火にかけ、エリンギとシメジを炒める。水大さじ2を加えてさらに炒め、しんなりしてきたら、ホタテ、エビ、イカを戻す。調味料と松の実を加えて汁気が少なくなるまで炒める。
<4>ゆでたチンゲンサイとともに皿に盛り付ける。