還元型コエンザイムQ10 「老化抑制の仕組み判明」
信大研究グループとカネカ
信州大の研究グループは24日、カネカ(本社・大阪市)と共同で実施したマウスを使った研究により、還元型コエンザイムQ10が老化の進行などを遅らせるメカニズムを明らかにしたと発表した。
報告をしたのは、大学院医学系研究科の樋口京一教授(疾患予防医科学)ら。内容は米国の学術雑誌「アンチオキシダンツ・アンド・レドックス・シグナリング」電子版に掲載された。
研究では、老化しやすい体質のマウスに還元型コエンザイムQ10を0・3%混合した餌を与えたところ、投与しないマウスに比べて細胞内のリン酸化酵素やたんぱく質活性化遺伝子が増加。その効果で、加齢に伴う減少が老化と深く関わっているとされる細胞内のサーチュイン遺伝子(通称・長寿遺伝子)やミトコンドリアが非投与マウスより多く、活性酸素を消去する酵素の減り方も小さかった。
人の培養がん細胞を使った実験でも、還元型コエンザイムQ10の投与でミトコンドリアが増加し、活性酸素発生量は減った。
樋口教授によると、還元型コエンザイムQ10は生物の細胞にあるミトコンドリアに含まれるほか、健康食品として市販されている。これまでにマウスに摂取させると老化や加齢による聴力低下が抑制されるという研究成果を発表していたが、その仕組みははっきりしていなかった。
樋口教授は「サプリメントとして用いられている物質の効果について、新しいメカニズムが明らかになった。今回はマウスによる基礎実験で、人体への影響についてはまだわからない」と説明した。【古川修司】