| 桃やスイカ、メロンにトマト――。店頭には旬のみずみずしい果物や野菜が並ぶ。食欲がなくなりがちな夏のこの時期、栄養豊富な冷たいジュースを作ってみてはどうだろう。レシピは自由自在。工夫次第でおいしさも広がる。ミキサーがなくてもできる方法も紹介しよう。
 まず素材選びから。ジュースに使う果物は完熟した状態が望ましい。砂糖を加えなくても甘みの強いジュースになる。バナナだったら黒い斑点が皮の表面につくころ、桃やマンゴーは手で軽くむける程度に軟らかくなったころだ。
 
 苦みのもと除去
 千疋屋総本店(東京・中央)の企画・開発部長、大島有志生さんは「果物は保存方法と食べごろを見極めることが大事。基本的には常温で完熟させればいいが、ころ合いを過ぎたなと思うくらいに熟した果物がジュースにはぴったり」と話す。
 
 材料を冷蔵庫に長時間保管しておけばいいというわけでもないようだ。「果物は冷やしすぎると甘さが感じられなくなってしまう」(大島さん)
 
 しかし、せっかくなら冷えたジュースを味わいたい。「野菜ソムリエ 体すっきりジュース1+1」(幻冬舎)に掲載されたレシピを開発した小磯夫規子さんは「果物は常温で保管しておいたものでよい。水や牛乳、ヨーグルトなどベースを冷やしておけばおいしいジュースになる」と語る。
 
 飲みやすいジュースを作るには下処理も肝心だ。例えば、かんきつ類。白いわたの部分は苦みの原因になることがあるので、気になる人は包丁できれいに切り取るといい。ブドウの皮は使っても大丈夫だが種が残ると苦くなるので、半分に切って抜き取る。野菜ではニガウリ。必ずスプーンでわたを取り除く。
 
 パイナップルのように固い果物やほうれん草などの葉ものは、大きすぎるとミキサーの刃が折れたり、詰まったりすることがあるので、材料は一口大にカットするのが基本だ。素材をミキサーに入れ、15−20秒ほど回せば完成。ミキサーが回りにくい時は水分を足そう。
 
 手もみで作る
 小磯さんがすすめるレシピは上の図表の通り。水の変りに好みで牛乳や豆乳を使ってもいい。青臭い野菜や酸味が強い果物に牛乳やヨーグルトを組み合わせるとまろやかで飲みやすい味になる。酸とたんぱく質が反応して凝固し、ヨーグルトのよいうな状態になることがあるが、「それはそれとして食感を楽しめる」と小磯さんは話す。
 
 ブドウの皮やかんきつ類の薄皮などは食物繊維が豊富なので、できるだけ使いたい。長時間たつとビタミンなどの栄養が損なわれてしまうと思うかもしれない。
 
 自宅では作りたてを飲めるのが利点だが、「1−2時間程度だったら栄養価はあまり変らないので、少し時間を置いても大丈夫」と女子栄養大教授の高橋敦子さんは説明する。ただ、「時間がたつと苦くなるニガウリのジュースは作りたてを飲んだ方がいい」そうだ。
 
 ジュースを手作りしたいがミキサーがない。あっても洗うのが面倒だという人もおおいだろう。そこで小磯さんが提案するのが「手もみジュース」。破れにくい厚めのビニール袋に材料を入れ、手でもむだけ。「固い果物や葉ものには向かないが、桃など水分の多い青果や芋類だったら形は崩せる」(小磯さん)
 
 図表にあるレシピ通りに桃のジュースを作ってもらった。桃が完全な液体状にならず、ごろごろとした果肉の食感を味わえるのがいい。
 
 冷凍して味わう
 材料を冷凍すると通常とは違った感じになる。たくさん買って食べきれなかった果物は小さく切って冷凍するといい。後でスムージー風ジュースの材料になるだろう。氷を加えると、ミキサーが壊れやすくなるので注意しよう。イチゴなどは冷凍に向き、バナナなどは向かないともいわれるが、各自の好み次第で対応しよう。
 
 冷凍トマトはジュースだけでなく、食事の際のスープとしても活用できる。ミキサーに20−30秒と少し長めにかければ、しゃりしゃりした冷たい食感を味わえる。
 
 千疋屋総本店の大島さんは「凍らせたスイカのジュースはうちの評判の裏メニュー」と打ち明ける。種を1つ1つ取る手間はかかるが、小さく切って冷凍したものにガムシロップを入れてミキサーをかけて飲んだら、「スイカの新たなおいしさを発見できる」と太鼓判を押している。
 
                            
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                                  | ニガウリ 端を切り落とし、苦みの原因になるわたやたねをスプーンでくりぬく
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                                  | パイナップル ミキサーの刃が折れないよう、一口大までのサイズに
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                                  | マンゴー たねを挟んで半分に切る。包丁ではなく、スプーンでくりぬくとむだが少ない
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                                  | かんきつ類 上下の両端を切り落とした後、外側から皮とわたを切り取る
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                                  | 葉もの 根元は切り落とす。アクが出るほうれん草などはサラダ用を使うのも手
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                                  | その他・凍らせる 余った野菜・果実はラップやファスナー付の袋にくるんで冷凍保管しておくのもよい。
 小さく切っておく
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                                  | ミキサー 1.刃に詰まり苦くなることがあるので、葉ものは一番上に。水気を注ぐ
 2.15〜20秒まわす。凍ったものは20〜30秒が目安
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                                  | 手もみ 1.材料が入ったビニールに空気を入れて軽く結んでから手でよくもむ
 2.素材によってはかなりよくもむ。素材の形が残ったら果実の食感を楽しめる。端をハサミで切ってグラスに注ぐ
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                                  | ニガウリ+パイナップル ニガウリ 20グラム
 パイナップル 150グラム
 水 60グラム
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                                  | マンゴー+バナナ マンゴー 100グラム
 バナナ 50グラム
 水 70グラム
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                                  | グレープフルーツ+セロリ グレープフルーツ 180グラム
 セロリ 20グラム
 水 50グラム
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                                  | ほうれん草+バナナ+豆乳 ほうれん草 40グラム
 バナナ 50グラム
 豆乳 120グラム
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                                  | トマト+バジル トマト 100グラム
 バジル 5グラム
 水 100グラム
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                                  | 桃 白桃 80グラム
 黄金桃 80グラム
 ヨーグルト 60グラム
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