にんにくを食べた後、猛烈な悪臭を発するため毛嫌いされていたが、このごろはにんにく入りの料理を好んでとる人が増えてきた。その理由として考えられるのは、にんにくを使った料理が大変美味(おい)しいこと。それと食べてもそれ程臭いといわれなくなったことからである。

にんにくを料理に使うと、旨(うま)みとコクが出る。これにプラスして生にんにくの場合は、刺激的なにおいと辛みがあり食欲を促す。これはにんにく中に含まれるアリインというアミノ酸がアリナーゼという酵素によってアリシンという硫黄を含む化合物ができるからである。

このアリシンは、肉や魚介類、もつ類などのたんぱく質に働いて、生臭みを消し料理を美味しくする。例えばかつおのたたきは生にんにくによってより美味しさが増す。

にんいくはいためるなど加熱すると、アリシンが分解され、芳香性と甘みが生ずる。この甘みは砂糖より数倍強く、より旨みを深める。こんなことから、焼き肉やギョーザ、スパゲティなどにはにんにくは必須。またカレーやラーメンなどのインスタント食品やレトルト食品などにも隠し味として使われ、にんにく嫌いの人も気付かずに食べている。

にんにくの悪臭を消すのには、牛乳やコーヒーを飲むと良いといわれているが、決定打ではない。しかし、お互いに食べていると、不思議なことにそれ程臭みが気にならない。そこで、「みんなで食べれば臭くない」ということになる。
(新宿医院院長  新居 裕久)
2005年3月5日 日本経済新聞