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インプラントにも歯周病 速い進行、気付かぬことも

 歯周病は自分の歯を失う大きな原因となるが、急速に普及するインプラント(人工歯根)でも同じような症状になることがある。自分の歯に比べ進行が速い半面、気付くのは遅れがち。専門医はインプラント治療前のケアと、定期的なチェックの大切さを訴える。

 歯周病は歯と歯茎の間に繁殖する細菌への感染によって起きる。歯茎が腫れたり出血したりする歯肉炎から、歯を支えるあごの骨にも影響する歯周炎に進み、放置すれば最終的には骨がとけて歯が抜けてしまう。

 チタンでできた土台を骨に埋め込み、その上に人工歯を置くのがインプラント治療。土台は骨にしっかり固定されるため硬い物もかめるが、自分の歯との違いは、歯と骨の間に歯根膜(しこんまく)と呼ばれるコラーゲン組織がインプラントにはないことだ。

 「天然のバリアーとも言える歯根膜がないため、骨の側に細菌が入りやすくなる」と、治療に携わる東京再生医療センター(東京都千代田区)の清水智幸(しみず・ともゆき)院長は話す。インプラントの表面には、骨と結合しやすくするため微細な穴が多数あり、ここに細菌が入り込むことも影響する。

 歯周炎に相当する「インプラント周囲炎」まで進んだ時に周囲の骨が失われるスピードは、自分の歯の場合の数倍から数十倍とも言われるが、インプラントは骨に固定されているため、抜かざるを得ない状態になって初めて医療機関に来る人も珍しくないという。

 歯周病治療を応用してレーザーや超音波、アミノ酸や殺菌水などを使った取り組みを進める清水院長。「歯周病を治さないままインプラントを埋め込んだり、その後のケアが十分でなかったりするケースが多い」と、患者の増加を懸念する。


2012年6月5日 提供:共同通信社