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「格差と貧困が生み出した口腔崩壊」

6月15日、TBS番組「Nスタ」で...

6月15日、TBS番組「Nスタ」で全日本民主医療機関連合会歯科部が発行した小冊子・"歯科酷書"の第2弾「格差と貧困が生み出した口腔崩壊」が紹介された。番組では、江原雅博・同連合会歯科部長のコメント、口腔崩壊の症例を紹介し、改めて社会的に大きな問題になっていると強調された。

小冊子は、2009年11月に発表した歯科酷書の続報でもある。格差と貧困の問題が深刻さを増すにつれて、経済的事情から医療機関にかかれず、口腔崩壊に至った32例をまとめたものであった。しかし、その後も、社会的事情は好転せず、さらに悪化してきており、同様な理由で本来診療機関に関わるべき患者が、水面下に埋もれてしまっている。その数は増加の一途を辿っている実情を、今回は、28症例を通してまとめたものである。

"はじめに"において、江原雅博・歯科部長は「私たちは一つの対策として、経済的困窮している方に緊急避難的に医療を提供できるように、無料低額診療事業を実施しています」とその対策も講じていることを記している。なお、無料低額診療事業(無低診)とは、社会福祉法第2条第3項および法人税法施行規則第6条第4項の規定に基づき、経済的理由で窓口負担ができないために医療を受けられない人々に対し無料又は低額の診療を実施する制度である。

また、2012年4月1日現在、285の民医連加盟事業所が「無低診」を実施しており、そのうち歯科は28事業所(下記参照)で行われている。「無低診」適用者は2010年度:800件、2011年度:延べ5000件を超えるまでになっている、としている。これらを踏まえて、江原歯科部長は、「"歯科酷書"を普及し、全ての国民が安心して医療を受けることができる医療制度の実現を求めていきたいと考えています」と訴えている。

このような口腔崩壊の実態は、本来は国の責任で対応すべき社会的な問題である、としているが、医療機関だけで解決できるものではなく、多くの人に知ってもらい行政を動かしていくことが求められている。そのために、@国民健康保険法第44条の減免制度の実効性のある制度にすること、A高すぎる国保料を引き下げること、B子供の医療費無料化を拡充すること、C無料低額診療事業への国や行政の支援を広げ、実施事業所を増やすこと、を掲げている。

【無低診実施歯科医療機関】北海道=札幌歯科診療所、もみじ台歯科診療所、札幌ふしこ歯科診療所、宮城=古川民主病院歯科クリニック、群馬=協立歯科クリニック、山梨=共立歯科センター、御坂共立歯科診療所、武川歯科診療所、巨摩共立病院歯科、長野=松本協立病院歯科センター、東京=大田歯科、相互歯科、神奈川=汐田歯科診療所、京都=あすかい診療所歯科、待鳳診療所歯科、九条診療所歯科、仁和診療所歯科、大阪=耳原歯科診療所、兵庫=戸ノ内歯科診療所、生協歯科、岡山=岡山協立病院歯科、広島=コープ共立歯科、福岡=大手町病院附属歯科診療所、千代診療所歯科、千鳥橋病院附属歯科診療所、たたらリハビリテーション病院歯科、大分=けんせい歯科クリニック、沖縄=中部協同病院歯科

【全日本民主医療機関連合会歯科部】東京都文京区湯島2-4-4 平和と労働センター7F 電話:03-5842-6451 Eメール:min-shika@min-iren.go.jp
 

2012年6月21日