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日本歯科医師の中国進出がつづく

歯科医が中国目指す 中国の経済発展などに伴い

中国の経済発展や、日本人駐在者の増加などに伴って、中国への進出を検討する日本の歯科医が増えている。駐在する日本人に比べ日本人歯科医が大幅に不足しているうえ、食品から家電まで良質な日本製品には金を惜しまない中国の富裕層が、歯科医療でも"メード・イン・ジャパン"を求めているためという。医療貢献と市場拡大の両方につながるとあって、リスクを冒しても進出を目指す歯科医グループもでてきた。

グループは関西を拠点にする歯科医らで作る「WA−和・輪」。国境を越えて医療貢献を果たしたいという願いを込め、英語の「ワールドワイド・アソシエーション」(世界的組織)を略して名付けた。

京都府亀岡市で開業する泉要佑会長(48)が知人の歯科医や歯科技工士に呼びかけて結成し、昨年1月から海外視察や勉強会を定期的に開催。中国では日本の歯科医師免許があると、当局の許可を得るだけで滞在する外国人を診療できるとあって、メンバー35人の中には、すでに現地で開業した歯科医もいる。

上海市で開業した歯科医によると、ビジネスや留学などで同市に長期滞在する日本人約8万人。これに対し、日本人歯科医はわずか10人ほど。矯正など長期の治療で帰国後もケアが必要になるケースがあるほか、痛みの微妙なニュアンスを日本語で伝えたいというニーズがある。

一方、中国人富裕層も、手先が器用で高度な技術を持つ日本人歯科医への信頼が厚い。高額な医療費をいとわないため患者の単価が高く、「日本だと1日30〜40人診て月収100万円だが、中国だと数人で80万円ほど」。中国人歯科医を技術指導しながら、富裕層を診療する地方もあるという。

歯科医が中国を目指す背景には、日本での歯科医増加と収入減がある。厚生労働省によると、全国の歯科医数は18年末で9万7198人にのぼり、10年間で1万人以上増えた。収入も減っており、中央社会医療保険協議会(中医協)が昨年10月にまとめた医療経済実態調査では、開業歯科医のもうけを示す収支差額は月額122万円余で、2年前から9%減少した。

ただ現地での開業は中国側との合弁になるため、パートナーの選定や報酬などをめぐるトラブルが多いのも事実だ。

WAでは医療貢献を第一に考え、中国以外にもタイやベトナムなど、歯科医が少なく医療技術が発展途上にある国への進出を視野に入れており、診療現場に即した学術の会の結成を検討。

手始めに6日には、世界約20カ国が参加する北京デンタルショー(5〜8日)に合わせ、泉会長と大阪府岸和田市の開業歯科医、中井大介副会長(37)が日本の歯科事情について講演。四川大地震の震源地に近い成都市の歯科医院も視察する。

泉会長は「中国の市場規模は大きく経済的な魅力はあるが、日本人歯科医が中国で必ず成功するわけではない。しかし今後は中国人にも現地の日本人に対しても医療貢献が重要になってくるので、積極的な進出を促したい」と話している。



2008.6.6 記事提供 産経イザ!