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世界に遅れること、半世紀?フッ素添加水道水

虫歯予防、水道水に適量のフッ化物が効果 埼玉・歯科医らで構成する推進協発足

◇吉川市、フロリデーション実現へPRや啓発活動を展開

 虫歯予防に効果があるとされる水道水フロリデーション(フッ化物濃度調整)を実現するため、吉川市は市内の歯科医や自治会長、市議らで構成するフロリデーション推進協議会(会員数12人)を発足させた。健康への影響を心配する市民もおり、今後PRや啓発活動を展開する。市担当者によると、こうしたフロリデーションへの取り組みは県内初で、全国的にも珍しいという。【飯嶋英好】

 市は先月、日大松戸歯学部や日本口腔(こうこう)衛生学会と学術・技術支援協定を締結。協議会顧問の小林清吾日大教授(社会口腔保健学)によると、フッ素は安全性の高いミネラル元素で、通常の水道水にも微量に含まれる。世界保健機関(WHO)や国際歯科連盟も水道水に適量のフッ化物(フッ素の化合物)を混ぜるフロリデーションを推奨している。

 本格的な導入は米国が1945年から始め、現在、フロリデーション水の給水人口は61カ国約4億人に及ぶ。日本では「体に蓄積されないか心配」といった市民の声もあり、実際に導入している自治体はまだないという。

 吉川市は06年、健康福祉部と政策室がフッ化物応用研究会を結成。虫歯予防の観点から、水道水フロリデーションを市民の歯科保健を向上させる有効な手段と位置付け、積極的に取り組む方針を打ち出した。先月4日からは、市保健センターと市内の歯科医院4カ所にフッ素を添加した水を入れた給水器を常設。多くの市民や患者に試飲体験してもらっている。体験者へのアンケートでは、フロリデーションの早期実現を希望する意見が多いという。

 協議会は今後、夏祭りなどのイベントで市民に添加水を試飲してもらう一方、大学教授らが出前講座を実施して効果や安全性を説明する予定だ。推進協議会会長の戸張英男・吉川歯科医師会長は、「フロリデーション水が虫歯予防に効果があることは、学術的に結論が出ている。キャンペーンを通じ、導入実現に向け市民の理解を求めていきたい」と話している。



2009.7.4 記事提供 毎日新聞社