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最新の社会情勢レポート!!

4割弱「歯の治療を放置」 保険使えず受診抑制も。
医療保険分野でも受診遅れなどの問題

4割弱「歯の治療を放置」 保険使えず受診抑制も

2011年3月2日 提供:共同通信社

虫歯や歯周病などがあっても「治療費が心配」などの理由で治療せずに放置している人が4割近くに上ることが1日、医師や歯科医師らでつくる全国保険医団体連合会(保団連)が実施した「1万人市民アンケート」で分かった。

保団連は「歯科は医療保険が使えない治療が多く、経済的に苦しい人は治療を控えている」と指摘。保険適用拡大や原則3割の窓口負担引き下げが必要だとしている。
調査は昨年10〜12月、歯科診療所や市民団体などの協力で実施。佐賀、沖縄両県を除く45都道府県の約1万人が答えた。

「放置している」と答えたのは3710人。20〜50歳代では40%超を占めたが、60歳代以上では30%前後、10歳代では27%だった。
主な理由は「時間がない」「費用が心配」「治療が苦手」だった。
また、診療所などで支払う窓口負担が「高い」とする人は全体の半数を超え、9割が保険適用の拡大を求めていた。
保団連は「虫歯などは自然に治ることはないため放置すると重症化し、かえって医療費も増加してしまう」として、早期の発見と治療が重要だとしている。

>韓国など海外では入れ歯、修復物を保険適用からはずし、その財源を歯科予防処置、虫歯処置などに当てている。
こういうはっきりして制度に国が区分して置けば、不明瞭な、自費保険の混同がなくなり、安心して虫歯治療と予防処置で、虫歯、歯周病罹患がヘリ歯科の医療費抑制になる。

受診遅れで71人が死亡 無保険や自己負担不能で
「制度崩壊」と民医連


2011年3月2日 提供:共同通信社

国民健康保険(国保)の保険料を滞納して「無保険」状態になったり、保険証は持っていても医療費の自己負担分を払えなかったりして受診が遅れ亡くなった人が昨年、24都道府県で71人に上り、前年(47人)の約1・5倍に増えたことが2日、全日本民主医療機関連合会(民医連)の調査で分かった。
失業者や非正規労働者が多く、民医連は「厳しい雇用状況が続く中、払いたくても払えない人が急増しており、もはや『国民皆保険制度』は崩壊している」と指摘。調査対象は民医連加盟の病院や診療所計1767施設で「背後にはもっと多くの犠牲者がいる可能性がある」としている。

71人のうち、保険料滞納は42人。内訳はまったく保険がない「無保険」が25人、滞納のため有効期間が短くなる「短期保険証」が10人、さらに滞納が続き保険証を返して医療費全額をいったん払わなければならない「資格証明書」が7人。
都道府県別では長野、兵庫、沖縄が4人で最多。東京、神奈川、石川が3人。職業別では無職26人、非正規10人、自営業3人、ホームレス2人、年金生活者1人。年齢別では60代18人、50代11人、40代7人、70代4人、80代と30代が各1人。
保険証はありながら「受診控え」で亡くなったのは29人で前年の約3倍。保険別では国保が23人、後期高齢者と協会けんぽが各3人。都道府県別では長野5人、北海道と沖縄がいずれも3人。がんや糖尿病が多く、高額な治療費を心配し病院に行くのをためらったためと分析している。

薬物使用と関連があるなんて、
結核流行、
原因はコカイン使用者からの伝播

ソース:NEJM(論文一覧) カテゴリ: 感染症(関連論文

文献:Gardy JL et al.Whole-Genome Sequencing and Social-Network Analysis of a Tuberculosis Outbreak.NEJM 2011;364:730-739.

M. tuberculosis流行株32株・既存株4株の全ゲノム解析と社会的ネットワーク解析を実施し、結核の流行機序を調査。同一遺伝子型のMIRU-VNTRを有する2種類の系統株の存在が明らかとなり、結核の流行時期とコカイン使用量の増加時期が一致したことから、この2株の同時流行はコカイン使用者からの伝播が原因と著者らは結論している。

2011.02.28 記事提供:m3.com

空気汚染が?たばこ?心筋梗塞の最も重要な誘発因子

文献:Nawrot TS et al.Public health importance of triggers of myocardial infarction: a comparative risk assessment.Lancet 2011;377:732-740.

パブメドおよびウェブ・オブ・サイエンスのデータベースで非致死性の心筋梗塞の誘発因子に関する研究を特定し、人口寄与割合を測定。人口寄与割合をオッズ比と曝露の割合を考慮して測定した結果、空気汚染が心筋梗塞の最も重要な誘発因子(7.4%)と示され、次に重要な因子は身体運動(6.2%)、飲酒(5.0%)、コーヒー(5.0%)だった。

February 2011

Public health importance of triggers of myocardial infarction: a comparative risk assessment

Background
Acute myocardial infarction is triggered by various factors, such as physical exertion, stressful events, heavy meals, or increases in air pollution. However, the importance and relevance of each trigger are uncertain. We compared triggers of myocardial infarction at an individual and population level.

Methods

We searched PubMed and the Web of Science citation databases to identify studies of triggers of non-fatal myocardial infarction to calculate population attributable fractions (PAF). When feasible, we did a meta-regression analysis for studies of the same trigger.

Findings

Of the epidemiologic studies reviewed, 36 provided sufficient details to be considered. In the studied populations, the exposure prevalence for triggers in the relevant control time window ranged from 0・04% for cocaine use to 100% for air pollution. The reported odds ratios (OR) ranged from 1・05 to 23・7. Ranking triggers from the highest to the lowest OR resulted in the following order: use of cocaine, heavy meal, smoking of marijuana, negative emotions, physical exertion, positive emotions, anger, sexual activity, traffic exposure, respiratory infections, coffee consumption, air pollution (based on a difference of 30 μg/m3 in particulate matter with a diameter <10 μm [PM10]). Taking into account the OR and the prevalences of exposure, the highest PAF was estimated for traffic exposure (7・4%), followed by physical exertion (6・2%), alcohol (5・0%), coffee (5・0%), a difference of 30 μg/m3 in PM10 (4・8%), negative emotions (3・9%), anger (3・1%), heavy meal (2・7%), positive emotions (2・4%), sexual activity (2・2%), cocaine use (0・9%), marijuana smoking (0・8%) and respiratory infections (0・6%).

Interpretation

In view of both the magnitude of the risk and the prevalence in the population, air pollution is an important trigger of myocardial infarction, it is of similar magnitude (PAF 5-7%) as other well accepted triggers such as physical exertion, alcohol, and coffee. Our work shows that ever-present small risks might have considerable public health relevance.

Funding

The research on air pollution and health at Hasselt University is supported by a grant from the Flemish Scientific Fund (FWO, Krediet aan navorsers/G.0873.11), tUL-impulse financing, and bijzonder onderzoeksfonds (BOF) and at the Katholieke Universiteit Leuven by the sustainable development programme of BELSPO (Belgian Science Policy).

2011.02.28 記事提供:m3.com

飲酒運転の事故死被害者なども含めて、
飲酒起因の死者250万人 WHO、加盟国に対策要請

世界保健機関(WHO)は11日、過度の飲酒などが原因となった病気や事件・事故による死者が世界で年平均250万人に上り、うち32万人を15〜29歳の若者が占めるとの調査結果を発表した。

 昨年5月には、酒類の安売りや広告宣伝の規制案を盛り込んだ決議がWHO総会で採択された。しかし、法的拘束力はなく、アルコール規制や健康被害防止策を強化している加盟国は少ない。WHOは若者の健康被害を防ぐためにも、飲酒を制限する年齢の引き上げなど、対策の強化を要請している。

 発表によると、2005年の15歳以上の1人当たりのアルコール消費量は6・13リットル。男性の約半数、女性の3分の2がアルコール類をまったく口にしていないことから、飲酒人口の1人当たりの消費量は平均を大幅に上回るとみられる。

 また04年の世界全体の肝硬変による死者の半数以上、交通事故死の約20%は飲酒が原因とみられるという。

2011.02.14 記事提供:共同通信社

大人の「リンゴ病」要注意…4年ぶり流行

関節痛、流産も

 ほおがリンゴのように赤くなる「リンゴ病」(伝染性紅斑)が流行している。幼児の病気として知られるが、大人が感染するとひどい関節痛などを併発するほか、妊婦では流産や死産の恐れもある。

 国立感染症研究所では注意を呼び掛けている。

 伝染性紅斑は、4、5歳を中心に、9歳以下の子どもで約9割を占めるウイルス性感染症。同研究所によると4-5年に1度の流行がある。

 全国約3000か所の小児科からの報告によると、1月24-30日の患者数は2008人で昨年の同時期と比べて約6倍。2002年、07年に次ぐ流行という。患者数が最も多くなる夏に向け、今後も流行が続く見通しだ。

 伝染性紅斑に感染すると、1週間ほどで鼻水やせき、発熱など風邪に似た症状が出る。このころウイルスの排出量が最も多くなるが、この時点で病名を特定することは難しい。

 感染から10-20日経過すると両ほおが赤くなったり、腕や足にレース状の発疹が見られたりと、リンゴ病特有の症状が出るが、すでにこの時には感染力がほぼ失われている。ワクチンもなく、予防は難しいとされる。

 子どもが感染しても大半は症状が軽いことから、あまり深刻な病気ととらえられていないが、大人が感染すると重い症状が出ることがあるので注意が必要だ。成人はほおが赤くなることは少ないが、合併症として関節痛や関節炎を訴える人が男性では約3割、女性では約6割に及ぶ。中には起きあがれないほどの痛みが1-2日続く人もいるという。

 また、妊婦が感染した場合、胎盤を介して胎児も感染。流産、死産に至るケースもある

 同研究所感染症情報センター主任研究官の安井良則さんは「保育園や幼稚園などで感染者が出た場合は、速やかに保護者に情報提供し、妊婦は居室内に立ち入らせないようにするなど、徹底した対応を取ってほしい」と話す。感染力の強いインフルエンザやノロウイルスなどに比べ、危機感の薄い施設が多いという。

 伝染性紅斑の感染経路の中心は飛沫(ひまつ)と接触による感染だ。マスクを着用し、手洗いを徹底することが予防の第一歩となる。風邪のような症状が出た場合、鼻水などの飛沫を飛ばさないよう「せきエチケット」を守ることも必要だ。

2011.02.16 記事提供:読売新聞

大幅値上げでも喫煙者減らず、本数は減少
自分が薬物中毒とは思わない?
深く吸い込むから、ニコチン濃度は
逆にアップして中毒は進む

大幅値上げでも喫煙者減らず、本数は減少

 昨年10月のたばこの大幅な値上げ後も喫煙者は減っていないことが8日、厚生労働省研究班の調査でわかった。

 1人あたりの喫煙本数は減っており、1箱60-140円の値上げ効果は、「禁煙」ではなく「節煙」にとどまったようだ。

 鳥取大学の尾崎米厚(よねあつ)・准教授(環境予防医学)らは昨年11-12月、全国から無作為で選んだ成人男女1146人に喫煙の有無や喫煙本数などを面接調査。値上げ前の一昨年11-12月に調べたデータと比較した。

 喫煙率は男37・1%(一昨年36・1%)、女8・9%(同8・3%)で、値上げ前後でほとんど変化がなかった。一昨年の調査時には、喫煙者のうち男36・8%、女53・9%が、値段が2倍になったら禁煙すると回答。20円値上げなら、男6・2%、女9・2%が禁煙すると答えていた。この禁煙への決意が、現実には守れなかったことになる。

>覚醒剤の薬物中毒者と同じ反応でしょか、コカインの40倍の常習性と言われているからね。
自分が薬物中毒とは思わない?

2011.02.08 記事提供:読売新聞

オバマ氏、禁煙なら「YES WE CAN」

 【ワシントン=黒瀬悦成】オバマ米大統領の妻、ミシェル夫人は8日、米記者団に対し、かつて愛煙家だった大統領が「もう1年近く吸っていない」と述べ、禁煙が順調に続いていることを明らかにした。

 夫人は「彼を非常に誇りに思う」と語った。

 大統領は就任前に禁煙を宣言。2009年6月の記者会見では、「今もつい吸ってしまう。子供や家族の前では吸っていない」と釈明していたが、ギブス大統領報道官は昨年12月の記者会見で、「大統領は禁煙用ガムの使用で成果を上げている」と発表していた。

 大統領は、少なくとも禁煙については、「イエス・ウィ・キャン(我々には出来る)」の公約を実現した。

2011.02.09 記事提供:読売新聞

続くトラブル、目離せず もがく心
高次脳機能障害の若者たち

 昨年秋、吉野ケ里町の土木業、平井顕俊さん(48)が町内の車用品店に行ったときのことだ。買い物中、隣の喫茶店の店員が「不審者が来た。助けて」と飛び込んできた。平井さんが喫茶店に駆け付けると、平井さんの車で待っていたはずの長男斐登(あやと)さん(19)が店内で叫び声を上げ、警察が呼ばれる事態になった。数日後、斐登さんはその出来事自体を忘れていた。

 斐登さんは5歳から空手を始め、高校は熊本県内の強豪校に進学した。07年7月、部活の練習中、相手の突きを受けて転倒。翌日の放課後、学校内で倒れた。急性硬膜下血腫で、意識不明の重体になった。

 家族が再会した時は、人工呼吸器を付け、瞳孔が開いていた。命を失う覚悟もしたが、意識は回復した。約1カ月後に佐賀県内の病院に転院し、翌年4月に退院したが、体に重い障害が残り、寝たきりの状態だった。

 斐登さんは養護学校に入学し、リハビリを重ねて身体機能を取り戻し、自力歩行も可能になった。一方でトラブルが頻発するようになる。

 「空手をやっているから、暴力は絶対に振るわない」。そう宣言していた斐登さんが、家族に拳を向けたり、髪の毛を引っ張ったりした。歩けるようになってからは、すぐ家の外に出ようとする。母和美さん(43)はトイレに入るのをためらうほど目を離せなくなった。

 顕俊さんによると、現在の知的レベルは「4-5歳程度」。日常会話や足し算はできるが、平仮名の読み書きはできない。日付を一日に何回も尋ねたり、人の顔や名前を覚えられない。内気で人見知りする性格だったが、誰にでも声を掛けるように変わった。

 「母さん、もう疲れたよ」。喫茶店でのトラブル後、和美さんは斐登さんに語り掛けた。「毎日人に謝って、みんな我慢してる。障害者も健常者もしちゃいけないことは同じなんだよ」

 このままでは斐登さんを外に出せなくなる、という思いから、言葉にした。普段は落ち着きのない斐登さんはうつむき、じっと座って聞いていた。「ごめんなさい」。斐登さんは泣き声で言葉を絞り出していた。

 斐登さんは今春、養護学校を卒業する。「斐登がしたいことは何だろう。それを見つける場を、斐登に与えてあげてほしい」。斐登さんを見つめながら、両親は思いを込めるが、行く先は決まっていない。【蒔田備憲】

>今増えている、幼児期の6ヶ月のスキンシップ不足の若者の情緒障害や、粗暴化。見た目は健常者でも、違う。
これは大きな社会問題だ。 高度脳機能障害者の問題

願いはただ「人並みに」 高次脳機能障害の若者たち 佐賀・もがく心


 佐賀市内の農家の作業部屋。収穫したネギの香りが満ちている中、男性(20)は手元をじっと見て、黙々と根をきれいに洗う。隣に座る母(52)は「こうして穏やかなままなら、普通の若い男の子なんだけど……」と複雑な表情で見守る。

 約10年前、当時小学5年生だった男性は、近所の道路を横断中、車にはねられた。低体温治療を施され、意識を回復したのは約1カ月後。体に大きな障害は残らず、半年後に退院した。養護学校への転校を勧められたが、通っていた小学校に復学させた。

 家族が男性の「変化」に気付いたのは復学後だった。人の名前や顔をすぐ忘れたり、話した内容を思い出せない。嫌がる友人にちょっかいを出すことも頻繁になった。学校の成績も落ち、わがままも目立つようになった。「せからしか子になったな」とは思ったが、障害の認識はほとんどなかった。

 中学に進学すると、ささいなことで感情を爆発させてしまうことが続いた。「無視された」という思い込みから同級生を殴ったり、通っていた学習塾で知人と口論になり、カッターを持ち出したこともあった。このトラブルをきっかけに肥前精神医療センター(吉野ケ里町)に通院、高次脳機能障害と診断された。

 県内の農業高校に入学したが、友人との衝突はやまず、学校からは「障害者のための学校ではないから」と、転校を促された。結局、2年生進級前に退学。「人生の階段を踏み外した」。母はそう感じたという。

 現在、男性は家業の農作業を手伝っている。短気でかんしゃく持ちだった性格は落ち着き、同年代の農家との交流会にも参加するようになった。半年前から、事故後離れていた柔道も再開。昇段試験に挑戦する姿は生き生きして映る。

 仕事では、手順をすぐに忘れ、自分から進んで何かをすることも少ないが、早起きして農作業に取り組むなど、懸命な姿勢も見せ始めている。

 それでも、不安は消えない。昨年夏には「男性が物損事故を起こした時、示談金として一時的に金を貸した」という「友人」が、7、8万円の返済を求めてきた。男性は「借りたかな」とあいまいな記憶。結局金を渡したが、後日、同じ「友人」が再び金を求めてきたため、母は警察に届け出た。

 だまされている、と説明した母に放った男性の言葉は「おれの友だちに何てこと言うと?」だった。

 親の手が届かないところで、どう生きていくのだろう。将来への不安を持ちながら、母はつぶやく。「仕事をして、家庭を持って……。ただそれなりに、人並みに、暮らしてほしい。願うのはそれだけです」【蒔田備憲】

2011.02.01,02 記事提供:毎日新聞社

医療保険改革法は「無効」
米フロリダ州の連邦地裁

 【ワシントン共同】米フロリダ州の連邦地裁は1月31日、オバマ政権が重要実績と位置付ける医療保険改革法の主要部分で、2014年から国民に原則として保険加入を義務付けた条項は違憲だとし、同法のほかの部分と一体不可分のため「法全体が無効」とする判決を出した。

 米司法省は上訴する方針で、最高裁まで争われる公算。同法をめぐっては、バージニア州の連邦地裁も昨年12月、この条項を違憲とする判決を出している。

 野党共和党は同法撤廃を求め、議会手続きを通じて同法をつぶす努力を続けているが、実現するかどうか見通せていない。2件の違憲判決を下したのは、いずれも過去の共和党大統領が任命した保守系判事。

>強制的に保険料金を徴収して、他の人の疾病分まで負担させられるという、保険制度はアメリカには合わない?自分の意志でボランティアしたり、寄付したり出来る自由が良い?日本の何でも9割保険希望の他力本願的社会主義とは違うよな・・・・・

2011.02.01 記事提供:共同通信社

9割超が「保険の利く範囲を広げて欲しい」

 9割超が「保険の利く範囲を広げて欲しい」と回答  保団連調査

2010年 歯科医療に関する1万人市民アンケート結果(1/27)《保団連》

  全国保険医団体連合会は1月27日に、「2010年 歯科医療に関する1万人市民アンケート結果」を公表した。

  保団連は、2010年の10月8日から12月27日にかけて、国民の歯科医療についての意識や受診動向を調査した。45都道府県(佐賀県、沖縄県を除く)より、1万129人(男性が3831人・37.8%、女性が6199人・61.2%、99人は性別不明)からの回答を得ている。

  調査結果から、(1)歯が全身の健康と密接に関連していると9割が回答(2)歯科医療に対しては9割超が「保険の利く範囲を広げて欲しい」と回答)(3)歯科の窓口負担に対しては、5割超が「高い」と回答(4)「治療せず放置している」との回答が36%(5)治療しない理由は「時間がない」「費用が心配」「治療が苦手」の順に高い-ことがわかった。

>総予算枠が決まっているのに、新分野が増えると言うことは、また、丸めや、実勢評価点の低い粗悪な内容になる?

2011.02.01 記事提供:WIC REPORT

コスメ感覚で歯のケアをする人が増えています。

 ◇歯磨き、パックで「美白」

 口元からのぞく歯は、髪や肌と同じように見た目の印象を左右する。これまで美容面から考えられることは少なかったが、最近はアンチエイジングやコスメ(化粧)感覚で歯のケアをする人が増えている。関連のグッズも続々と発売され、人気を集めている。

 ライオンは昨年2月、美白歯磨き剤「プラチアス」を発売した。独自の「イオンホワイトパック」を処方しており、くすみを浮かせて除去できるという。バラの花をアレンジしたおしゃれなパッケージにし、売り場も従来のオーラルケアから化粧品コーナーにまで拡大した。昨年末までに約150万本を売り上げ、当初の販売目標の1・5倍超だった。

 同社オーラルケア事業部の井上洋さんは「アンチエイジングが意識される中、歯のくすみや黄ばみを気にする人が増えてきた。スキンケアと同じ感覚で、歯磨きする女性に受け入れられた」と話す。

 花王は09年2月から、歯磨き剤「薬用ピュオーラ ナノブライト」を販売している。歯の沈着汚れを落とす天然由来の成分「フィチン酸」(光沢剤)を配合し、「つやのある白い歯にする作用がある」という。イメージキャラクターに女優の真矢みきさんを起用し、40代以上の女性をターゲットにした。

 歯磨き剤以外も他のメーカーでは、こするだけで歯の着色や黄ばみを落とす「消しゴムタイプ」の商品や、美白シートで歯をパックする商品などが登場している。

 また、パナソニックの携帯用の電動歯ブラシ「ポケットドルツ」は、昨年4月の発売以来、一時品切れ状態になるほど。ランチの後、トイレで化粧直しをする感覚で、気軽に歯磨きできるのが受けているという。

 デザインをマスカラに似た形とし、色もピンクを中心にカラフルな10色をそろえた。同社広報チームで美容商品を担当している佐々木真弓さんは「化粧ポーチに入るサイズで、コスメ感覚のものを狙って作ったのがズバリ当たった」と話す。

 ライオンが実施したオーラルケアに関するネット調査では、20〜50代の女性の86%が「歯を美しく保つ」ことを意識して磨いていた。コスメ感覚で歯磨き剤を選ぶ人も、半数近くにのぼった。テレビを見ながら、お風呂に入りながらの「ながら歯磨き」で1回4〜5分かける人も目立ち、歯磨きがおしゃれの一つになっている。【小川節子】

2011.01.27 記事提供:毎日新聞社

乾いた咳が数習慣続く、マイコプラズマ肺炎
今季は過去10年で最多の患者数

 ◆マイコプラズマ肺炎 今季は過去10年で最多の患者数

 ◇風邪と区別つきにくい 潜伏期間は1〜3週間、1カ月以上せきが続く場合も

 国が約500カ所の基幹定点(内科と小児科を持つ病床数300床以上の医療機関)を対象に行っている調査で、今季のマイコプラズマ肺炎患者が過去10年間で最多となっている。

 秋から冬にかけてが流行時期で、今季は昨年10月に入ってから報告数が急増。今年1月9日までの15週間で報告数は4087人、昨年1年間の患者の報告数は1万333件で、いずれも過去10年間の同期比で最も多かった。患者の一部は重症化することがあるものの、多くは軽症で風邪と区別がつかず感染を広げる恐れがある。今季のピークは越えたとみられるが、依然として注意が必要で、専門家は早期の発見と治療を呼びかけている。

 国立感染症研究所の谷口清州感染症情報センター第1室長によると、マイコプラズマ肺炎は細菌の肺炎マイコプラズマによる感染症。初期症状は、高熱が出やすいインフルエンザと違って熱が少しずつ高くなるほか、全身の倦怠(けんたい)感、頭痛など。2〜3日後にたんを伴わない乾いた強いせきが出始める。せきは夜間に激しく出ることが多い。また、呼吸が苦しくなるぜんそくのような症状が約4割の患者にみられる。熱は数日で下がるが、せきはその後も数週間から1カ月以上続くことがある。

 マイコプラズマ肺炎に感染しても、ほとんどが風邪と同じような症状や気管支炎などで済む。肺炎になるのは感染者の3〜5%。5〜35歳の年代層でかかる率が高く、特に幼児から小学生ぐらいの子どもが肺炎を起こしやすい。自然に治ることがほとんどだが、肺炎が重症化して肺に水がたまることも珍しくない。髄膜炎や中耳炎、脳炎、肝機能障害などの合併症を起こすこともある。感染すると抗体が作られるが、ほとんどが約1年でなくなってしまう。そのため、一生のうちに何度でも感染を繰り返す可能性がある。

 従来、4年周期でオリンピックが開催される年に流行したため、「オリンピック病」とも呼ばれていた。近年はその傾向が崩れているが、谷口室長によると、ある程度の周期性はみられ、今回の流行も、それが一つの要因と考えられるという。なぜ周期性があるのかは分かっていない。

 飛沫(ひまつ)感染で、潜伏期間は1〜5日程度のインフルエンザよりも長く1〜3週間だ。日本医科大呼吸ケアクリニック(東京都千代田区)の木田厚瑞(こうずい)所長は「この潜伏期間の長さが感染を広げやすくする」と指摘する。

 今月上旬、同クリニックを30代の男性が受診した。「とにかく体がだるく、38度を超える熱があり、せきが続いている」と症状を訴えた。胸部レントゲン写真や血液検査から、木田所長はマイコプラズマ肺炎と診断した。よく聞いてみると、男性は「昨年末ごろ、会社に同じような症状の同僚がいた」と話したという。

 木田所長は「インフルエンザのように感染後に周囲の人間が次々と発症するなら異常に気づくが、普通の風邪と考えて治療をせず、どんどん感染を広げてしまうことがある」と指摘し、「せきがでる時はマスクをし、2週間以上続くようなら、市販のせき止め薬などを飲んで放っておいたりせず、医療機関を受診して治療した方がよい」と話す。

 マイコプラズマ肺炎の治療にはマクロライド系の抗菌薬が有効だ。細胞壁を持たない特殊な細菌が原因のため、細胞壁の合成を妨げて細胞の増殖を阻む肺炎球菌の抗菌薬は効果がない。

 特別な予防方法はなく、谷口室長は「他の感染症と同様に、うがいと手洗いをきちんとすること。患者と濃厚な接触を避けること」を挙げる。インフルエンザのように一気に全国的な大流行が起こるという形ではなく、家族や学校などの小さな集団で発生するため、木田所長は「その地域で流行しているかどうかを把握し、注意することが大切」と助言する。【藤野基文】

マイコプラズマ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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マイコプラズマ属
分類
ドメ
イン
: 真正細菌
Bacteria
: テネリクテス門
Tenericutes
: モリクテス綱
Mollicutes
: マイコプラズマ目
Mycoplasmatales
: マイコプラズマ科
Mycoplasmataceae
: マイコプラズマ属
Mycoplasma
学名
Mycoplasma
Nowak 1929
下位分類(種)
  • M. gallisepticum
  • M. genitalium
  • M. hominis
  • M. hyopneumoniae
  • M. laboratorium
  • M. mycoides(タイプ種)
  • M. ovipneumoniae
  • M. pneumoniae
他に100種近く存在

マイコプラズマ (Mycoplasma) は、真正細菌の一属。一般の真正細菌に見られるペプチドグリカン細胞壁が無く、そのため細胞の形は不定形で可塑性がある。細胞膜は他の真正細菌のそれに比べて強度が高い。

ゲノムサイズが極めて小さく(55万-140万塩基対程度)、大半が合成培地で増殖できず、たいていの場合は多くの成長因子を必要とする。自然条件では特定の真核生物に寄生する。

目次

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分布

Mycoplasma属の多くは動物に寄生し、病原菌であるものが多い。 関節症をはじめ、肺炎などの原因となる。

コンタミネーション

細胞壁を持たないため細胞の形状に可塑性があり、0.22μmフィルターを通過する。 そのため、細胞培養に用いる培地は、ろ過滅菌してもしばしばマイコプラズマによるコンタミネーション(汚染)が見られることが多い。細菌や真菌のコンタミネーションでは汚染が目視することができ、培養細胞が死に至ることが多いためコンタミネーションの発見は容易であるのに対して、マイコプラズマのコンタミネーションでは顕微鏡下であっても小さすぎて目視することができず、また培養細胞と共存することが多いためコンタミネーションの発生を見逃しやすい。

マイコプラズマのコンタミネーションによる影響としては、培地の栄養の消費による培養細胞の成長阻害の他、マイコプラズマの直接の作用による代謝経路への影響や、遺伝子発現への影響が確認されている。 そのため、細胞を用いた実験結果の正しい評価のためには、マイコプラズマのコンタミネーションがないことを確認する必要がある。

検出のためのゴールドスタンダードは培養法であるが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)やEIA法、核染色法(ヘキスト染色法/Hoechst Stain Method)でも検出が可能である。 培養法は種の同定や検出率で優れているが、結果が得られるまでに時間がかかり、種の同定には熟練が必要である、という欠点がある。また、培養の困難な菌も存在する。 一方PCR法やEIA法はその日の内に結果を得ることも可能であるが、特定の種しか検出できない。 ヘキスト染色法も測定に要する時間は短いが、染色されたものがマイコプラズマであるのか細菌等の核やデブリであるのかを見分けるには熟練が必要である。 最近ではマイコプラズマの酵素を利用したマイコアラート法(MycoAlertR Mycoplasma Detection Kit:Lonza社)のような30分以内での測定が可能な製品もできてきており、検出をルーチンで行うことも簡単になってきた。

医療におけるマイコプラズマ

マイコプラズマはしばしばヒトにおいて非定型肺炎を引き起こす。 主に幼児、小中学生が感染する肺炎。

疫学

オリンピックが行われる年に流行する(4年に1度流行する)傾向があるとして「オリンピック」とも呼ばれるが、近年はこの傾向が薄れつつある。

症状

dry coughと呼ばれる喀痰を伴わない咳をする事が多い。発熱は38.5℃を越えることもある。頭痛、咽頭痛、刺激性の咳(乾性の咳)倦怠感などのいわゆる感冒様症状を呈する。消化管へのウイルス感染によって嘔吐、下痢、腹痛などの症状を来たす事もある。最近では、大人が感染して重症化するケースが急増している。また、症状が呼吸器を中心としたものから消化器症状を併発、もしくは消化器症状を中心としたものへと移り変わってきている傾向がある。

診断

病原体の直接証明として分離培養、PCR蛍光抗体法がある。血清診断としてはペア血清による診断が確実である。迅速診断としてIgM測定が可能である。

治療

マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質がよく用いられる。ケトライド系、リンコマイシン系、ニューキノロン系薬剤も有効である。細胞壁を持たないため、ペニシリン系、セフェム系の薬剤は効果がない。

だが、現在ではマイコプラズマの全体の約15%は耐性菌と言われており、上記の薬では効果がない可能性がある。

処方例:

1)ジスロマックRSR 2g x1 /1day
2)ミノマイシンR100mg 1T x2(bid) /5days
3)ジェニナックR200mg 2T x1 /5days
[隠す]
気道感染
上気道感染
下気道感染
肺炎
原因
非定型
クラミジア肺炎 | オウム病 | マイコプラズマ
機序
病態
抗酸菌症
胸壁疾患


2011.01.23 記事提供:毎日新聞社

「ミトコンドリア病」?“誤診”が生んだ司法事故、
仙台筋弛緩剤事件

主訴・症状は筋弛緩剤中毒では説明できず

2011年1月11日 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 2001年の年始早々、メディアに大きく報じられた「仙台筋弛緩剤事件」。当時、診療所に勤務していた准看護師が、筋弛緩剤を患者に投与した容疑で、1人の殺人罪、4人の殺人未遂罪に問われ逮捕・起訴、2008年2月に最高裁で上告が棄却され、無期懲役が確定している。裁判所が筋弛緩剤中毒と判断した根拠は、検察側証人の麻酔科医の法廷での証言だ。
  しかし、長崎大学医歯薬学総合研究科教授で、神経内科医の池田正行氏は諸記録を検証、逮捕・起訴の発端となった11歳女児(当時)について、「筋弛緩剤中毒では全く説明できない所見。ミトコンドリア病の主要病型の一つであるMELASであることは明らか」と言い切る。他の4人についても、筋弛緩剤とは別の病名、病態で説明できるという。
  この問題を広く問うため、池田氏は「司法事故を考える」というサイトを2010年12月にオープンした。「警察、検察、裁判所の問題は表面的なものであって、根底には医師のピアレビュー欠如の問題がある」と語り、本事件を医学的に検証する必要性を指摘する池田氏にお聞きした。

 ――そもそも先生は、どのような経緯でこの事件を検証することになったのでしょうか。

 2010年の2月だったと思います。阿部泰雄氏(被告の准看護師の弁護人)から手紙をいただきました。「収縮期血圧が、意識障害患者の脳病変の診断に役立つ」ことをまとめた、僕のBMJの論文を見たからです(BMJ.2002;325:800)。11歳(当時)の女児(以下、患者Aさん)が筋弛緩剤(臭化ベクロニウム)による中毒なのか、急性脳症なのかが分かれ目でしたから、検索していた時に僕の論文を見つけたのでしょう。

 阿部氏は、再審請求を検討しているのですが、「この人ならば、意見書を書いてくれるのでは」と思い、手紙をくださった。それがきっかけの一つ。

 実は、ミトコンドリア病の世界的な第一人者が、既に「これはミトコンドリア病主要病型の一つである、MELAS(Mitochondrial myopathy, Encephalopathy, Lactic Acidosis, and Stroke-like episodes)で間違いない」と断言した意見書を書いていた。最終的には、この意見書は日の目を見ていませんが。この方は、私が大学院生だった頃に、ミトコンドリア病について教えてくれた恩師とも言える人物でした。

 ――阿部氏の手紙は、意見書作成の依頼だったのでしょうか。

 「我々は筋弛緩剤中毒ではない、と思っている。資料を送るので、見てほしい」という内容でした。前述の恩師が、「ミトコンドリア病である」と言っていることも書いてありました。

 しかも、僕は1989年に、患者Aさんと同じ、劇症型MELASの患者さんを失っています。生前は診断がつかなかったので、剖検までさせていただき、筋病理標本を持って、前述の恩師に相談しに行ったのです。そうしたら、「間違いない。劇症型のMELAS」だと。だから、阿部氏の手紙を見て、「これは、あの20年前のケースにそっくりじゃないか」と思ったわけ。しかも、同じ恩師がMELASと言っている。まさにめぐり合わせを感じた。だから、阿部氏の依頼を受けることにしたのです。

 ――それで資料などを送っていただいた。

 資料を見て、改めて「MELASに間違いない」と。また、筋弛緩剤投与による中毒であれば、血液や尿から筋弛緩剤が検出されるかどうかは重要な証拠になります。当時、ある県警の科学捜査研究所(科捜研)で調べて、「筋弛緩剤が検出された」とされていますが、その関連の資料を見て、「デタラメ」だと思った。

 ――何が「デタラメ」だったのでしょうか。

 HPLC(高速液体クロマトグラフィー)と質量分析を組み合わせた方法で調べているのですが、標準的な条件で実施していない。だから、標準的な条件で行った場合に臭化ベクロニウムのピークとして本来出るはずのものと、科捜研のデータのピークとは違っていた。しかも、なぜ標準的な条件で検査しなかったかについての説明がない。

 これはおかしい、と思った。実はこの仙台の事件が起きる少し前に、僕の大学時代の友人の医師がある刑事事件で逮捕されています。この事件では別の県警の科捜研が関係しており、その鑑定にも問題がありました。有罪が確定したのですが、僕は“冤罪”であり、友人の無罪を信じています。だから、科捜研の鑑定は、正しいとは限らないという思いがあった。

 ――率直にお聞きしますが、マスコミで大きく取り上げられた「仙台筋弛緩剤事件」に関わることへの抵抗はなかったのでしょうか。

 抵抗はなかった。むしろ科捜研や科警研(警察庁科学警察研究所)が、「デタラメなことをやることがある」ことを示すチャンスだと思いましたね。友人の医師のことが頭にあったので。

 ――実際に意見書を書いたのはいつごろでしょうか。

 2010年3月の末には、最初の意見書を書いていたと思います。既に「MELASである」とした意見書があったわけですから、それを改訂する形で書けばよかったので、そんなに時間はかからなかった。

 ――「患者Aさんの急変は、筋弛緩剤中毒によるものではなく、ミトコンドリア病の一つであるMELAS」である理由について、簡単に説明をお願いします(詳細は、池田氏のホームページを参照)。

 臨床医が診断をする際には、「全体のストーリーが、きれいに一つの診断で説明できるか」を考える。医師は駆け出しの頃から徹底的に鍛えられる。「この人の主訴はこれだから、主訴を説明できなければ、病名を付けても無意味」だと、徹底的に教わる。

 ――病名をつけるのが目的ではなく、患者さんを主訴から開放するのが目的だと。

 そう。では、患者Aさんの場合はどうだったか(表1、2)。主訴は「腹痛と嘔吐」であり、筋弛緩剤中毒では説明できない。さらにその後に生じた症状については、検察側証人の麻酔科医は、筋弛緩剤単独では説明できないために、筋弛緩剤投与による呼吸抑制で血液中の酸素不足が生じ、その酸素不足で低酸素脳症が生じたことによると説明しています。しかし、患者Aさんは、それでも筋弛緩剤の作用と矛盾する数多くの症状を呈しています。

表1
表2

――患者Aさんの症状は、筋弛緩剤中毒では説明できないとのことです(表1、2。インタビューのVol.1を参照)。

 「複視と瞬き」ですが、「物が二重に見える」ことだけを取り出せば、筋弛緩剤によると見えるかもしれない。しかし、同時に「瞬き」、つまり瞼を動かそうとしており、これは筋弛緩剤では説明できない。

 「構音障害と首の動き」も同様。確かに、筋弛緩剤により、神経筋接合部がブロックされて、「ろれつ」が回らなくなることもあります。しかし、構音障害が生じる原因は他にいくらでもある。これらを鑑別しなければいけない。患者Aさんは、構音障害と同時に首が動いている。これは筋弛緩剤では説明できない。

 さらに、痙攣している。この点が特に重要。筋弛緩剤投与では、痙攣するはずはありません。臭化ベクロニウムの効果は、通常の麻酔でも5分前後、遅くても10分以内に全身の筋肉に及びます。仮に殺人目的で投与すれば、もっとその時間は早く、全身に筋弛緩が起き、手足は動かなくなる。その作用は通常の投与量でも30分以上に及びます。ところが、患者Aさんの不穏な動きや痙攣は、点滴が始まってから、10分以内で始まり、30分以上にわたって続いています。

 そもそも筋弛緩剤で低酸素脳症が起きると主張するのであれば、いったいどのくらいの量がどんな早さで体に入ったかを説明できなければ、筋弛緩剤中毒説は単なる“空想”にすぎません。しかし、患者Aさんの体に入った筋弛緩剤の量と速度という、中毒学での最も基本的なデータが裁判では一切立証されていない。これでは低酸素脳症どころか、筋弛緩剤原因説を主張することすらできません。

 ――筋弛緩剤中毒では、何一つ説明できない。

 その通りです。腹痛や嘔吐、急変時の症状、呼吸数や脈拍数の変化、高乳酸血症、肥大型心筋症といった、患者Aさんの症状の中で医学的に極めて重要な症状や検査所見の数々は、すべて急性脳症で説明できますが、筋弛緩剤中毒では決して説明できません。言い換えれば、患者Aさんの症状を説明するために、筋弛緩剤を持ち出す必要など一切なかった。

 検察側証人の麻酔科医が、神経症候学を全く考えずに誤って診断した。「点滴後に、患者Aさんがおかしくなった。そこだけを注目して、筋弛緩剤中毒という誤った方向に走ったんだな」と直感的に分かった。

 では、いったい何の病気か。言い換えれば、「急性脳症の原因は何か」ですが、急性脳症の原因はたくさんあります。普通は、丁寧に除外診断をしていきますが、一方で、高乳酸血症と肥大型心筋症というキーワードが二つ入ると、もうミトコンドリア病以外にはない。

 ――患者Aさんは、クリニックから、地域の基幹病院に搬送されています。基幹病院での検査結果で、高乳酸血症と肥大型心筋症が認められています。

 なぜ高乳酸血症を見落としているか。それは、動脈血液ガスの測定と同時にルーチンで測っていたからでしょう。「乳酸が高いかもしれない」と疑って測定したわけではないから、数値の異常に気づけなかった。

 患者Aさんの検査では、頻繁に高くなっているのに、診療録に「乳酸値」が高いという記載は全くない。

 ――けれども、検査データを見ると高い。

 そうです。だから「見逃した」と説明が付く。また肥大型心筋症ですが、急性脳症の原因が分からず、痙攣が起きた。それで、全身の原因検索のために、心エコーを行っている。そしたら、肥大型心筋症が見られた。そこまでは分かった。しかし、肥大型心筋症が脳症とどうしたら、結びつくのか、その点までには考えが至らなかったわけです。

 ――どの程度の経験を積んだ、あるいはレベルの医師であれば、「高乳酸血症と肥大型心筋症」と聞けば、ミトコンドリア病と診断できるのでしょうか。

 神経内科医、あるいは小児神経科医なら誰でも分かること。そのほか、総合内科の医師なども診断できるのではないでしょうか。

 ――仮に、ミトコンドリア病と診断されたら、患者Aさんはどうなっていたのでしょうか。

 患者Aさんは今は植物状態だとお聞きしていますが、治療は難しかったと思います。

 ――裁判の過程でも、ミトコンドリア病であることは明らかにならなかった。

 それは複数のファクターによるでしょうが、検察側、弁護側、両方に問題があると思います。「筋弛緩剤中毒が原因なのか、否か」という視点しかなかった。そこが大きい。弁護側も「筋弛緩剤中毒以外の病気であると主張するのがいい」と考えてはいたかもしれません。しかし、刑事裁判の立証責任のロジックを考えると、他の原因を考えるよりもまず、「筋弛緩剤中毒」を否定することが重要だと考えるのは、致し方ないのかもしれません。裁判では、検察側、弁護側それぞれの証人として麻酔科医が出ていますが、「麻酔科医 vs 麻酔科医」の構図になったのも、こうした事情からでしょう。

 なお、弁護側の証人である麻酔科医が、筋弛緩剤原因説を否定し、急性脳症の可能性を指摘していました。しかし、裁判では、急性期のX線CTで異常が認められなかったため、急性脳症を否定されています。しかし、急性脳症を含む、多くの脳の急性疾患では、急性期のX線CTに異常が認められないことは、神経内科医以外にも常識でしょう。

 ――刑事裁判では、起訴事実以外のことは争えない。

 そうした刑事裁判の考え方自体の問題が、後々まで実はひびいてきている。今回、まず僕が書いた意見書は、「患者Aさんの病気は、MELASである」という内容。しかし、この裁判では、まず「筋弛緩剤中毒」を否定することが重要であり、その内容を書き加えたのです。現時点での最終版の意見書は、「MELASである」ことには一言も触れずに「筋弛緩剤中毒ではあり得ない」ことのみを書いたものと、「MELASである」ことを説明した意見書の二部構成になっています。

 刑事裁判は、臨床医からすれば別の世界。医師は普通、こうしたロジックでは考えない。

 ――何かを導くためのロジックは考えるが、否定するロジックは考えない、ということですか。

 そうです。MELASであることが明確なのですから、筋弛緩剤中毒は自動的に排除されると医師は考える。だから今回、意見書を書いたのは非常に勉強になりましたね。

 阿部氏、そして僕自身も、何人かの麻酔科医および神経内科医に、意見書作成を打診した。しかし、断られる。もちろん、「刑事裁判なんて、面倒なことにはかかわりたくない」との思いはあるでしょうが、もう一つ大きな理由として、僕が感じた「違和感」があるからでしょう。筋弛緩剤中毒の意見書ならば、麻酔科医に依頼する。しかし、「MELASならば、神経内科の仕事だろう。なぜ麻酔科医の意見書が必要なのか」となる。一方、神経内科医であれば、「池田先生が書いたのなら、もう必要ないでしょう」と。


2011.01.11-18 記事提供:共同通信社

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