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東日本大震災に伴う停電や、東京電力などによる輪番停電(計画停電)の際、電力を補うため活躍したのが非常用発電機だ。公共施設や通信設備、病院など、24時間停止が許されない施設に必要な電力を供給した。なかでもサーバーやルーターなど大量の業務用IT機器が設置されているデータ・センターでは、高出力のガス・タービン発電機を稼働させることで停電時もシステムをダウンさせずにすんだ。 だが今夏に電力需要家に課される「ピーク電力の25%削減」は、データ・センターにとっては輪番停電よりはるかにハードルが高い。現在データ・センター事業者の間では、複数の事業者がグループを組み、回り持ちで商用電力をカットして非常用発電機を回す「輪番発電」の実施が検討されている。だが「これまで経験したことがない運用。発電機の保守から燃料の供給体制まで1つでも問題が発生すれば、サービス停止に追い込まれる」(データ・センター事業者)など不安の声が絶えない。電力不足を乗り切るカギを握る非常用発電機の運用について、川崎重工業 ガスタービン・機械カンパニー エネルギーソリューション営業部長の田中雄二氏に聞いた。(聞き手は浅川直輝) -------------------------------------------------------------------------------- ――非常用のガス・タービン発電機はどのような場所に使われているのか。 24時間停止が許されない施設、例えば官公庁のシステム、通信設備、民間のデータ・センター、病院などに入っている。今回の震災では、通信インフラの復旧のため通信事業者に電源車を数十台供給したが、その電源車に使われるのもガス・タービン型が多い。ディーゼル・エンジン型と比べたガス・タービン型発電機の利点は、小型で大出力を得られること。さらに、空冷式のため冷却水が不要で、断水時でも使える。 ――3月の計画停電でデータ・センターを持つ事業者は、停電する3時間だけ発電機を回すことで事業を継続できた。今夏では、「4日に1回、24時間発電機を回す」など、これまでにない運用が求められる。非常用発電機で対応できるか。 連続運転については問題ないと考える。ただし、累積運転時間が1000時間を超えた場合にはオーバーホール(分解・再組み立て)が必要だ。常時稼働型の発電機と違い、非常用発電機は部品の耐久性に限界がある。例えば、常用型はタービンの軸が滑り軸受けだが、非常用はボール・ベアリングを使っている。運転時間が1000時間を超えると、このボール・ベアリングやタービン・ブレードの一部を交換する必要が生じる。 おそらく、今年の夏は累積運転時間が1000時間に達する発電機が次々に現れるだろう。例えば、1日8時間の運転を30日間続ければ、それだけで240時間に達する。保守の観点では起動1回分を「1時間」と換算するため、この場合は実際には1日9時間、270時間が累積運転時間になる。 ――次々にくるオーバーホールの要請に対応できそうか。 1000時間が経過した発電機は、オーバーホール済みの発電機とまるごと交換することになる。交換に要する時間は1日未満なので、データ・センターの運営に支障を来すことはないだろう。こうした交換用の予備機を、当社は大小あわせて100台以上持っている。夏までにこの数を1.5倍に増やすつもりだ。 とはいえ、一度に大量の注文が来るとさばききれない可能性はある。オーバーホール作業は1台あたり1カ月ほどかかるため、予備機が足りなくなる事態も想定される。このため、例えば現時点で既に累積運転時間が600〜700時間を超えている場合、夏までにあらかじめ交換作業を済ませておくことを顧客に勧めている。 ――データ・センターでは非常用発電機の燃料に、軽油と比べ安価なA重油を使うことが多い。だがA重油はもともと生産量が少なく、今夏は需要が供給を大幅に上回る可能性がある。軽油など他の燃料での代用は可能か。 緊急時対応という前提だが、まず問題を技術的な話、法律的な話に分ける必要がある。純粋に技術的な視点でいえば、我々のガス・タービン発電機は(A重油と成分が近い)軽油を入れても問題は起こらない。今A重油が入っているタンクに軽油をそのまま混ぜてしまっても動作する。燃えるものなら幅広く使えるのがガス・タービン発電機の利点だ。 ただし、通常と異なる燃料を使う場合、消防法の問題をクリアする必要がある。発電機のタンクには、あらかじめ消防庁に届けた種類の燃料しか入れてはならないからだ。また軽油はA重油と比べ、税金がかかる分だけ高コストになる。燃料の供給体制が整わないとすれば、(規制の緩和など)何らかの緊急措置的な対策が求められそうだ。
2011.04.15 提供: Tech-On! |
【東日本大震災】「エアコンは1つの部屋で」、野村総合研究所が家庭の節電対策を提言 野村総合研究所は、東京電力管内の電力不足に備えた家庭の節電対策について、4月上旬に実施したアンケートに基づく提言を発表した。いくつかの節電対策を講じることで、一般的な家庭で696Wの電力を節約できる(ニュース・リリース)。なかでもエアコンの使用台数を減らすことで高い節電効果を見込めるという(図1)。
野村総合研究所は4月1日〜4日にインターネット上で実施したアンケートをもとに、3月の電力不足に対応した節電対策の実施率を集計した。「照明をこまめに消灯する」は86%の世帯が実施していた一方、「使用するエアコンの数を減らす」は34%にとどまっていたという(図2、3)。「ここに大きな削減余地がある。家庭内ではなるべく1つの部屋に集まり、他の部屋のエアコンを切ることで、大きな節電効果が期待できる」(同社 未来創発センター ICT戦略研究室 上級コンサルタントの伊藤剛氏)。
エアコンの設定温度を1度上げた場合、東京電力管内の節電効果は20万kW。使用台数を減らした場合は81万kWに達するという 浅川 直輝
2011.04.15 提供: Tech-On! |
こんなこと無理かな? 復興では被災地が将来にわたって自活していけるような、生活基盤・産業基盤が必要です。津波が来ない高台に住宅地を配置するまちづくりの計画や、太陽光や水力発電など再生可能エネルギーを活用した地産地消の電力システム、IT技術を駆使してまち全体の電力効率を高めるスマートシティなど、国や県などが主導すべきマクロな復興計画づくりが議論され始めました。 このようなまちづくりに加えて、被災地が経済的に持続可能な経済基盤を確立するための産業振興策も必要です。持続可能な経済基盤をつくるとは、民間企業が地元に投資を行い、人を雇用する。投資から売り上げを立てて投資を回収する。そして、収益の中から再投資を行う。以上の投資・回収・再投資の好循環を長期間にわたって回し続ける仕組みづくりが必要になります。今回のコラムでは、この仕組みづくりのためのビジネスプラン作成について書きたいと思います。 東北地方は元々過疎化・少子高齢化などにより、経済基盤の弱体化が懸念されていました。また、産業振興は一時的に国や県がお金を投じてまちを整備したり建物を建設すれば良いものではありません。歴史的にも、社会主義国の計画経済の失敗を見れば、国が主導したトップダウンの経済発展が大変難しいことがわかります。 米国のシリコンバレーは起業のメッカといわれており、Apple社やGoogle社など米国経済を牽引する巨大企業を生み出してきました。これは、国や州などのリーダーシップで生まれた結果ではありません。むしろ、個々のエンジニアが「自分の開発した技術を実用化したい」という思いからベンチャー企業を起業する。厳しい競争を生き残ったベンチャー企業が発展して大企業になり、結果としてシリコンバレーにエレクトロニクスの大きな産業基盤ができ上がったのです。つまり、トップダウンのリーダーシップではなく、数多くのエンジニアのボトムアップの活動により、シリコンバレーは作られたのです。 被災地の産業基盤の確立には、エンジニアをはじめとする多くの人々が数多くの事業を提案し、その集合体として、マクロな経済を復興させる――。大変時間のかかる話かもしれませんが、トップダウンよりはボトムアップを得意とする日本ではこのやり方しかない、と私は考えています。もっとも、シリコンバレーの真似をして、エンジニアがベンチャー企業を起業する必要は必ずしもありません。各エンジニアの置かれている状況に合わせて、自分に合った事業の創造を行えばよいのです。 この産業振興案の提案は、MOTではビジネスプランの作成ということになります。ビジネスプランとは事業計画の概要で、技術で差異化を行う製品開発の場合には、事業の目的・事業を行うメンバー(経営者や技術者)のチーム編成・市場の規模と成長性・競合と比較した技術面等の強みや弱み・事業に必要な投資金額・想定されるリスクなどをまとめたものです。 ビジネスプランの中では、特に、なぜあなたの事業が競合に比べて勝るのか、について説得力を持たせることが重要です。ビジネスプランは最初から詳細に作る必要はありません。まずは非常に大雑把な骨格を作り、投資家や顧客、協力企業と議論する中でブラッシュアップし、より現実的で詳細なプランにしていくのです。この方法をエンジニアであるあなたが身につけると、様々な可能性がグッと広がります。 産業振興案のビジネスプランの一つの事例として、私が今考えている案をご紹介します。まだ大変大雑把で未熟な案ですが、かねて産業振興の相談を受けていた岩手県(例えば北上市)をモデルにした、SSDを用いた低電力のスマート・データセンター事業です。 【市場】−情報爆発によりデータセンターは成長市場− 【提案する技術の特徴】−SSD採用によるデータセンターの低電力化− サーバーの設置コストの面では、SSDはHDDに比べて10倍以上価格が高いです。しかし、HDDをSSDに置き換えることで消費電力を削減できます。ストレージで消費される電気代とストレージを冷却する空調代を削減できることから、SSDはコスト面でもメリットが出てきており、Google社などのデータセンターで採用され始めています。性能面でも、インターネットの検索やクレジット・カードの認証が桁違いに高速化されるといった利点があります。フラッシュ・メモリを搭載したSSDはこのように劇的にデータセンターの消費電力を低減し、地球環境に優しいITインフラを実現する可能性を秘めた技術と言えます。 【コストのメリット】−岩手県には地の利がある− 【技術のメリット】−日本のお家芸:フラッシュ・メモリ技術との連携− 川上企業と川下企業の統合は、単に工場が近くにあれば良いわけではありません。両者をつなげるためには、次に述べるシンガポールの例のように、大学や国の研究機関の研究者が、データセンターに向けたフラッシュ・メモリの低電力技術や、データセンターで必要とされる高い信頼性を確保するSSDの高信頼システム技術といった、川上と川下を結び付ける技術を開発し、産業界をサポートすることも必要になるでしょう。 【競合】−学ぶべきモチーフはシンガポール− 【解決すべき課題】−電力コストの低減には新たな仕組みが必要− このような提案を実現するための課題はたくさんあると思います。しかし、赤道直下で常夏という、空調コストでは最も不利なシンガポールが国策としてデータセンター事業を展開しているわけですから、知恵を絞れば解決策は出てくるのではないでしょうか。また、先日私がDSIから招待を受けたのは、今後重要になるSSD技術をシンガポールは持っていないので教えてほしい、という理由でした。SSD技術を持つ日本には大きな強みがあるのです。 以上、産業振興案の一つの例として、スマート・データセンター事業を紹介させて頂きました。この提案が良いかどうかはさておき、エンジニアのみなさんがそれぞれの立場で、ご自身の専門を生かした事業のビジネスプランをぜひ作ってみて下さい。 例えば、大企業で裁量のある立場の人であれば、大企業のインフラを活用して、被災地で事業を始める。地方自治体に勤めている方でしたら、民間企業の産業を振興するような税制や補助金の制度を提案する。製品開発に携わる方でしたら、寒冷地のメリットを活かして東北で事業展開できる製品を考える、などです。 こんなこと無理かな?と思わずに。エンジニアとして一生懸命働くあなたの中には既にネタはあるはず。まずは具体的にビジネスプランを考え、書いてみることで自分の頭が整理でき一歩踏み出せる、議論してブラッシュアップすることで実現に近づく、それが被災地の産業基盤の復興になる、そして日本の産業競争力の強化につながる、とプラスの輪を少しずつ広げていければ、と考えています。
2011.04.19 |
東芝は,2011年4月18日に,同日時点での東日本大震災に伴う東芝グループの対応について発表した(ニュース・リリース)。今回は,3月22日の発表に比べて(Tech-On!関連記事),節電などの電力不足の対応策や原子力発電所の安全確保に力点が置かれた内容だった。 今回の対応策は6項目からなる。「1:節電対応策」,「2:福島原子力発電所の安全確保に向けた協力支援」,「3:東北・関東地域における電力供給不足の解消に向けた支援」,「4:被災者・被災地支援」,「5:従業員の安否確認」,「6:事業所・工場の復旧」の六つである。 まず,1:節電対策である。東京電力管内における事業場の夏季の消費電力削減への対応内容を決めた。主な内容は二つある。一つは(a)長期夏季休暇の実施,もう一つは(b)各拠点の個別対応策である。 このうち(a)の夏季休暇に関しては,6月中旬から9月末までの間,東芝グループ全体で輪番制にて数週間程度(連続または1週ずつ)の夏季長期休暇を設定した。例年の夏季休暇は1週間程度だが,今年は数週間に延長する。具体的には,事業所を複数の組みに分けて,1組を休業とする体制を構築することによって,東芝グループ全体として政府方針に沿った消費電力の削減を目標にする。 この夏季連休は,夏季以外の土曜休日を振り替えることを予定している。さらに,夏季に勤務する週には平日と土曜日の振替も実施し,夏季平日の電力消費抑制に努める。また,上記の休日設定のみでは電力抑制が不足しているようであれば、始業時間の前倒しについても検討していく。 (b)各拠点の個別対応策は以下の通りである。生産面では,上記のような労務施策と連動して,製造の一部を夜間・休日にシフトすることで,拠点内における生産設備の使用電力の平準化に努める。また,製造やサーバーの一部を東京電力・東北電力エリア外へ一時的にシフトすることや,開発設計者の一部については一時的な在宅勤務や西日本の拠点での業務従事とすることなども検討している。 このほか,安全な職場環境を維持した上で,照明の削減や空調の温度設定・稼働時間の見直しや,自家発電設備の拡充など,可能な施策を積極的に進めることで,ピーク電力時の使用電力低減に努める。 原発の安全確保で毎日190人が現地作業 次に,2:福島原子力発電所の安全確保に向けた協力支援である。福島第一原子力発電の安全確保に向けては,地震発生直後に本社と原子力のエンジニアリング拠点である磯子エンジニアリングセンターに専門の対策チームを設け,24時間体制で情報の収集分析や対策の立案を進めてきた。そうした中で,政府および東京電力からの要請を受けて,原子力技術者を東京電力本店や福島第一,第二原発に派遣し,技術的な支援・検討を行っている。また,東北電力の女川原子力発電所にも人員を派遣し、協力しているという。 現在,ウェスチングハウス社,ABWR供給のパートナーであるショー・グループ,大手原子力関連機器メーカーであるバブコック&ウィルコックス社(B&W社),米国大手電力会社のエクセロン社の協力もあり,技術者を中心に約1400人の体制で対応している。このうち現地で支援活動を行った人数は累計で600人を超えた。平均190人以上が現地で毎日支援作業を行っている。 また,東京電力に警報付ポケット線量計45個を提供し,冷却水ポンプ用電動機5台,バッテリー2000個,水中ポンプ150台,変圧器,分電盤,電源ケーブル等を納入した。さらにB&W社は,化学プラント等で使用実績のある同社が保有する防水性作業服全744着を東芝を通じて東京電力に提供した。ウェスチングハウス社は燃料プール等の状況確認が可能な軍用の無人ヘリおよびその運用サービスを東芝を通じて東京電力に納入した。 なお,東京電力の要請に基づき,4月4日にウェスチングハウス社,ショー・グループ,B&W社の協力を得て,現在注力している安全保全に関する短期的対応および燃料取り出し,瓦礫除去,放射性廃棄物処理,環境モニタリング等の中長期的なマネジメントプランを提案し,4月12日にはエクセロン社の知見を加えた総合マネジメントプランを提出した。さらに,東京電力からの指示により,フランスのアレバ社や米国のクリオン社から水処理装置の提供を受けたうえで,東芝が放射能を帯びた滞留水の処理システムの計画を取りまとめた。 約750万kWの復旧に貢献 3:東北・関東地域における電力供給不足の解消に向けた支援については以下の通りである。東芝グループでは,現在220人からなる対策チーム(上述の原発対応の1400人は別)が電力供給不足の解消の支援に当たっている。 電力会社の要請に基づき,東京電力と東北電力の被災した火力発電所および変電所・開閉所など送変電設備の早期復旧支援や,定期検査中の火力発電所の運転再開前倒しに向けて技術員の派遣や部品・修理品の納期短縮,休止中の火力発電所の運転再開に向けての支援等を最優先にして協力している。今夏までに東京電力と東北電力管内で,当社支援担当分として,約750万kWの復旧に貢献していくとする。 義援金を5億円追加し,10億円に 4:被災者・被災地支援については以下の通りである。東芝は震災発生当初に義援金5億円相当の支援を決定したが,今後の復興支援へのいっそうの協力のために5億円を追加し,総額で10億円規模とする。 同社はこれまでに,避難所などに食糧や日用品、家電製品などの物資を提供し,エコノミークラス症候群診断用に超音波診断装置,仮設・復興住宅向けに省エネ型家電機器,仮設・復興住宅の共用棟(集会所)向けに太陽光発電システム・蓄電池・省エネ型家電機器を100棟分を提供した。 被災地域における雇用創出に協力するための取り組みも行う。例えば,津波で大きな被害を受けた漁業の復興支援に向けて,漁業協同組合へ漁船を提供する。また,被災した電気店の復興支援対応として販売スペースや車両の提供、サポート人員の派遣などを行う。さらに東北地方にあるコールセンター機能の強化などを含めて,様々な形態での雇用創出の協力に努めていく。 5:従業員の安否確認については以下の通り。4月15日現在で,東北・関東在住のグループ社員7万4104名のうち7万4103名の無事を確認している。引き続き1名の安否確認に全力をあげている。 TMDの深谷のライン,月末には全面稼動へ 6:事業所・工場(事務所・営業拠点を除く)の復旧に関しては,以下の通りである。現在復旧作業中の主なグループ会社は岩手東芝エレクトロニクスと東芝モバイルディスプレイ(TMD)の2社とする。 このうち,岩手県北上市にある半導体製造子会社の岩手東芝エレクトロニクスでは,4月18日から一部生産を再開した。なお顧客への影響を最小化するために,一部製品については,既に大分工場や姫路半導体工場,加賀東芝エレクトロニクスで対応している。 埼玉県深谷市の東芝モバイルディスプレイの深谷生産ラインでは,3月28日に一部稼動を開始し生産を行ってきたが,4月末には全面稼動の予定とする。なお,一部製品については,石川工場での対応を実施している。小島 郁太郎
2011.04.18 記事提供:Tech-On! |
原子炉爆発という原子力発電の歴史で最悪の旧ソ連チェルノブイリ原発事故から26日で25年。福島第1原発事故の深刻度が国際評価尺度で同等の「レベル7」とされたことも加わり、再び世界の注目が集まる。当時まき散らされた高濃度の放射性物質による健康被害が続き、原発解体にはさらに100年以上の長い時が必要とされている。 × × 狭くて薄暗い病院のベッドに、15歳の女子中学生アナスタシアさんが静かに座っていた。あどけなさの残る笑顔の下、あごから首にかけて、白い肌に10センチ以上残るJ字型の赤い傷痕が痛々しい。 「甲状腺がんの手術痕だ。彼女はチェルノブイリ事故の汚染地域に住んでいた」。ウクライナの首都キエフにあるこの病院を併設する国立内分泌代謝研究所のテレシェンコ医師は、小声でこう説明した。 ここではほぼ毎日、数人の甲状腺がんを手術する。「心臓が痛み、呼吸が苦しくなる」。3カ月前に発症した同じ病室の中年女性は、病の苦しさをこう説明した。 事故は1986年4月26日、旧ソ連ウクライナ共和国で発生。飛散した放射性物質セシウム137は半減期が約30年と長く、今も影響が懸念されている。 放射性ヨウ素も拡散し、子供を中心に甲状腺がんが多発した。このがんは、小さくても転移しやすい性質を持つことなどが同研究所の調査で判明。アナスタシアさんは事故の10年後に生まれたが、同様に「放射線が影響したがんの特徴がある」(同医師)という。 同研究所のトロンコ所長が事故時に汚染地域にいた18歳以下の甲状腺がんの発症例を示すデータを見せてくれた。86年には年間19人だったが2009年には同592人。発症者は20年以上、毎年増え続けた。 「潜伏期間があるから年々増えるのは不思議ではないが05年ごろに減少に転ずると考えていた」と同所長。同研究所で手術したのは6049人。国連報告書も6千人以上が罹患(りかん)したとしている。 事故後の甲状腺がんは、多くの場合はヨウ素剤の服用で効果的に防ぐことができたとされる。しかしソ連政府は数日間、事故を隠したため、子供たちにヨウ素剤を飲ませることができず、被害が拡大した。 「私たちは事故対応を誤った。だから福島第1原発の事故が気になる。日本ではすぐにヨウ素剤は飲ませたのか」。長崎大などから被ばく医療を学びながら患者と向き合ってきた所長は、記者に何度もこう質問した。(キエフ共同) ※チェルノブイリの健康被害 チェルノブイリ原発事故では大量の放射性物質が飛散、周辺地域で甲状腺がんの増加など重大な健康被害が発生した。事故の影響による死者数は、国際原子力機関(IAEA)などは約4千人、世界保健機関(WHO)は最大9千人と推計。約20万人とする環境団体もある。WHO下部組織は、がんによる死者数は旧ソ連の現場周辺国と欧州の計40カ国で、1986年の事故から2065年までに約1万6千人に達する恐れがあるとしている。
2011.04.19 提供:共同通信社 |
石巻赤十字病院(宮城県石巻市)で東日本大震災後、肺炎で入院した患者が昨年同期比5〜6倍の約150人に上り、このうち少なくとも11人が死亡したことが19日、病院への取材で分かった。 粉じんや乾いたヘドロから舞う化学物質が原因とされる肺炎や誤嚥(ごえん)性肺炎が増えているとみられ、矢内勝(やない・まさる)・呼吸器内科部長は「外出時は必ずマスクをつけ、食後は歯磨きやうがいをして口の中をきれいにしてほしい」と呼び掛けている。 同病院よると、震災当初は、津波をかぶったことによる低体温症が原因の肺炎や、飲み込んだ海水が肺に入り炎症を起こす「津波肺」の患者が多かった。 誤嚥性肺炎は寝ている間に飲み込む唾液の一部が口の中の雑菌とともに気管支に入り発症するケースがあり、震災1週間後ぐらいから、空せきや、たんがからんだようなせきをする患者が増えた。特に高齢者の患者が多く、同病院は避難所生活による体力低下も影響しているとみている。 矢内部長は「詳しい原因は調べてみないと分からないが、避難所では歯磨きするのも難しいところがあり、口の中が汚れがち。さらに寝ている時間が長くなるため、雑菌の多い唾液が肺に流れ込む可能性が高くなる」と分析する。 肺炎患者は、津波被害の大きかった沿岸部の気仙沼市立病院(宮城県気仙沼市)や岩手県立宮古病院(岩手県宮古市)でも増加しており、東北大の貫和敏博(ぬきわ・としひろ)教授(呼吸器内科)は「高齢者は糖尿病や心臓疾患などの持病がある人が多く、肺炎を併発する危険性が高いので注意が必要だ」としている。
2011.04.19 記事提供:共同通信社 |
東日本大震災の震源域の東側で、マグニチュード(M)8級の巨大地震が発生する可能性が高いとして、複数の研究機関が分析を進めている。 日本海溝の東側で海のプレート(岩板)が引っ張られる力が強くなっているためで、早ければ1か月以内に津波を伴う地震が再来する危険がある。 M9・0の東日本大震災は、押し合っていた海のプレートと陸のプレートの境界面が破壊されて起きた。そのため周辺の地殻にかかる力が変化し、東日本全体で地震が誘発されている。 京都大防災研究所の遠田晋次准教授(地震地質学)は全地球測位システム(GPS)の測定データから、海のプレート内部で引っ張られる力が強くなっていることを突き止めた。明治三陸地震(1896年)の37年後、昭和三陸地震を起こしたメカニズムと共通しているという。「今、昭和三陸規模の地震が起きると、仙台市で10メートルの津波が押し寄せる計算になる」と言う。
2011.04.14 記事提供:読売新聞 |
30キロ圏外も避難指示区域へ、飯舘村も対象に2011年4月11日 提供:読売新聞 政府は、屋内退避指示が出ている東京電力福島第一原子力発電所から20-30キロ圏内について、避難指示に切り替えるとともに、新たに30キロ圏外の地域も避難指示対象とする方針だ。 大半が30キロ圏外となる福島県飯舘村などを念頭に置いたもので、放射線量の計測値によって避難指示区域の拡大を検討する。 枝野官房長官は11日午前の記者会見で、「放射線量のモニタリングの結果や気候などを踏まえて最終的な詰めをしている。同心円的な対応ではない。関係地域の皆さんとは話を始めている。風向きや地形にも影響される」と述べ、地元自治体とも調整を進めていることを明らかにした。 政府はまた、避難指示を出している20キロ圏内について、指示に従わない住民もいるため、法的拘束力の強い「警戒区域」に設定する方針だ。同区域に設定すれば、市町村長により、強制力のある退去命令や立ち入り禁止などの措置を取ることが可能になる。枝野氏は会見で、「半年、1年を見通しての対応なので、しっかり準備する」と述べた。 福島県、2757か所で放射線測定へ2011年4月11日 提供:読売新聞福島県は10日、福島第一原発の放射能漏れ事故以降、県内約70か所で行ってきた大気中の放射線量測定を大幅に拡充し、2757か所で実施すると発表した。 公立と私立高校の全104校のほか、公園750か所、道路や公民館、商店街など、日常生活に即した場所に重点を置いて測定。そのうち20か所では土壌に含まれる放射性物質の濃度も調べる。 県は、原発事故後、約70か所で放射線の常時測定を続けているが、住民からはより詳細な調査を求める声が寄せられていた。測定は12-15日、避難指示区域(原発から半径20キロ・メートル)内の4町を除く55市町村で行われる。 地表から高さ1メートルと1センチのそれぞれの空間放射線量を測定し、翌日に速報値を公表する。 さらに、70か所では空気中のちりを採取し、放射性物質の濃度を調査する。 原発20キロ圏を警戒区域に 住民の一時帰宅で政府 退去命令など強制措置2011年4月11日 提供:共同通信社 政府は10日、福島第1原発事故で避難指示を出している半径20キロ圏内について、住民の一時帰宅実施の前提として、退去命令など強制措置が可能な警戒区域とする方針を固めた。既に福島県内の関係する市町村に打診している。政府の指示に従わない立ち入りや一時帰宅した住民が退去を拒む事態を想定し、安全確保には規制を強化する必要があると判断した。 枝野幸男官房長官は10日午後、記者団に「最終段階の詰めをしている。(発表は)そう遠くない」と説明。20キロ圏外の一部が警戒区域に含まれる可能性は「どの範囲をどうするか詰めている」と述べるにとどめた。 これに先立ち、福山哲郎官房副長官は10日午前のフジテレビ番組で「(一時帰宅の)前の段階として、市町村と相談して警戒区域に設定する必要があるという認識だ」と明言した。 警戒区域は、市町村長が災害対策基本法に基づき設定するが、原子力災害対策特別措置法により国が指示できる。防災関係者ら以外の立ち入りを禁止したり、退去を命じることが可能。従わない場合は罰則規定がある。福島県は既に警戒区域設定を認めるよう国に求めている。 福山氏は一時帰宅に関して「重要なものを取るために1〜2時間戻っていただき、その後の除染措置や(放射性物質の有無を調べる)スクリーニング計画もしっかり立てる」と説明。実施時期は「風向き、原発の状況をみて判断する。早くやっていきたい」とした。 半径20〜30キロ圏内の同心円状に出している屋内退避指示は、風向きによる放射性物質の飛散状況を踏まえ、拡大を含めて再検討すると表明。建屋外の立て坑にたまった高濃度の汚染水を復水器に移送する作業に関連し「注水しているから水はたまる。第2、第3の方法を並行して考える」と述べた。 校庭の放射線量、1648か所の速報値発表2011年4月9日 提供:読売新聞 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、小中学校や幼稚園などの校庭で放射線量を測定してきた福島県は8日、全1648か所の速報値を発表した。 最も高かったのは、浪江町の津島小学校で毎時23・0マイクロ・シーベルトだった。県は、結果を基に子供たちの屋外活動の可否を判断する方針だが、現状では基準がないため、国に基準を示すよう求めている。 発表によると、5-7日、子供の屋外での活動を想定して地面から高さ1メートルの地点で測定し、浪江町の3か所で同23・0-18・8マイクロ・シーベルト、飯舘村の7か所で同14・0-8・3マイクロ・シーベルトとなった。 これら10か所のうち9か所は子供が避難して現在は使用されていない。残る1か所の保育所は子供がいるが、屋外での活動を控えており、県生活環境部では「当面は問題はない」と説明。このほかの市町村については「直ちに健康に影響するレベルではない」としている。 測定は、福島第一原発から半径20キロ圏内の4町を除く55市町村の全ての小中学校と幼稚園、保育所、特別支援学校の校庭・園庭などで実施した。一般の人が自然界以外で浴びてもよいとされる年間許容量は1000マイクロ・シーベルト。
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ワシントン共同】米エネルギー省は7日、福島第1原発周辺の地上で観測される放射線は放射性ヨウ素から出ているものが最も多いと指摘した分析結果を発表した。 線量が3月19日以降、低下傾向を示しており、半減期の比較的短い放射性ヨウ素の崩壊が進んでいると考えられることが理由。 周辺の土壌に悪影響を及ぼすことが懸念される放射性物質のうち、放射性ヨウ素は半減期が約8日で比較的短期に線量が低下する一方、放射性セシウムは30年と長く、長期にわたって影響を及ぼす可能性がある。
2011.04.08 記事提供:共同通信社 |
日本以外で検出された量は極めて微量で、人体や環境への影響はないという。 同原発からの放射性物質は、3月12日に群馬県高崎市で観測された後、14日にロシア東部、16日に米西海岸に到達した。その後、大西洋を越えて、23日頃にはアイスランドでも検出された。 同委員会では、高崎市など世界63か所で観測施設を運営している。 また、当然アメリカ各地の上水道からも同原発からと思われる、放射性物質が検出されている。
2011.04.08 提供:読売新聞 |
厚生労働省は7日、福島第1原発事故を受け、妊産婦や乳幼児の母親向けに、放射線の胎児や赤ちゃんへの影響について解説したパンフレットを作成した。 「心配しすぎる必要はない」といった表現が繰り返されているが、根拠となる数値や事実はほとんど示されておらず、主婦連合会の佐野真理子(さの・まりこ)事務局長は「原発事故の余波が続いているのに『この基準以下なら絶対に安全』と言える人はいない。政府がこんな手引を出すとは信じられない」と批判している。一方、厚労省は「できるだけ分かりやすく伝えるため、難しい表現を避けた」と説明している。 パンフレットでは「避難指示や屋内退避指示が出ている地域以外の放射線量はわずかな値」「自然界にもともと存在する放射線量より高い数値が雨水から検出されることもあるがいつも通りに対応を」と強調。「お子さんを外で遊ばせることや雨について、心配しすぎる必要はありません」「日本の水道水は、乳児でも安心して飲めるよう、安全を考えて管理されています」などと明記されている。 4月中旬から、宮城、福島、東京など1都8県で配布。妊婦健診を行う医療機関や幼稚園、保育所のほか、厚労省のホームページからも入手できる 国民を馬鹿扱いして、詳しい説明を避け、安心の根拠を説明しない官僚主義、自分たちだけはその数値を確認して保身しているのか?
2011.04.08 提供:共同通信社 |
下記のような情報が入りました。 余震および誘発地震 活動 火山活動
2011.04.09 |
住民同士の信頼感が低い地域ほど高血圧を誘発する? そんな結果を、島根大疾病予知予防研究拠点の濱野強専任講師らの研究グループが突き止めた。ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)と呼ばれる地域社会の人間関係から血圧に与える影響にアプローチしたもので、濱野講師によるとこの手の研究成果は世界でも初めて。米国の学術誌「アメリカンジャーナルオブハイパーテンション」電子版に掲載された。【細谷拓海】 調査は08〜09年に行い、雲南、出雲両市に住み、特定検診を受けた住民を対象に実施した。インタビュー形式で有効回答を得た335人(平均年齢69・7歳)を、居住地域の郵便番号ごとに30地区に分け、血圧について調べた。 その中で、地域内で「他人は機会があればあなたを利用すると思うか」という問いに「はい」と答える人の割合と血圧の関係について調べた。投薬や喫煙など12項目の影響を除いて分析したところ、「はい」と答えた人の割合が1%上がると最大血圧は22・9ミリHg高くなる傾向があった。調査では、糖尿病の投薬治療▽喫煙習慣▽肥満▽高齢--によって血圧が上がる結果も出ていたが、人間関係も高血圧に影響していることも明らかとなった。 ソーシャル・キャピタルに詳しい静岡県立大経営情報学部の藤澤由和准教授(医療政策学)は「これまで高血圧対策の主眼は、個々の生活習慣の改善を通して行うものが主流だった。今後は地域内の人間関係を深めるなど居住地域ごとの対策も加味することで、より効果的な予防が期待できるのではないか」と今回の研究成果を評価している。
2011.04.06 記事提供:毎日新聞 |
(1)原子力保安院の大罪1(中部大学教授 武田邦彦)
・原子炉は震度6の設計 ・原子力委員会(推進役)と原子力安全委員会(規制役)が実質機能せず 経済産業省の原子力安全・保安院が原子力産業の推進役となっている。 (誰も監視していない) (2)原子力保安院の大罪2(中部大学教授 武田邦彦) ・原発の安全は誰が考えるのか ・震度7以上の設計が必要(今回の福島原発の地域は震度6) ・放射能からどう身を守るか ・放射能は風によって流さ、その流れる方向が問題(気象庁はなぜ風の 流れをビジュアル化しないのか) ・国民不在の原子力政策が今も行われている (3)福島原発に何が起きているか?(中部大学教授 武田邦彦)
今までの原子炉の事故の経緯と最も心配していた“爆発”(チェリノブイリ型) がない事が判明した。
2011.04.05 |
IAEA(国際原子力機関、本部はスイスのジュネーブ)が土壌汚染について測定したところ、福島県で「IAEAが勧告している避難しなければならない地点」が見つかったことを日本政府に通告したというニュースが流れた。 聞きたくないニュースだった。 日本には政府がある。IAEAが土壌汚染を測る前に日本政府か自治体、もしくは原子力機構や、東電が測って、日本国民に知らせ、あるいは待避させて欲しかった. 日本人の命と健康を守るのは、第一に日本人だ。 ・・・・・・・・・ 3月31日、テレビ局が独自に入手したとされる3月24日から3月28日に撮影されたという福島原発の内部映像が公開された。地震で破壊されたと見られる配管がプッツリ切れていた。 31日は多すぎるけれど、それでもテレビ局が公開してくれたのは良かったが、福島原発の状態を知りたいというのは国民の願いだ。それなのに、東電や保安院など映像を撮影したり、見たりすることができる人たちは、この映像を隠していたのだろう. これほどの非常時になっても、まだ福島原発は「東電のもの」であり、内部映像は「秘密」であるという感覚は奇妙だ。 一刻も早く、国は東電と1年契約で、福島原発とそこの従業員、技術者の国への移管を契約し、企業秘密とは関係なく、情報を公開するのが適当である. ・・・・・・ 日頃、北朝鮮の情報が隠されていると批判している日本人だが、今が非常時だということを考えると、北朝鮮を上回る情報統制だ。 (平成23年3月31日 午前8時30分 執筆)
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1986年4月、当時のソ連のチェルノブイリ原子力発電所4号機が爆発しました。 その時に、多くの放射性物質がロシアやベルラーシの人たちや大地を汚染しましたが、これに対して、当時の IAEA (国際原子力機関)は精密な調査を行い、報告書を提出しています。 それによると、チェルノブイリ原発の事故では、 1) 放射性物質の被曝による障害者は、存在せず、 2) 将来にわたってはっきりと原発の事故の障害者であるということがわかる人はでない、 と報告しました。 ところが、事故から5年ぐらい経つと、普段ですと1万人に1人も出ないという小児甲状腺ガンが多く見られるようになりました。そのグラフを下に示します。
さらに、その92年には40人、94年には60人と増大しました。今では、チェルノブイリ原発から出たヨウ素131が子供の甲状腺にたまり、甲状腺がんを引き起こしたということははっきりとわかっています。 さらにチェルノブイリ原発事故から10年経った頃、今度は妊婦の体に異常が出てきました。 すでに事故から10年たっていますので、その頃、妊娠する女性というのは、事故当時少女だった人が多いのです。例えば12才の頃に被爆し、22才で妊娠して異常が見付かるということが明らかになってきました。 つまり「妊婦に障害がでる」というのはわかりやすいのですが、まさか、10才の女性が被曝して、その少女が15年後に妊娠したときに障害がでるなど、まったく予想ができないからです .チェルノブイリの事故からすでに25年を経ますが、まだこの先どのような健康障害が出るかというのははっきりわかりません。 ・・・・・・・・・ わたくしが言いたいのは、放射線で被曝すると甲状腺ガン等になるということを強調したいのではありません。ここでは、「100ミリシーベルトまで安全」と行っておられる先生の「学問」というのはどういうものかをハッキリさせたいのです。 なぜ、そんなことが緊急かと言うと、福島原発の事故が起こって以来、東大教授やお医者さんが多く登場し、「心配ない、心配ない」といっておられます . 普段なら、このような失礼なことや傲慢なことは言わないのですが、現在はそれが「市民の方の健康に直接関係がある」ので、あえてここでお話をしたいと思った次第です。 ・・・・・・・・・ チェルノブイリの時には、すでに、広島・長崎の被曝例や、研究途中での被曝事故等についての健康障害はかなり詳細にわかっていました。データはかなり合ったのです . 「多くのデータ」と「優れた人」が集まって「間違った結論」を出したのです . 学問というのは「現在までの知識を精密にくみ立てて、一つの結論を得る」ということを行います。従って、「厳密に正しい」ともいえるのです。だから学者が言ったというとみんなが信用するというのがこれです。 ところが、「現在までの知識を精密に組み立てて一つの結論を得る」という文章をよくよく見ると、「学問は真実はわからない」ということがわかります。 つまり、あくまでも学問は「現在までの知識」に基づいているのであり、「将来獲得するであろう知識」は全く入っていないのです。将来、獲得するであろう知識というのは予想ですから、もしそれを使えば厳密な論理は展開できません。従って学問はその性質上、現在までの知識しか使えないのです。 これがチェルノブイリの時の IAEA の間違いの元になりました。つまり、それまでの知識によると、チェルノブイリ原発の事故によって、小さい子供が甲状腺ガンになり、将来の妊婦に異常が起こるということはわからなかったのです。 ・・・・・・・・・ 本当の学者というのは、「学問は真実がわかっていない」ということをわかっているということです。 これを今回の福島原発に当てはめますと、たとえば、「これまでの研究によれば、100ミリシーベルとの被曝を受けても大丈夫だ」とある学者の研究で明らかになっていても、それは現在の知識に基づく仮の学問の結論であって、おそらくは正しくないということなのです。 また、「100ミリシーベルとの被爆を受けると、1000人のうち、5人から10人が放射線によるガンになる」という事実も、また同時に学問的データなのです。 このようなときに、「学問」の本質が判っている学者はどういうふうに発言するでしょうか。 「学問的に、わたくしの研究では100ミリシーベルトぐらいまでは大丈夫だと思います。しかし一部に、100ミリシーベルトを浴びると1000人の内に5人から10人の人がガン(過剰発がん)になるという結果もあります。 もともと学問は、真実が判っているわけではないので、皆さんはできるだけ放射線に被曝しないように気をつけてください。 学者は新しい知見があれば論文を出すことができますが、皆さんの健康は損なわれると元に戻ることはできません。従って、国際放射線防護委員会で決められたように安全という意味では、「1年間に1ミリシーベルト」を目安に生活設計をされた方がよいと思います。 お役所も市民を守るのが役目ですから、法律に基づいた値で市民の健康を守ってください。」 今、福島市で行われていること、学問的に言えば「人体実験」ということができます。つまり学問は「100ミリシーベルトだから大丈夫だ」ということを断定的にいう事ができないのですから、学者が自分の判断で勝手に被曝量を決めるということは、学問の本質に反することなのです。 福島市から被曝による過剰発癌がでなければ良いことなのですが、もし過剰発癌が発生したら、それはちょうどチェルノブイリのときのように、「学者が新しい論文を書くことができる」という結果になり、市民は過剰発癌で苦しむことになるからです。 学者は常に「自分たちにはわからないことがある。だから研究をしている。自分たちが今、正しいと思っていることは、将来の研究によって覆される」と思っているはずなのです。 私たちは自衛しなければならないのです。 (平成23年4月4日 執筆)
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ドイツの気象サービス及びノルウェーの発表では、4月5日から7日にかけて、福島原発からの風が一旦、南に行き、四国・九州にまで南下し、そこからさらに偏西風で日本列島を縦断して、北海道に達する上ると予想されています。
この図はドイツ気象サービス(DWD)のシミュレーションで、日本で4月6日頃にあたります(あまり時間は厳密に考えない方が良い)。 福島から一旦、太平洋に出た汚染物質は、その後、東風でぐるっと回って日本の房総半島、静岡、四国、九州とまわり、山陰から福井まで達します。 つまり4月6日頃を中心にして初めて福島原発の汚染物質が西日本を汚染する可能性がありますので、注意が必要です。
次に示す図はノルウェーのシミュレーションであり、上のドイツの気象サービスのデータから約1日たった状態です(7日ぐらい)。 一旦、日本の西日本に到達した福島原発からの放射性物質は、その後、偏西風に乗って北に進み、日本列島を縦断して北海道まで達すると予想されている。 この頃、新たに福島原発から放射性物質が漏れれば、それもともに北海道の東海岸に到達すると計算されています。 このシミュレーションの結果は、あくまでもドイツとノルウェーの結果であって日本の気象庁の予想ではありません。 日本の気象庁は、現在のところ福島原発の放射性物質がどのように飛散するかの予報を出していません。花粉予想や噴煙の予想は気象庁の役割でありますが、どうやら放射性物質を飛散については気象庁の役割範囲にはないそうです(税金は?)。 いずれにしても、できるだけ多くの情報を集めて、私たちと家族の安全を守りたいと思います。 ドイツとノルウェーの情報が、どのような基礎的なデータに基づいているのかわからないので、ここでは日付もはっきりとは示していません(もとデータは時間もハッキリ示してありますが、それほど精度が無いと思うので、「絶対にそうなる」と断定的に考えないでください。 しかし、私たちにとって重要な情報であることは確かです。この情報に基づいて、 「もしかすると、西日本もしくは日本全体に放射性物質が飛散するかもしれないので、4月5日から7日ぐらいにかけて、外出を避けたり、マスクをする、子供を外で遊ばせない、家の戸締りをしっかりするという対策を取っておく。」 と考えてください。 ドイツとノルウェーの予想が外れるかもしれません。外れたら申しわけないけれども、それは仕方がないので、その時は、多少無駄な時間を過ごしてしまったと思ってください。 ・・・・・・・・・ ところで現実に九州まで放射性物質が飛んで、例えば鹿児島が1時間当たり1マイクロシーベルとまで放射性物質が上がり、それが1週間続いたとします。 その場合の被ばく量は、 1×7×24=168マイクロシーベルト で、今回限りであれば、長期的にも、赤ちゃんにも、妊婦にも問題はない。 (注)さらに詳しい計算(鹿児島の人の1年間) 168+(0.05*358*24)=597マイクロシーベルト で、今回限りであれば、累積放射線も大丈夫です .鹿児島が大丈夫なのは「ずっと続けて被曝する」というのが恐ろしいので、一時的な被曝はあまり影響がないということです。 でも、被曝は少なくしておくのが良いので、自衛してください。 (平成23年4月4日 午前8時 執筆)
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政府は31日、福島第1原発事故の影響で暫定基準値を超える放射性物質が検出された野菜などの出荷停止について、その後の検査で3回連続で基準値を下回った場合に解除する方向で検討に入った。解除は都道府県単位ではなく、基準値を下回った地域ごとに行う。 解除のルールを明確にし、農家の不安解消を狙う。出荷停止による損害は、東京電力が原子力損害賠償制度に沿って補償する方針だが、時間がかかるため、農林水産省は31日、JAグループが当面の生活資金を農家に無利子で融資すると発表した。風評被害が出ている農家も対象とする。 出荷停止の解除ルールについて、農林水産省の筒井信隆副大臣は記者会見で「3回連続であれば、安定的に基準値を下回ったと言えるのではないか」と説明した。各地で観測される放射線量は、多くが3月中旬に過去最大の値を記録したが、その後はいずれも低下傾向が続いている。 ただ原発事故の収束には時間がかかり、その間、放射性物質の飛散が続く可能性がある。このため、出荷停止の解除後に再び基準値を上回るなど状況が悪化すれば、再度の出荷停止も検討する。 政府は食品衛生法上の暫定基準値を超える放射性物質が検出された福島の葉物野菜や牛の原乳、茨城、栃木、群馬のホウレンソウなどを出荷停止にしている。これまで解除の手続きが示されず、農家や自治体から「今後を見通せない」と不満の声が上がっていた。 食品衛生を所管する厚生労働省は、解除の進め方を検討。農水省や専門家の意見も聞き、今回のルールで消費者の理解を得られると判断したもようだ。検査の間隔は、1週間以内とすることで調整している。 現在の出荷停止は県単位で発動されているが、解除は市町村など日常的に使われる区分けに基づいて実施し、出荷停止の範囲を限定。基準値を超える放射性物質が検出されていない周辺地域の「風評被害」を抑える。 2011.04.01 記事提供:共同通信社 |
東京電力は31日夜、東日本巨大地震で被災した福島第一原子力発電所で、放射線量を測る線量計が不足し、復旧作業に従事する各チームの責任者だけに線量計を装着させ、作業にあたらせていたことを明らかにした。 約180人が線量を測らずに作業していた日もあったという。東電は1日までに不足分を確保、作業工程に支障は出ないとしている。 東電によると、同発電所には約5000個の線量計が配備されていたが、津波に流されるなどし、320個しか使えなくなった。 被災後、同発電所では、多い日で約500人が作業していたため、東電では、全員に線量計を装着させるという従来の内規を変更。▽作業場所の線量が事前に把握できる▽1日あたりの総線量が10ミリ・シーベルト以下--などの条件を満たし、チームが同じ作業をするという前提で各チームの責任者の計測だけで、全員の線量を測ったことにしていた。 しかし、作業員の間から不安の声が上がり、同社の柏崎刈羽原発(新潟県)などから420個を集めたという。すぐに確保できなかった理由について「(線量計の)充電器の設置場所の確保に手間取った」などと釈明している。 海江田経済産業相は1日午前の閣議後会見で、「安全のため、基本的装備は不可欠。督促・注意をしっかり行う」と述べた。厚生労働省は「労働安全衛生法違反になる可能性がある。事実関係を調査したい」とし、経済産業省原子力安全・保安院も口頭で注意した。 2011.04.01 記事提供:読売新聞 |
福島第1原発事故で東京電力は31日夜、1号機のタービン建屋付近の地下水から、敷地境界で設定されている基準の約1万倍の放射性ヨウ素が検出されたと発表した。 地下水で放射性物質が確認されたのは初めてで、汚染の拡大があらためて裏付けられた。東電は原因について「地面に降り注いだ放射性ヨウ素が雨水で地中にしみこんだ可能性が強い」と説明。「(地下経由で)海に流出した可能性は否定できない」としている。 水を採取したのは地盤が緩まないように地下15メートルからくみ上げた水を排水する「サブドレーン」という設備。普段、放射性物質は検出されない。 各号機のタービン建屋外の立て坑にたまっていた水に含まれる放射性物質の濃度も発表。2号機では1立方センチ当たり計約1200万ベクレルで、通常の運転中の炉水と比べ数万倍の高濃度だった。 一方、経済産業省原子力安全・保安院は同日、1〜4号機近くの放水口付近で30日午後に採取した海水から、法令で定める濃度限度の4385倍のヨウ素131が検出されたと発表した。これまでで最も高い数値。 保安院は「ただちに健康に影響は出ない」としているが、原発からの放射性物質の流出が再び起きているとみて、沖合15キロの3カ所で新たに海水の採取と分析を行うなど、監視の強化を決めた。 東電は31日も、原子炉などを冷却するための障害になっている、タービン建屋や立て坑のたまり水の排水作業を続けた。この日は冷却用の真水を積んだ米軍提供の台船1隻が原発の岸壁に接岸。近くの坂下ダムを利用した真水の供給を補う。 1号機の立て坑のたまり水は別の貯水槽へ移送し、同日午前までに水位が約1メートル低下した。今後、水位を監視するカメラの設置や水に含まれる放射性物質の解析も進める。 水の移送先は容量が限られており、新たな貯蔵場所の確保が急務。既設の重油タンクなどのほか、タンクの仮設、原発周辺にプールを造るなどの手段が検討されている。 敷地内に落ちたちり状の放射性物質が拡散するのを防げるかどうか見るため、合成樹脂の試験散布を予定していたが、降雨により延期された。 被ばく線量が緊急時の上限の100ミリシーベルトを超えた作業員は、31日に1人増えて計20人になった。厚生労働省は今回の事故対策に限り上限を250ミリシーベルトにしている。
2011.04.01 記事提供:共同通信社 |
避難生活が長期化する中、突然の地震と津波で入れ歯をなくしたまま過ごす高齢者らの健康面が心配されている。食料や衣類の不足などに比べ軽視されがちだが、阪神大震災では口腔(こうくう)内の衛生悪化が肺炎を引き起こし、震災関連死につながったケースも。被災地では歯科医らが懸命に診療に当たっている。 約800人が避難する宮城県女川町の総合体育館。フロアに開設された救護所を無職平塚幸悦(ひらつか・こうえつ)さん(77)が訪れ「痛くてご飯が食べられない」と訴えた。平塚さんは津波から逃げる途中、下の入れ歯を一部紛失。上の入れ歯のかみ合わせも悪かった。 診察した地元の歯科医木村裕(きむら・ゆたか)さん(54)が「十分に器具がそろってないから、応急処置だけど」と声をかけながら、外した入れ歯を器具で削り、上あごにはめ直すと、平塚さんは「力が入るようになった」とにっこり。 木村さんの診療所は津波にのまれ全壊し、当初は自らも体育館で避難生活を送りながら救護所に。その後は同県石巻市の兄の自宅から連日駆けつけ、避難者らの治療に当たる。 「入れ歯が津波に流された」「栄養が偏り、口内炎ができた」など患者の症状はさまざま。専用の薬がないと、入れ歯を洗えないと思い込み、口の中の衛生状態が悪化している高齢者もいた。 医療関係者が懸念するのは、口腔ケアの不足により、避難生活で免疫力が低下した高齢者に肺炎が広がること。 実際に阪神大震災では、入れ歯を紛失したり、水不足で洗わなかったりして、口の中の細菌が増えた高齢者に「誤嚥(ごえん)性肺炎」が多くみられた。神戸市によると、避難生活で持病が悪化したことなどが原因で亡くなった震災関連死約920人のうち、約4分の1を占めた肺炎の中には、誤嚥性も目立った。 木村さんは「避難所暮らしが長引けば、歯科治療が命にかかわる場面が必ず出てくる」と心配する。 全国の歯科医師会などは、被災地に歯ブラシや歯磨き粉を提供。ただ避難所に届かず、倉庫に積まれたままの被災地もあるという。あるベテラン歯科医は「神戸の教訓を、ぜひ無駄にしないでほしい」と訴えている。
2011.04.01 記事提供:共同通信社 |
福島第1原発事故で、政府が避難指示を出している原発から約20キロの圏内に、東日本大震災で亡くなった人の遺体が数百〜千体あると推定されることが31日、警察当局への取材で分かった。27日には、原発から約5キロの福島県大熊町で見つかった遺体から高い放射線量を測定しており、警察関係者は「死亡後に放射性物質を浴びて被ばくした遺体もある」と指摘。警察当局は警察官が二次被ばくせずに遺体を収容する方法などの検討を始めた。当初は20キロ圏外に遺体を移して検視することも念頭に置いていたが、見直しを迫られそうだ。 警察当局によると、高線量の放射線を浴びた遺体を収容する際、作業する部隊の隊員が二次被ばくする可能性がある。収容先となる遺体安置所などでも検視する警察官や医師、訪問する遺族らに被ばくの恐れが生じる。 遺体は最終的に遺族か各市町村に引き渡すことになるが、火葬すると放射性物質を含んだ煙が拡散する恐れがあり、土葬の場合も土中や周辺に広がる状況が懸念される。 警察当局は現場での除染や検視も検討しているが、関係者は「時間が経過して遺体が傷んでいるケースは、洗うことでさらに損傷が激しくなり問題だ」と指摘している。 身元確認のため、遺体から爪だけを採取してDNA鑑定する方法もあるが、爪も除染する必要があり、かなりの手間と時間がかかるという。 27日に、大熊町で見つかった遺体は、除染が必要な基準の一つである10万cpm(cpmは放射線量の単位)まで計ることができる測量計の針が、振り切れる状態だったという。このため福島県警の部隊は遺体の収容を断念している。 被ばく医療の専門家は「放射線の値によって対策は異なり、放射線管理のプロが必要だ。洗浄車を現地に持って行き一体一体除染することも考えられる。遺族感情の面からもきちんと取り組むべき問題だ」としている。 こうした事態を踏まえ、警察庁や福島県警は、専門家に意見を聞くなどして検視や収容の方法について慎重に検討する。
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