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社会情勢レポート記事区切り

混合診療で医療は成長産業に、利用者、患者の利益になる

医論争論 2014

次の改革対象は支払基金の可能性-八代尚宏・国際基督教大学教養学部客員教授に聞く◆Vol.3

混合診療で医療は成長産業に

正常な競争が働き、医療の質も、価格も適正化し、
国際レベルと保険医療の間でバランスしていく。

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――2013年の医療は、「成長産業化」の側面に、目が向いていたと思います。

 混合診療(保険外併用療養の拡大)は成長産業になると思います。まず基礎的医療を公的保険で確実にカバーして、上乗せ部分を自由診療にして、アメニティだけでなく高度先進医療に広げていくことが考えられます。元日本医師会会長の坪井栄孝氏は、「遺伝子治療等の高度な医療費まで公的保険の対象にするのは難しいのではないか」と言われたことがありました。どこかで公的医療費の範囲に線を引かなければ、国民の負担できる範囲内に公的医療費の膨張を抑制することは不可能です。

 また、医薬品も成長産業となり得る1つの側面です。日本の医薬品産業が弱いのは、医療費抑制のための、厚労省による価格統制が過剰なことが原因だと思います。診療報酬を包括払いにして、薬の仕入れも病院の交渉力に委ねれば良いと思います。高価な薬も、患者の早期回復に役立つなら、むしろ医療費の削減に結び付きます。

 後発医薬品を育てるという意図で、その単価を上げれば、結局使われません。価格は市場の需給に任せれば良く、下手な産業政策は止めてほしいです。また、フランスのように、後発医薬品がある場合は、保険対象をそれに限定し、先発医薬品との差額は混合診療にすれば良いでしょう。医師が先発医薬品を保険診療で自由に使える状態だと、後発医薬品産業は育ちません。


八代尚宏氏は、株式会社の病院経営について、是非を判断するのは、利用者であり、競争を避けたい同業者ではないことを指摘する。

――インターネットの医薬品販売規制は、どう見られていますか。

 ネット規制は成長戦略とは関係ないですが、薬局の利権が政治力で守られたと思います。ネット販売禁止5品目のうち、4品目は患者が、店頭で買いづらい薬です(編集部注:うち4品目は勃起障害等改善薬)。「ネットで一番売れ易い高価な薬だから妨害した」という露骨な消費者無視です。それより問題なものは、患者の顔色を伺う必要もなく、市場規模の大きな処方箋薬を薬局の独占としたことです。

 ただ、ネット販売だけに、注目が集まるのは、好ましくありません。私が規制改革会議の委員をやっていた際の本丸は「コンビニでの販売」でした。長年使われている風邪薬や解熱薬などをコンビニで販売できるようになりましたが、薬剤師に準じた資格を持つ人の配置を条件にしたため、実質的に売れなくなりました。以前は薬局でしか売れない医薬部外品だった栄養ドリンクは、コンビニで売るようになって、価格が大幅に下がった経緯があります。今回は薬局の利権が、かなり守られましたが、そのうち薬局に対する反発が出でくるでしょう。フランスでは、地域の薬局が深夜のニーズに対応するように、輪番制で深夜営業しているが、そういう努力すらしていないのは、大きな問題です。

――他に成長産業化に向けたアイデアはありますか。

 質の高い医療サービスの提供も考えられます。今の厚労省のやり方は、医師配置基準を満たさないと減額するやり方ですが、配置基準を上回った場合の増額を混合診療で行うことも考えられます。(河北総合病院理事長の)河北博文氏の、診療報酬の「1点10円」を、質の高い医療機関に対して、「1点12円」とするようなアイデアも、包括的な混合診療でしょう。「成長産業」は、付加価値の高いものを、高い価格で提供して、ビジネスになるわけですから。

――この先1年間の展開をどう見ていますか。

 国家戦略特区は、施策項目を追加していくことが可能ですので、進化していきます。小さく産んで、大きく育てることが可能な特区ですので、その動きに期待したいと思います。

――ネックになるものはありますか。

 医師会でしょう。ポイントとしては、国家戦略特区で、特区内の医師会と協力できるかどうかです。農業も同じですが、中央団体である、日本医師会が大きな問題になります。零細の開業医の権益を守っているのが日医ですが、地域の開業医でもレベル高い人は協力してくれるかもしれません。

 国家戦略特区の対象では、東京や大阪市の名前も挙がっていますが、沖縄という説もあります。沖縄は地理的位置にアジアに近いので、最先端医療施設を作れば、本土だけでなく、中国、韓国、台湾をターゲットにした医療ツーリズム的な展開や、地域の経済発展のカギになる可能性もあります。その際、民間の大病院のような、改革意識のある医療機関のみを集める必要があるでしょう。

――ご自身で規制改革を担当していた際と比較して、厚労省や医師会は変わりましたか。

 全然変わっていません。若手の医師などは、医師会に不満を持っていると思うのですが、忙しいでしょうし、医師会の力は巨額の政治献金の側面もありますから。厚労省も、改革したい官僚はいるようですが、医系議員の圧力で大変なようです。安倍晋三首相が「構造改革」「成長戦略」を強調しておられるのですから、自民党も変わらないといけないと思います。

――他に、医療改革を進める上で問題点はありますか。

 日本はなぜ保険者の力が弱いのでしょうか。健康保険法では、「保険者と医療機関の直接契約」が認められているにもかかわらず、支払基金が最初のチェックをして、料金を徴収しています。大きな保険者が、自らチェックすれば、医師会の協力を得ている支払基金より厳しいことが言えるようになるでしょう。次の改革のターゲットは、支払基金になるのではないかと考えています。レセプトチェックの改革も小泉純一郎首相時代に実施しましたが、詰めが甘いところが残っています。

――ご自身の仕事で積み残しはありますか。

 積み残しばかりです。1つは株式会社の病院経営があります。徳洲会は、公選法違反容疑で混乱していますが、大規模ネットワーク化に向けた取り組みは評価できます。最終的には、資本提携をしたかったようですが、人的ネットワークにとどまっています。厚労省も特定医療法人制度も作り、「ネットワーク化は大事」とする内部職員もいますが、改革する意思が空回りしている印象です。 

 株式会社の病院経営によって、質の高いフランチャイズ化した病院の展開が理想的です。院内感染対策や、医師、看護師の質管理ができるようになります。医師会が嫌がる部分で、「株式会社は金儲け主義で質が低い」と主張しますが、その是非を判断するのは、利用者であり、競争を避けたい同業者ではありません。

――「もうからないところが切り捨てられる」との見方があります。

 コンビニは消費者に選択してもらって、高い利益を出しています。病院だって同じことができるはずで、チェーン化してすれば、コーポレートブランドを確立すれば、利用者は安心するし、病院側もそれを守るために最大限、努力します。

 「へき地医療の不足」が大きな問題になっていますが、病院がチェーン化すれば「へき地医療は、人件費や土地代が安い分コストが低い」との見方もあり、これは診療報酬が公定価格であることの1つのメリットです。

 また、医師は国家試験により一定の質が担保されていることを考えると、派遣元が医師の能力を担保する医師派遣事業も1つの産業となる可能性があります。厚労省でも、旧労働省側は賛成していますが、医師会の圧力で旧厚生省側が反対していて実現していません。


2014年1月8日 提供:聞き手・まとめ:池田宏之(m3.com編集部)

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2013のエンターテイメントアワード日本:日本人初!
ダンスパフォーマーの蛯名健一氏が米人気テレビ番組で
優勝賞金100万ドルを獲得!


2013年12月30日 提供:YOUTUBE douga mon

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12歳児DMF歯数1.05本過去最低を更新

■12歳児DMF歯数1.05本過去最低を更新
 平成25年度学校保健統計調査

 平成25年度学校保健統計調査の速報が12月13日、文科省より公表され、喪失歯及び処置歯数を含む12歳の永久歯の一人当たり平均むし歯(う歯)等数は1.05本で平成24年度より0.05本減少し、過去最低を更新した。昭和59年度の調査開始時の4.75本以降、減少を続けている。
1.05本の内訳は、喪失歯0.02本、むし歯1.03本(処置歯0.66本、未処置歯0.37本)。平成24年度は喪失歯0.02本、むし歯1.08本(処置歯0.69本、未処置歯0.39本)で、昭和59年度は喪失歯0.05本、むし歯4.70本(処置歯3.35本、未処置歯1.35本)であった。

■歯科医師10万2551人
医師・歯科医師・薬剤師調査

平成24年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況が12月17日、厚労省より公表され、同年12月31日現在の歯科医師数は10万2551人で、前回調査の平成22年より975人、1.0%増加した。人口10万対歯科医師数は80.4人で、79.3人から1.1人増加した。
歯科医師総数のうち、医療施設に従事しているのは9万9659人で、全体の97.2%。従事する施設としては「診療所」が最も多く8万7112人で、827人、1.0%増加した。増加傾向は続いており、構成割合は前回調査と同率であるが、全体の84.9%を占めた。次いで多かったのは「医育機関附属の病院」の9656人で、132人、1.4%増加。構成割合は9.4%と、こちらも前回と同率であった。
医療施設従事者を年齢階級別に見ると、50〜59歳が最も多く2万6927人と全体の27.0%。以下、40〜49歳の2万3072人(構成割合23.2%)、30〜39歳の1万9485人(19.6%)が続いた。


2013年12月30日 提供:日本歯科医師会

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<うがい薬>保険適用外に…国費61億円削減効果


風邪は万病の元。保険は病気を治すのでなく、病気を予防する方が、結果疾病の発症や、重症化、を防ぐので、もっと高コストの医療を削減できる。

短絡的に61億減らしても、重症化した場合の医療費は、その数十倍掛かるということを忘れていないかな?

 財務、厚生労働両省は24日、医師が処方する「うがい薬」について来年度以降、同時にほかの薬を処方しなければ公的医療保険の対象から外すことで合意したと発表した。同薬の処方だけのために医療機関を受診する人を減らし医療費抑制につなげるのが狙い。25日、厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)に提示し、了承を得る。

これにより、国費ベースで約61億円の削減効果が見込めるという。うがい薬を巡っては民主党政権当時の2009年、政府の行政刷新会議の事業仕分けで「薬局で市販されているなら医師が処方する必要性に乏しい」として、漢方薬などとともに保険の対象外とする方針が打ち出されたが、結論を先送りしていた。【中島和哉】


2013年12月24日 提供:毎日新聞

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保険医療費抑制で、ベースアップなしなら、
自由競争を抑制している混合診療抑制を外すべきだ。

混合診療大幅拡大を 競争力会議の分科会

国際的にみても、医療技術の進歩に日本の保険医療は追いついていないし、コスト面でかなり劣っている。経済的弱者の救済システムとしては良いが、全ての国民をカーバーする医療としては、遅れた技術では困る。自由競争で、常に、コスト面でも採算性がある潤沢な資金があってこそ、ボランタリー活動も可能となりえる。混合治療の拡大は、社会主義的な保険統一医療の遅れた技術やサービスに風穴をあける起爆剤になり得る。

 政府の産業競争力会議の医療・介護に関する分科会は25日、保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」について「さまざまな患者ニーズを満たすよう大幅拡大を図る」などとする中間整理をまとめた。

 現在は限定的に認めている混合診療の幅を広げることで、医療、介護分野を成長産業に育てるとともに、超高齢社会に耐えられるよう、保険財政を安定させるのが狙い。

 分科会主査を務める増田寛也元総務相は「(同様に混合診療拡大を求める)規制改革会議との連携を深めたい」と表明した。来年半ばの成長戦略改定に向け、さらに検討を進める方針だ。

 中間整理によると、生命に関わる病気やけがを持つ患者に対し、ほかに有効な治療法がない場合、未承認薬の使用を認める制度を2015年度から導入する。再生医療と医療機器については、混合診療の対象とするかどうかの審査期間を短縮するため、専門評価組織を14年度中に立ち上げる。

 「より快適な入院生活をしたい」などの要望に柔軟に応えられるよう、差額ベッド代などの仕組みを大幅に拡大する。

 外国人患者の受け入れや介護サービスの海外展開も支援する。

 分科会には厚生労働省側として土屋品子副大臣が出席し「真剣に対応したい」と答えたという。


2013年12月26日 提供:共同通信社

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東アジアの過去を知ると、未来がみえてくる?


2013年12月25日 提供:YOUTUBE 神のみぞ知るセカイ

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世界中の放射線データを共有する機械 - Safecast: Build Your Own


2013年12月20日 提供:YOUTUBE VICE Japan

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メディア問題:尊厳死でも対立構造を好むメディア

The Voice

尊厳死でも対立構造を好むメディア

患者には様々な物語がある

猪瀬元知事の問題もそうだけど、世の民意という見えないイメージを作り上げるメディアとそれに踊る、関係者の構図は、さしずめ、イベント消費を仕掛けるプロデューサーのようだ

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 昨日(編集部注※12月5日)は、「神経難の在宅医療と終末期ケア」について兵庫県芦屋市で医療・福祉関係者に講演をさせて頂く機会がありました。

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は神経難病の代表的疾患です。徳州会病院の徳田虎雄さんが闘病されている病気。全身の筋肉が萎縮し、呼吸や食事ができなくなります。

 神経難病にはALS以外に、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多系統委縮症、ミトコンドリア脳筋症、クロイツフェルトヤコブ病などたくさんの病気があり、現在それぞれを在宅で診ています。

 人工呼吸器や胃ろうにという選択を迫られることがあります。その場合の人工呼吸器や胃ろうは、延命治療ではありません。車椅子と同様福祉用具なのですが、それらを拒否される方もおられます。

 当院でも数えてみると過去に神経難病を数十人診て、現在も10数人の神経難病の方の在宅医療を担当しています。胃ろうと人工呼吸器が付いたALSの方は、3人診ています。

 普段、神経難病を特に区別せず診ています。がんも認知症も脳梗塞も神経難病も、自分の頭の中では特別意識せずに、普通に、同等に在宅医療を行っています。

 ただ、気管切開をすると痰の吸引が必要になってきます。しかし資格を持ったヘルパーさんしか痰の吸引ができません。現在急ピッチで痰の吸引の研修会が開かれているようです。

 ALSの患者さんの在宅療養は、看護や介護が大変です。2カ所のステーションから訪問看護が入ることもあります。ホームヘルパーさんと医療の連携も大切です。

 ALSの方は、人工呼吸器や胃ろうを付けたらいつまでも生きれるかと言えば、もちろん、そんなことはありません。必ずいつか終末期が訪れますが、そこからが延命治療です。

 その時(意識が無くなったときなど)は、延命治療を中止して欲しいと文章で表明される人もおられます。そのような希望を「リビングウイル(LW)」といいます。

 胃ろうや人工呼吸器を付けずに自然な形で旅立たれる方も、おられます。尊厳死です。ALSの方が、人工呼吸器を付ける割合は日本では2〜3割。昨日講演した芦屋市では1割、当院では5割程度です。

 私はALSの方には結構しつこく人工呼吸器や胃ろうを勧めます。それらは延命処置ではなく福祉用具であることを何度も説明します。拒否される場合は、地上げ屋さんではないが朝がけ、夜がけで説得に伺います。

 最初は拒否していた方も、いったん呼吸器を付けて慣れたらそれなりに楽しんで生活されていて、私たちも癒されます。当院の宴会に来ていただき、一緒に楽しむこともあります。

 実は、ALSの方でリビングウイルを表明され、終末期になったら尊厳死を希望している方は沢山おられます。(社)日本尊厳死協会の会員さんの中にもおられます。

 尊厳死というと、メデイア的にはALS協会と尊厳死協会が敵対関係のように書かれることが多いですが実際はまったく違います。私自身、10名のALSの人と楽しく関わってきました。

 ALS以外の神経難病の方にも関わっています。また多くの障害者とも関わっています。先日も、日本障害者現術団の設立に関わったばかりです。

 難病の患者会からは、何度か平穏死の講演を頼まれました。それらの活動は医師として当たり前だし、楽しいものです。しかしメデイアは、なぜか尊厳死と難病や障害者団体を対立構図で描くのが大好きなのです。

 旅立った患者さんのご家族さんとは、その後も付き合っています。呼吸器を付けずに尊厳死された方、付けて生きて亡くなられた方、それぞれおられますが、いろんな物語があり、関係はその後も持続しています。

 私は神経難病も、がんも認知症も同じようにLWが尊重される世の中になって欲しいとお話ししました。あくまで終末期の話です。

 在宅でのALS患者さんは、人工呼吸器や胃ろうなどの医療処置が沢山あって、かたときも気を抜けません。そろそろ年末年始用の物品を用意していくべき時期。

 在宅現場では、多くの難病や障害者と楽しむ日々であるし、呼吸器の装着の有無に関わらず終末期の看取りも沢山やっているのに、中央では常に対立構図で描かれてばかり。

 我が国における尊厳死議論が進まないのは、こうした意味の無いデッチあげのような対立構図も一因ではないのか。メデイアは常に対立構図を好むが、実は終末期問題の本質はそこではない。

 終末期の見極め、判定が本質だと思う。私は「延命と縮命の分水嶺」と題しても講演している。しかしメデイアは常に団体と団体の対立に置き換えて報じて、高見の見物を決め込む。

 そんな不毛で意味不明な論説はやめて、そろそろ尊厳死議論の本質に迫る時期だと思う。というか、世界的な議論からみれば、日本国内の議論が完全にガラパゴス化していることから始めて欲しい。

※本記事は、2013年12月6日のブログ『Dr.和の町医者日記』で発表した内容を、編集部でタイトルとレイアウトのみ変更したものです。


2013年12月11日 提供:長尾和宏先生(長尾クリニック院長)

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消費税の増税で、医療界の環境悪化

 2013年の医療界:1000人アンケート

「医療界の環境悪化」、一定の歯止め◆Vol.1

仕入原材料、薬剤電気などエネルギー費用の、諸経費の消費税増加分がマイナス要因となり、可処分金額の目減りが発生する。

開業医は暗い来年の見通し

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 社会保障制度改革国民会議で今後の医療制度改革の方向性が打ち出され、消費税率8%への引き上げが決まり、臨床研究論文を巡る不正問題などが起きた2013年。2014年度の診療報酬改定に向けた議論も進む中、今年も慌ただしい雰囲気のまま終わりを迎えようとしている。

 m3.comでは2013年を振り返り、2014年への展望をうかがうため、『アンケート:2013年の医療界』を実施した(実施日:2013年12月3〜5日、医師会員1000人[勤務医と開業医それぞれ500人])。質問内容は、2013年の医療界やご自身の勤務環境について、2012年との比較と2014年の予想、2013年の10大ニュースやキーパーソン、2014年の注目トピックスなど。調査結果を、年始にかけて連載する。

Q.1-1 今年(2013年)の医療界を取り巻く環境は、医療政策、メディアでの報道、世間一般の医療に対する見方など総合的に見て、昨年(2012年)と比較してどうでしたか。

2013年の医療界:1000人アンケート

 Q.1-1で「2012年と比較した2013年の医療界の環境」について聞いたところ、「悪くなった」、もしくは「とても悪くなった」という「悪化」との回答が、29.8%となった。2012年の結果と比較すると、「悪化」とした回答が9.6ポイント減少して、医療界の環境悪化に一定の歯止めがかかったとの認識を持つ医師が増えたことが分かる(『「医療界の環境悪化」、依然4割◆Vol.1』を参照)。

 勤務医の「悪化」は前年比11.6ポイント減の24.2%、開業医での「悪化」は前年比7.6ポイント減の35.4%。開業医が、勤務医より「悪化」を感じている傾向は、前年度と変らなかった。「とても良くなった」「良くなった」の合計は、勤務医は8.8%で前年比1.8ポイント増、開業医は4.8%で、2.4ポイント増となっている。

Q.1-1 来年(2014年)の医療界を取り巻く環境は、医療政策、メディアでの報道、世間一般の医療に対する見方など総合的に見て、今年(2013年)と比較してどうなると思いますか。

2013年の医療界:1000人アンケート


 Q.1-1-2で「2013年と比較した2014年の医療界を取り巻く状況」を聞いたところ、2014年が「とても悪くなる」「悪くなる」としたのは、全体で前年比1.9ポイント増の53.8%。ただ、勤務医と開業医を分けて見ると、勤務医で前年比1.4ポイント減の46.2%、開業医で前年比5.2ポイント増の61.4%となり、対照的な結果となった。

 一方、「とても良くなる」「良くなる」としたのは、勤務医で前年比2.6ポイント増の6.8%、開業医で前年比0.6ポイント増の2.8%で、全体では前年比1.6ポイント増の4.8%。開業医の方が、勤務医よりも、ネガティブな見通しを持つ傾向が見られた。

 「大規模医療機関の紹介なしの外来受診の自己負担増」など、勤務医にとっては、社会的な理解が進んでいることを感じる環境があった可能性がある。一方で、経営する立場にある開業医は、仕入にかかる消費増税分の補填の不透明さや、財務省の「診療報酬の引き下げ」要求などがあり、2014年に向けたプラス材料が少なかった可能性がある。

 回答者属性は以下の通り。

2013年の医療界:1000人アンケート

2013年の医療界:1000人アンケート

2013年の医療界:1000人アンケート

2013年の医療界:1000人アンケート



2013年12月10日 提供:池田宏之 氏(m3.com編集部)

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金属公害:イタイイタイ病解決 救済主眼「名より実」

金属カドミウムの腎症被害のイタイイタイ病も悲しいが、お口の中のパラジウム合金に含まれる金属も各種の害が確認されています。
国はいつまで、歯科の保険適用金属を認可しつづけるのか?

 富山県で最初にイタイイタイ病患者が確認されてから、およそ100年。カドミウムに汚染された水や土、「痛い、痛い」と叫びながら激痛に顔をゆがめたお年寄りたち。多くの犠牲を払ったが、原因企業と被害者団体が17日、ようやく全面解決の合意書に調印し、新たな道が開かれた。【田倉直彦、阿部周一、成田有佳】

 「名を捨てて実を取った、ということだ」。イタイイタイ病弁護団の山本直俊(なおとし)弁護士は、12回に及ぶ三井金属鉱業と被害者団体「神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会」(被団協)との交渉を、こう振り返った。カドミウムによる腎症の被害者1人当たりに支払われる60万円は、「補償」ではなく、あくまで健康管理を支援するための「一時金」。三井側がこの言葉にこだわった。弁護団は、救済策の実現を優先し、三井側に従った。

 「ただちに日常生活に支障が出ない」として、国が健康被害と認めていないカドミウムによる腎臓障害。弁護団は当初、三井側に対し、腎症の補償と医療手当の支払いを求めたが、三井側はなかなか応じなかった。

 被団協が三井側と全面解決に向けて、交渉を始めたのは2009年7月。イタイイタイ病の公害病認定から40年の節目にあたる08年の翌年で、汚染農地の土壌復元や、汚染源だった神岡鉱山(岐阜県飛騨市)の排水の水質改善にもめどが立った時期だった。住民側も、その取り組みを評価するようになっていた。

 三井側が「補償」という言葉を避けた理由。それは、国が健康被害と認めない腎症に補償するのは、国に逆らうことになり、株主への説明がつかない、との懸念だったという。腎臓に一定の影響が出た人が保健指導を受けたり、将来イタイイタイ病に発展しないよう、健康管理を支援するための一時金。「これなら株主への説明ができる」。三井側は救済策の合意に前向きになった。

 被団協の関係者は、三井が合意した理由をもう一つ挙げる。「川の汚染源となった神岡鉱山は、三井金属発祥の地とされ、きちんとカタをつけたいという思いが強かったのだろう」。仙田貞雄社長は調印式のあと、報道陣に「(住民側とは)緊張感ある信頼関係になっている。被害者の症状が悪化しない方向で支援したい」と語った。

 ◇民間同士の決着を傍観 国、基準見直さず

 「当事者間の長年にわたる努力に敬意を表したい」。17日の閣議後記者会見で石原伸晃環境相は、イタイイタイ病全面解決の合意を歓迎した。ただし、国は「民間同士の決着」と傍観する立場を崩しておらず、認定基準を見直さない考えだ。

 国の認定基準では、カドミウムによる腎臓障害が重度化し、骨が軟化する異常が出て、初めてイタイイタイ病として認められる。骨軟化症の判定には、エックス線検査か、骨の一部を削る検査、あるいは死後の解剖が必要なことから、申請を敬遠する人も少なくなかった。

 今回の合意は、被団協側が三井側に持ちかけて実現した。両者は公害防止協定を結び、長年、住民の施設立ち入り調査や水質改善の取り組みをしてきた。この間、腎症救済に関して国は「当事者任せ」だった。

 一方、四大公害病のうち、三重県で発生した大気汚染による「四日市ぜんそく」は、汚染の改善で、新たな発症者がみられなくなり、1988年に国の認定制度は打ち切られた。未解決のまま残るのは、熊本、鹿児島両県の不知火海沿岸域と新潟県でそれぞれ発生したメチル水銀中毒による二つの「水俣病」だ。

 国は77年に「感覚障害など複数の症状があること」を原則とする厳格な認定基準を通知し、申請しても棄却される人が相次いだ。その後も国や原因企業を相手に訴訟が相次ぎ、最高裁は今年4月、複数症状の組み合わせがなくても水俣病と認定できるとの判断を示した。これを受け、環境省は基準運用の見直しを進めているが、基準そのものは変更しない方針だ。今月11日には、新潟水俣病未認定患者が国と原因企業を相手に損害賠償を求める訴訟を起こすなど、依然として争いが続いている。

 10月に水銀被害防止を目指す「水俣条約」を採択する国際会議が熊本県水俣市で開かれた際、安倍晋三首相は「(日本は)水銀による被害を克服した」とのビデオメッセージを寄せ、患者団体から批判を浴びた。国や原因企業と被害者団体との溝は深く、水俣病をめぐる問題は全面解決への道は遠い。

 ◇歴史、風化させない 富山に資料館

 「公害は、環境問題の原点。二度と同じ被害を出さないために語り継いでいきたい」。患者や遺族でつくる「イタイイタイ病対策協議会」の会長として長年、住民運動の先頭に立ち、2010年に死去した小松義久さんの生前の言葉だ。イタイイタイ病が全面解決へと踏み出した今、記憶をどう後世に伝えるかも、ますます重要になってきた。

 小松さんはまた、「子どもたちは学校で『過去に公害があった』と教わる。だが、住民の取り組みは現在も続き、企業側も努力してきた。運動の成果を知ってほしい」と話し、公設のイタイイタイ病資料館の実現を願っていた。

 そして昨年4月、三井金属も資金を負担し「県立イタイイタイ病資料館」が富山市内に開館した。語り部として50〜90代の7人が登録する。その一人で、祖母と母をイタイイタイ病で亡くした高木良信(りょうしん)さん(83)は「半世紀近くが過ぎ、住民の取り組みを語れる人も少なくなった。イ病の歴史を風化させたくない」と話す。被団協の高木勲寛(くにひろ)代表は「神通川流域のカドミウム被害の回復に向けた取り組みは国内だけでなく、世界的にも大きな教訓と意義がある。社会に広く訴え、継承することが使命だ」と語っている。

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 ◇合意書(要旨)

 イタイイタイ病を巡り、三井金属鉱業と神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会が調印した「神通川流域カドミウム問題の全面解決に関する合意書」の要旨は次の通り。

 第1条 三井金属鉱業と神岡鉱業(以下、会社)は流域住民と地域社会に甚大な被害をもたらしたことについて協議会に謝罪し、協議会はこれを受け入れる。

 第2条 会社はイタイイタイ病患者及び要観察者への補償について、誓約書に基づき引き続き誠意を持って対応する。

 2 協議会と会社は、誓約書で定める土壌汚染及び農業被害に関する問題は全て解決されたことを確認する。

 3 会社は公害防止協定書の精神を尊重し、公害防止に努める。協議会は会社の自主的な公害防止対策への取り組みを尊重し、今後の立ち入り調査を行う。

 第3条 会社は、神通川流域住民健康管理支援制度を創設し、流域におけるカドミウムの慢性暴露により腎機能への影響が確認された者に一時金を支払う。

 2 協議会は健康管理支援制度の創設をもって、流域におけるカドミウムによる健康被害及び健康影響に関する未解決の問題が一切解決したことを認める。

 第4条 協議会は、会社が本合意書に定める義務を履行する限りにおいて、今後、会社に何らの請求も行わない。

 2 会社は協議会に対して、本カドミウム被害の全面解決に伴い、解決金を支払う。

 3 協議会と会社は、本合意書の締結とその履行をもって、両者間における問題が全面的に解決したことを確認する。


2013年12月18日 提供:毎日新聞社

 

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