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歯科医希望者は減る一方

「子どもを歯科医に」7% 09年、東京の保険医協会

 東京歯科保険医協会が都内の歯科医を対象とした2009年調査で、「子どもを歯科医師にしようと思う」と答えたのは7%と、調査を開始した1983年の23%から大きく減少した。

  ここ数年続いた診療報酬の抑制策や、景気悪化による患者数の減少で収入が減っていることなどが背景にある。

 調査は昨年8〜9月、4539人の会員に実施し、うち977人から回答を得た。

 「子どもを歯科医師にしようと思うか」との質問で83年と09年を比べると、「思う」は23%から7%に激減。逆に「思わない」は17%から40%と大きく増え、「本人の希望次第」は55%から27%に半減した。

 「生きがいを感じるか」と聞くと、52%が「感じている」と回答。「歯科医療の将来展望」では「暗い」が65%、「明るい」は8%だった。

 このほか、半数以上が「経営が以前に比べて苦しい」「患者数が減った」などと回答した。

 同協会は「患者数の伸びに比べ、歯科医数が多くなりすぎており、定員の絞り込みが不可欠」としている。

2010.1.29 記事提供:共同通信社

北米と違うのは定期受診率

歯や口腔に異常を感じている人は62.7%なのに、現在治療中の人は11%にとどまる。
中原 最近、歯科医師会で歯科医院に関する一般生活者意識調査を出されて、これを私は参考にしています。

 簡単にご紹介申し上げますと、歯や口腔に異常を感じている人は62.7%なのに、現在歯科で治療中の人は全体の11%にとどまる。歯科受診のきっかけは腫れ、痛み、出血があったからが約63%。異常を感じていても、具体的な痛みや目に見える現象を実感しない限り、歯科を受診しない人が多数を占める。もう1つ、歯科受診の目的はむし歯治療が6割以上であり、健診や歯石除去、歯周病治療を目的で受診する人は少ない。

 我々にとっては、こういう重たいデータが出ております。
 
北米の定期受診率は54〜67%、日本は16%

中原 ちなみに北米(アメリカとカナダ)は人口1000人単位で歯科医師が0.6人、日本が0.7人。あまり変わらないんです。日本は過剰だと言われていますが、北米では過少だと言われて、もっと増やさなければいけないと言われている。

どこが違うかというと、定期受診率が違うんです。北米の場合は定期受診率が54%から67%、日本の場合は16%。ですから、3.3倍から4倍くらい北米のほうが、定期受診をする数が多いということです。これはリコールシステムによる定期検診とブラッシング指導、この2つが柱になって推し進められています。
   
デンタルフロスを北米では60%の人が使用、日本では15%
中原 もう1つだけ言わせていただきますと、デンタルフロスを北米では60%の人が使用している。日本では15%。北米においては児童のころから、デンタルフロスを使用する指導を学校でも家庭でも行っている。その結果、こういう状況になっている。これはだれの責任かと言われれば、もちろん歯科医師の責任であり、そういうことを患者国民に理解いただく努力をしなかったとは言えないですが、足りなかったことは間違いないです。

 一面では、これは患者国民の責任でもあるでしょう。自ら体を大事にする役目が、患者国民にあるのではないか。国民の歯科医療への意識を、そろそろこの辺で切り替えていただかないと、歯科医療がスーッと改善していくとは思えない感じがしております。本来“国民”は黄門様と同じ葵の印籠ですから、逆らってはいけないんですが、あえてそういう発言をさせていただきました。

 

日本歯科医師会雑誌Vol.62 2010-1