7日付の本欄「おかしなはなし」で、法律屋が国を滅ぼすと書いたが、これを訂正する必要がある事件が起きた。新聞等の報道からであるが、東京地裁が「混合診療を認めないのは法律違反である」との判断を示した由である。久しぶりに留飲の下がる思いがした。
混合診療を認めると、お金持ちだけがいい思いをするといった反対論をまじめにいう人がいるのは驚きであるが、混合診療を認めると質の悪い医療が混入するといった厚労省や医師会の反対論も筋のよい話ではない。
現実に起きている話は、これが認められないがゆえに、お金持ちはどんどん海外に先進医療を受けるために出かけていく。お金のたくさんない人は、よい治療法があると知っても全部自費ではできず、治療が受けられない、ということにならないか。
もう一つ言えば、中身がよいか悪いかは、厚労省や医師会の判断できる話であろうか。今回のC型肝炎をめぐる動きを見ても、厚労省などという役所が信頼できるとは思えないが、それはともかく、科学の進歩は役人に判断できるほどゆっくりはしていない。
また、すべて公的保険で見なければならないというのは、財政状況だけを考えても無理である。そんなことは百も承知のはずなのに、いまだに十年一日のごとく、既得権者におもねって、混合診療を認めないなどと言っている役所は早く解体すべきである。
厚労省は、政管健保の赤字削減努力もせずに単にその赤字を組合健保に付け替える仕組みを導入しようと懸命になっている。このような役所は、ない方がましである。ということで、この際やはり法律家にも頑張ってもらう必要があり、その意味で前回書いたことを訂正し、心からおわびを申し上げる。(童)
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