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文科相「情けない」 インフル感染、学校批判で 塩谷立文部科学相は15日の閣議後会見で、大阪府寝屋川市の高校生の新型インフルエンザ感染について、カナダに行かせた高校の対応に批判の電話が相次いだことに「誠に残念。どうしてそういうことが起きるのか。情けない」と不快感を示した。 塩谷文科相は、各教育委員会に都道府県の保健部局に相談した上で冷静な判断を求めるとし、「感染した人を余計に傷つけるのではなく、温かく迎える気持ちを持ってほしい」と呼び掛けた。 感染をめぐり、寝屋川市に「なぜカナダに行かせたのか」などと批判する電話が数十件寄せられた。
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日本の対応、世界が注目 WHO医務官、神戸を評価 【ジュネーブ18日共同】日本での新型インフルエンザ感染の急拡大について、世界保健機関(WHO)の進藤奈邦子(しんどう・なほこ)医務官は17日、日本人記者団に対し、大都市部で感染者が増えた点を「世界中が注目している」と強調、日本の対応は、同様に人の動きが激しい過密都市が多いアジア各国に影響を与えるため「日本はお手本を示してほしい」と訴えた。 進藤さんは昨年、神戸市に招かれ講演。感染者が多数出た神戸市民に対する情報提供の迅速さや透明性は「準備、訓練していたからこそできた」と述べ、感染診断の正確さなども含め、市の対応を高く評価した。 軽症者が多いことについては、日本や欧州は北米と違い、感染者が国内に入ると即座に抗ウイルス剤で治療してきたため、ウイルスの「本当の姿」が出ていない可能性があるとし、注意を促した。 進藤さんらWHO側は18日も朝からテレビ会議などで日本の感染状況を分析。欧州の状況と併せて、警戒水準を現行の「5」から世界的大流行(パンデミック)認定を意味する「6」へ上げるか否かの検討を続ける。
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高校生になぜ多い 10代後半、感染しやすい? 新型インフルエンザ ◇57年以前生まれに免疫? 近畿地方に続き首都圏でも高校生が新型インフルエンザに感染した。21日までに確認された国内の患者計278人のうち、高校生が76%を占める。海外の報告でも患者は10代が中心で、専門家は「新型は10代後半に感染しやすい特徴があるのかもしれない」とみる。一方、米疾病対策センター(CDC)は1957年より前に生まれた人の一部に、新型に対する免疫がある可能性を示した。【永山悦子、河内敏康、奥野敦史】 ◇過剰反応で発症? 東京慈恵会医科大の浦島充佳准教授(小児科学)は「ウイルスには特定の年齢層との相性がある。例えばはしかや風疹(ふうしん)は大人になってかかると重症化する。今回の新型は10代に特に影響を与えやすい性質があるかもしれない」と推測。高齢者に感染が少ない点では、「若い人は免疫が活発に働くとの学説がある。大人は発症に至らなくても、若い人は免疫の過剰反応で、目に見える症状が出たのかもしれない」と語る。 外岡立人・元北海道小樽市保健所長は、スペイン風邪など過去の新型インフルエンザでも30代以降の感染者や重症者が少なかった例を挙げ、「一定年齢以上の人は新型インフルエンザのもとになった豚インフルエンザなど、何らかの免疫を持っているのでは」と話す。 ◇類似のウイルスか CDCが米国の患者642人(生後3カ月-81歳)を分析したところ、患者の60%が18歳以下。CDCのジャーニガン・インフルエンザ部副部長は「患者の血液の研究から、57年以前にさかのぼるほど(新型に類似した別の)H1N1型ウイルスに感染した可能性が高くなる」と話した。 今月上旬、大阪府などで高校生を中心に感染が広がった際、集団生活など特有の行動様式が流行の背景と見られていた。同じ時間帯に込み合うバスや電車で通学し、授業やクラブ活動で濃厚接触が起きやすい。 ◇「夏休み前倒しを」 拡大防止には手洗いの励行など個人レベルでの取り組みが不可欠だが、外岡さんは「夏休みを前倒ししてはどうか。新型は重症化の心配が少ないので、それ以外の年代で活動を制限する必要はない」という。鈴木宏・新潟大教授(国際感染症学)は「全国の高校を対象に調査し、発生状況や感染力を把握すべきだ」と提言する。 ただし、新型ウイルスが持つ独特の特徴が、若者の感染例を増やしているとしても、中学生以下での発症はまだ10%と少ない。国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は「科学的な分析が必要だ」と話す
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「新型」致死率、100万人超死亡「アジアかぜ」並み…WHO 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の致死率は、世界で100万人以上が死亡した1957年のアジアかぜ並みの0・4%で、感染力も季節性のインフルエンザより高いとする分析結果を、世界保健機関(WHO)と英国、メキシコの研究チームがまとめた。12日、米科学誌サイエンス電子版に緊急報告された。 メキシコ政府は12日現在、新型による感染者数は2059人、死者数56人と公表している。しかし実態は不明で、新型の正確な致死率や感染力は分かっていない。 研究チームは、データが正確な欧米の感染者数を基に、メキシコの出入国者数、感染者の広がりなどから逆算し、メキシコでは4月末までに6000-3万2000人の感染者が発生、致死率は0・4%に上るとする推計をまとめた。 その結果から、致死率は約4000万人が死亡したとされるスペインかぜ(1918年)よりは低いが、アジアかぜレベルの強さがあると見ている。感染力についてはスペインかぜなど過去の新型インフルエンザに比べると、同等かやや低いが、季節性のインフルエンザよりは高いと見られるとしている。 流行は2月中旬にメキシコ・ベラクルス州のラグロリアで始まったと見られ、この地域では15歳未満の61%が発症したのに対し、15歳以上は29%の発症率にとどまっていた。研究チームは「重症度は、国の医療事情などによって変わるだろう。今後も、詳しい症例データを収集する必要がある」と指摘している。
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糖尿病や喫煙で重症化か 死者の多くに健康問題 【メキシコ市13日共同】メキシコで死亡した新型インフルエンザ感染者の多くが糖尿病や喫煙などによる健康問題を抱えていたことがメキシコ政府の調べで分かった。世界保健機関(WHO)も、重症患者の中に糖尿病などの持病がある集団があると指摘。因果関係は明確になっていないものの、重症化の背景の一つとして注目されている。 コルドバ保健相によると、12日までの同国の死者58人のうち、27・6%が肥満だったり、糖尿病を患っていた。そのうち半数が標準体重の2倍以上に達していたという。 また、12・1%が循環器系の疾患を患い、8・6%がヘビースモーカーだった。感染症や、呼吸器系の病気を患っていた人がそれぞれ3・4%いた。 一方、ブリアンWHOインフルエンザ対策部長代理は8日、メキシコの重症患者を調べた結果、(1)若く健康な人(2)糖尿病や結核、循環器系の疾患など持病がある人-のグループがあると指摘。こうした持病がある人は季節性のインフルエンザでも重症化の傾向があるという。
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世界の感染者、6千人を超す 中国では2例目 新型インフルエンザ 北京・浦松丈二、メキシコ市・庭田学】新型インフルエンザの世界各地の感染者は13日、メキシコや米国で増え、6000人を超えた。34カ国・地域で6461人となり、死者もメキシコの2人を加え、65人となった。 また、中国衛生省は13日、留学先のカナダから山東省済南に一時帰国した男性(19)が感染していたことを確認したと発表した。中国の感染者は四川省の男性(30)に続き2例目。男性は今月8日に北京入りし、11日に列車で済南に到着。入国時は平熱で、検疫では発見されなかったが、北京滞在中の10日夜に39度の高熱を発した。中国政府は男性を病院に隔離し、接触した乗客らを追跡している。 また、香港当局は13日、米国から香港に戻った男性(24)が感染しているのを確認した。香港での感染確認は2人目で、地元住民では初めて。
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症状の統一指標は困難 新型インフルでWHO幹部査 【ジュネーブ14日共同】世界保健機関(WHO)のブリアン・インフルエンザ対策部長代理は13日の定例記者会見で、新型インフルエンザがもたらす症状の重さについて「世界規模で統一的な指標を示すのは困難だ」との認識を示した。 新型インフルエンザの症状は季節性インフルエンザとの比較でそれほど重くはないとの見方もある。しかし、WHOは感染の警戒水準(フェーズ)を設定する際にあまり考慮しておらず、地理的な拡大に的を絞って引き上げてきたため、各国政府の対策などで「過剰反応を引き起こしている」などの批判が出ていた。 こうした批判に応える形でWHOのフクダ事務局長補代理は11日の会見で、WHOとして症状の重さに関する何らかの判断を近く示したい意向を明らかにしていた。 ブリアン部長代理はウイルスがもたらす症状の重さは(1)ウイルスの毒性や感染力(2)世代や地域による免疫力(3)医療体制-などの要素が複雑に絡み、「致死率などの単一の要因だけで(決まるもので)はない」と説明。WHOとして新型ウイルスの症状に関する情報を極力集めて各国に提供する考えを示した。
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人為ミスでウイルス発生? 新型インフルWHOも調査 【ジュネーブ13日共同】世界的な感染拡大が続いている新型インフルエンザのウイルスについてオーストラリアの研究者が「人為的なミスで発生した可能性がある」との説を主張、世界保健機関(WHO)が各国の保健当局に調査を依頼するなどの騒ぎになっている。 「人為ウイルス説」を主張したのはオーストラリアのベテラン科学者(75)で、抗ウイルス薬タミフルの開発にかかわったこともある人物という。カナダ通信などによるとこの研究者は、新型インフルエンザウイルス(H1N1型)が、ウイルスの培養やワクチン製造に使われる鶏卵の中で、偶然出来上がった可能性があると指摘。WHO報道官によると、WHOはこの説を先週末ごろ受け取り、日米欧の保健当局や研究機関に調査を依頼したが結論は出ていないとしている。 イタリアのANSA通信によると、WHOの依頼を受けた国連食糧農業機関(FAO)のウイルス研究者は「人為的にできたという説は根拠が不十分」などとしている。
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新型インフルエンザ感染者、世界で5000人超 メキシコ433人増 ◇31カ国・地域 【メキシコ市・庭田学】メキシコ政府は11日、新型インフルエンザの感染確認者数が9日の時点より433人増え、2059人になったと発表した。これにより世界の感染者数は、31カ国・地域で計5136人となった。(6、13面に関連記事) また、メキシコの死者数は8人増え、56人となった。 世界保健機関(WHO)のケイジ・フクダ事務局長補代理は11日の会見で、「北米以外に地域レベルのウイルス感染が広がっている状況は確認されていない」と述べ、現状ではまだ最高レベルの「フェーズ6」への引き上げには至っていないとの考えを示した。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇感染が確定した国・地域(12日午前1時現在) 米国 2532人 (死者3人) メキシコ 2059人 (死者56人) カナダ 284人 (死者1人) スペイン 93人 英国 55人 パナマ 15人 フランス 15人 ドイツ 11人 イタリア 9人 コスタリカ 8人 (死者1人) ブラジル 8人 ニュージーランド 7人 イスラエル 7人 日本 4人 エルサルバドル 4人 韓国 3人 グアテマラ 3人 オランダ 3人 コロンビア 3人 ノルウェー 2人 アイルランド、スイス、オーストリア、中国、香港、デンマーク、ポルトガル、ポーランド、スウェーデン、アルゼンチン、オーストラリアで各1人 計 5136人
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新型の致死率0・4% 季節性より強い感染力 国際チームが分析 【ワシントン11日共同】世界に広がっている新型インフルエンザの致死率は1957年のアジア風邪並みの約0・4%で、感染力は季節性インフルエンザよりも強いとする初期データの分析結果を、国際チームが11日、米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。 チームは、世界保健機関(WHO)の世界的大流行(パンデミック)評価に携わる英ロンドン大インペリアルカレッジなどで「20世紀に起きたパンデミックに匹敵する大流行になる可能性がある」と指摘している。 チームは、旅行者を通じた世界各国への感染拡大の状況などから、4月末にメキシコで感染者は2万3000人いたと推計。当時の死者数から、感染後の致死率は約0・4%で、1918年出現のスペイン風邪(約2%)よりは低いが、アジア風邪(約0・5%)に匹敵するとした。 1人から何人に感染するかを示す感染力は、1.4-1.6人と推計。季節性のインフルエンザよりは強く、1.4-2人だった過去のパンデミックの低い方に近いという。 メキシコでは、1月12日ごろに最初の1人に感染し、4月末までに人から人への感染が14-73回繰り返されたと推定されるという。今回の解析では、最も早く感染が確認され、住民の半数以上が発症したベラクルス州ラグロリアが発生地になったとの説を支持する結果が得られたとしている。 ▽アジア風邪 アジア風邪 1918年に出現したスペイン風邪、68年の香港風邪とともに、20世紀に世界的に大流行した3回のインフルエンザのうちの一つで、57年に香港で表面化した。起源は中国南西部との見方もある。2波にわたって世界中に広がり、死者は200万人以上とされる。日本でも数千人が死亡した。ウイルスはA型インフルエンザのH2N2型。
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ティッシュで感染拡大防止 英保健当局がTV広告開始 【ロンドン1日共同】新型インフルエンザの感染者が確認された英国の保健当局は30日、感染拡大を防ぐため、くしゃみの際にはティッシュで口を覆うことなどを勧めるテレビキャンペーンを開始した。当局は同日付各紙にも同趣旨の全面広告を載せるなど、メディアを駆使した対策を進めている。 「くしゃみをすれば病原菌は拡散し、数時間生きています」「くしゃみの際はウイルスをティッシュで捕まえて(ティッシュを)捨て、できるだけ早く手を洗って(ウイルスを)殺しましょう」。テレビ各局ではこんなアナウンスを、くしゃみをした男性とエレベーターに乗り合わせた人々の映像とともに、繰り返し流している。 英国ではマスクはあまり普及していない上、ジョンソン保健相も、医療関係者以外は「マスク着用を支持する科学的根拠はない」と指摘。そのため「ティッシュで感染拡大防止」のキャンペーンとなったようだ。 当局はまた、新型インフルエンザの傾向と対策を説明したパンフレットを近く全戸に配布する。
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新型インフル、呼称を「インフルエンザA」に変更…WHO 【ジュネーブ=金子亨】世界保健機関(WHO)は30日、新型インフルエンザの呼称について、「インフルエンザA(H1N1)」に改めると発表、同日から使用し始めた。 人への感染が世界的に広がる今回のインフルエンザについて、WHOはこれまで、ウイルスの型から「豚インフルエンザ」と呼んできた。しかし、発生国メキシコからの豚肉禁輸や豚の大量処分に踏み切る国が続出したため、風評被害を懸念する食品業界などに配慮し呼称変更を決めた格好だ。
警戒水準「6」引き上げも スイスでも確認、13カ国に WHO、拡大阻止へ全力 【ジュネーブ30日共同】世界保健機関(WHO)は新型インフルエンザ感染拡大の警戒水準(フェーズ)を「4」から「5」に引き上げたが、30日にはスイスとオランダでも感染が確認され、感染確認は少なくとも13カ国に増加。世界的大流行(パンデミック)の正式認定を意味する「6」への引き上げも現実味を帯びてきた。 しかし、WHO幹部は30日、「今日の時点でフェーズ6に引き上げるべき証拠はない」と述べた。 WHOは米国などの保健当局や製薬業界と連携し、新型インフルに有効なワクチン開発に欠かせない、ウイルスの遺伝子構造の全容解明などに全力を挙げる。大流行に対し「歴史上最も備えができている」(チャンWHO事務局長)とされる世界の対応力が試される。 これまでに感染が確認されたのは、死者が多数出ているメキシコをはじめ、北米、中南米、欧州、中東、オセアニアにまたがる。感染の疑い例はアジア、アフリカも含め20カ国で見つかった。 WHOの警戒水準の定義では、「5」と「6」の間には感染の地理的な拡大以外にほとんど違いはない。「5」への引き上げの理由は、メキシコの隣国である米国で、人から人への感染拡大と一部感染者の症状が比較的重かったことが確認されたことだ。米国では29日、首都圏で初めて疑い例が報告された。 同じようなケースが、既に感染確認が出ている欧州諸国などで近く発生する公算は大きく、それが現実になれば大流行認定は避けられないとみられる。 ▽フェーズ6 フェーズ6 世界保健機関(WHO)が定める新型インフルエンザ警戒水準6段階のうち、世界的大流行(パンデミック)に至った最終段階。WHOが世界を6つに分けた各地域のうち、1地域の少なくとも2カ国で人から人への感染が確認されるのが前段階のフェーズ5。今回の新型インフルエンザでは、メキシコと米国で人から人への感染が確認された段階でフェーズ5とされた。フェーズ6は、それに加えて別の地域の少なくとも1カ国で人から人への感染があった場合、専門家の意見などを基に、WHO事務局長が決定する。
WHO、経済に配慮 渡航制限、勧告なし「表層深層」新型インフル大流行迫る 新型インフルエンザの世界的大流行が迫ったとして警戒水準を「5」へ引き上げた世界保健機関(WHO)。2003年には、新型肺炎(SARS)封じ込めのため感染者が見つかった地域に渡航制限勧告を矢継ぎ早に出したWHOだが、2日前の「4」への引き上げ時と同様、再び勧告は見送った。渡航制限は人・モノ・カネの移動を一気に細らせ、経済への打撃は甚大。「100年に一度」といわれる危機下の世界経済や、早い段階で感染者が確認された「当事者」の米国への配慮がにじむ。 ▽経済を重視 「国境閉鎖や人などの移動制限は勧めない」 29日深夜、ジュネーブのWHO会議室で世界に生中継された緊急記者会見。チャン事務局長(香港出身)はこう強調した。WHOのハートル報道官は、記者団から「なぜ渡航制限勧告を出さないのか」と繰り返し質問され「SARS発生以来の研究でも国境管理は機能しない。保健上の恩恵より、経済的な打撃の方が大きい」と説明。「経済重視」を公言する。 世界銀行が鳥インフルエンザの大流行を想定して2008年9月にまとめた報告は、最も深刻なケースで世界の国内総生産(GDP)を最大約5%押し下げると予想。今回の流行に単純に当てはまらないが「各国政策当局は分析を急いでいる」(日本の内閣府幹部)。日本総合研究所の松村秀樹(まつむら・ひでき)主任研究員は「米国の消費に影響が出れば、一般論だが世界全体の経済に波及してしまう。パニックにならないよう各国政府は正しい情報を公開すべきだ」と強調する。 ▽SARSの教訓 SARS流行が深刻化した03年、WHOは感染者が出た中国の北京、広東省、香港、カナダのトロントなどを対象に、渡航を延期するよう世界に勧告した。対象地域は「事実上の経済制裁状態」(外交筋)となった。 加盟国から反発も出た。トロントの場合、03年4月23日に勧告が出た後、カナダのクレティエン首相(当時)らがWHOに解除を働き掛け、わずか1週間後の同月30日に解除。「流行地域」指定もいったん解除したが、後に新たな感染が確認され、再指定する混乱があった。 WHOのフクダ事務局長補代理(米国出身)は「各国はWHOの判断を必ずしも待つ必要はない。各国は積極的に動くと信じる」と話す。各国政府、企業、個人に判断の責任を投げた形だ。 ▽米国支配 「現時点で保健当局者からメキシコ国境閉鎖の提言は受けていない」 29日、ホワイトハウス。就任100日目の記者会見をしたオバマ米大統領。記者団の最初の質問は国境を封鎖するかどうかだった。不法移民問題を以前から重視する勢力からは「メキシコからの入国を制限すべきだ」(カリフォルニア州選出のハンター共和党下院議員)との声も出ている。 保健だけでなく安全保障問題ともいえるインフルエンザ対策。WHOは人材、情報、技術力のあらゆる面で米疾病対策センター(CDC)など米国の強い影響下にある。インフルエンザ対策を統括するフクダ氏もCDC出身だ。米国の動向を軽視できるはずはなく「米国など感染確認国への政治的な配慮がある」(ジュネーブ駐在の外交筋)との見方は当然だ。 警戒水準を初めて「3」から「4」とした27日。事前には一気に2段階引き上げるとの見方もあった。対策チームの1人はこう漏らした。「(専門家の)われわれから見れば2段階でもいいはずだが(事務局長ら)上の人たちが考えていることは分からない」
「既にパンデミック」 メキシコの感染、2月から 「インタビュー」ニューヨーク大医学部長 世界的大流行(パンデミック)の危険性が指摘される新型インフルエンザへの対策や、今後の感染拡大の可能性について、米国の感染症の権威であるニューヨーク大のマーティン・ブレイザー医学部長(60)に尋ねた。(ニューヨーク共同) -米国で死者が今後、増加する可能性は。 「米国では毎年インフルエンザが発生し、死亡率は0・1%程度ある。これがパンデミックだと、1957年のアジア風邪で約0・2%に上がり、18年のスペイン風邪では2-2・5%と跳ね上がった」 「今回の新型インフルエンザが、(死亡率が比較的低い)穏やかなタイプになるのか激烈なタイプになるのか判断するのは時期尚早だ」 -死者がメキシコにほぼ集中している。 「単に時間の問題だ。メキシコの記録を精査すると2月に感染が始まっていたことが分かる。死者数から考えると感染者数は数千人どころか数万人以上の可能性がある」 -世界保健機関(WHO)は警戒水準(フェーズ)を「5」に上げた。 「現行のWHOのシステムでは一部の地域で発生した鳥インフルエンザなどにしか対処できない。わたしの認識では今回の新型インフルエンザは既にパンデミックに入っている。問題はそれが(死亡率の高い)激烈なタイプかどうかだ」 -日本への上陸は。 「ウイルスはあらゆる方向に広がっていく。(空路、海路などで)世界のほかの地域とつながっている日本には、既にウイルスが入り込んでいる可能性が高い。感染者が出るのは時間の問題だろう。(検疫など)水際で食い止める作戦は有益だが、時既に遅しの感じがする」 -国際社会はどういう対策を取るべきか。 「ワクチンの開発を急ぐことだ。これから(ウイルスの活動が弱まる)夏に入り、小康状態になるだろうが、秋か冬に再び活発化するだろう。今回のウイルスは豚、人間、鳥インフルエンザのウイルスが結合した強力なものの可能性があり、今後数カ月で変異する可能性がある。それまでに数種のワクチンをつくっておくことが大切だ」 「感染を遅らせることも重要。感染者は入院や自宅療養させ、外に出させない。それでも収まらなければマスクの励行や、さらに学校や劇場の閉鎖も検討すべきだ。マスクは100%感染を防げるわけでないが有効だ」 × × マーティン・ブレイザー氏 ニューヨーク州出身。同大教授(内科、微生物学)。米感染症学会会長などを歴任。
通常の流行超える患者数も 感染研センター長会見 世界的に広がりつつある新型インフルエンザについて、岡部信彦(おかべ・のぶひこ)・国立感染症研究所感染症情報センター長は30日、記者会見で「重い病気ではないが、通常の流行シーズンを超えるスケールの患者が出るかもしれない」と述べ、国内に侵入した場合は感染力の強さから患者が急増する可能性を指摘、水際対策や感染拡大防止の重要性を訴えた。 岡部センター長は、各国の研究者が参加した世界保健機関(WHO)の電話会議で報告された事例を紹介。「米国で多数の感染者が出れば、死者、重症者も出る。(当初とは)臨床症状も変化しつつあり、米国だけが軽いとは言い切れない」との考えを示した。 その上で「メキシコや米国のケースをみると、免疫機能が低下している人の方が重症化しやすい」とし「重症者の年齢層は10-50歳代と幅広く、その中にはウイルス性肺炎の患者も出ている」と述べた。 WHOが警戒水準を上げながらも渡航制限を出さなかったことについては「判断は妥当だ」としたが「発生地に自由に行ってよいという意味ではないと思う。不要不急の渡航は見合わせてほしい」と話した。
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新型インフルエンザ ほとんどが軽症者 投薬せずに回復--感染研推定 国立感染症研究所は30日、今回の新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)による感染者数の状況を推定した。感染者数が今後増加しても、多くが軽症ですみ重症例は少ない可能性が高いとしている。 同研究所の岡部信彦・感染症情報センター長らは4月29日深夜、米疾病対策センター(CDC)やメキシコ、カナダなどによる世界保健機関(WHO)の電話会議に参加。米国ではほとんどの感染者が軽症で、毎年流行するインフルエンザと同じ気道症状にとどまり、タミフルなどの治療薬を投与しなくても回復している。また、メキシコの重症患者は、他の病院で服用している薬による免疫低下などが原因とみられるという。【関東晋慈】
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「マスクは効果乏しい」 英紙、交換必要と報道 【ロンドン28日共同】新型インフルエンザをめぐり、28日付の英紙デーリー・エクスプレスは英健康保護局の専門家の話として、マスクを着用しても感染を防ぐ効果は乏しく、大量の使用済みマスクがかえって被害の拡大を招く恐れがあると報じた。 マスクは一般的に感染リスクを減らすと期待されており、英国では、感染者の確認が報じられて以降、マスクが飛ぶように売れている。しかし、この専門家は「マスクはぬれるとウイルスが侵入しやすくなるので、1日に2度は交換する必要がある」と指摘。その上で「(ウイルス)感染の疑いがあるマスクの大量処分は、重大な公衆衛生上の危険を招く恐れがある」と警告し、マスクよりも「治療薬にお金を使うべきだ」とした。 日本では、日常の予防策として厚労相がマスクや手洗いなどを求めているが、英保健相は「マスク着用を支持する科学的根拠はないが、感染者に接する介護員らのために、マスクの備蓄増強を急いでいる」と消極的な発言をしている。 WFでお勧めのCHX洗口液をマスクにスプレーするのは効果あり?
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「ウイルスは弱毒」 田代WHO緊急委委員、発見遅れ憂慮 【ジュネーブ澤田克己】感染が広がる新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の世界的大流行(パンデミック)への警戒レベル引き上げを討議した世界保健機関(WHO)緊急委員会委員の田代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長は28日、記者会見し、今回のウイルスは「弱毒性」との見解を示した。強毒性のH5N1型鳥インフルエンザが新型に変異した場合に比べ「それほど大きな被害は出ない」とみられ、「全く同じ対策を機械的に取るのは妥当でない」と述べた。(3面にクローズアップ、7面、社会面に関連記事) 田代氏は毒性について「今後、遺伝子の突然変異で病原性を獲得しないという保証はない」とした。そのうえで、遺伝子解析の「予備的データ」の結果として現段階で「強い病原性を示唆するような遺伝子はない」と「弱毒性」との認識を示した。 被害については、現在の毒性が変わらなければ、パンデミックを起こしても、約200万人が死亡した57年の「アジア風邪の規模かもしれない」とした。 数千万人規模の死者が想定される強毒性H5N1型と「全く横並びに判断していいものではない」と話した。 致死率などについては、疫学的調査が終わっていないため「実際の数字は分からない」と説明した。H5N1型に比べ「健康被害や社会的影響は大きく異なる。全く同じ対策を機械的に取ることは必ずしも妥当ではない。フレキシブル(柔軟)に考えていく必要がある」と述べた。 日本の対策について「少しナーバスになり過ぎているところがあるかもしれないが、後手後手になって大きな被害が出るよりは、やり過ぎの方がいいかもしれない」とし、発見の遅れに憂慮を示した。 ……………………………………………………………………………………………………… ■解説 ◇変異の恐れ、警戒継続を 新型インフルエンザウイルスが、毎年流行するインフルエンザと同じ弱毒性との見解が示された。だが世界中の大半の人が経験したことがないウイルスのため免疫がない。さらにインフルエンザウイルスは変異しやすく、流行中に強毒性に変わることも考えられる。パンデミックへの警戒は依然怠れない。 弱毒性ウイルスとは、呼吸器感染にとどまり強毒性鳥インフルエンザで懸念されている全身感染を起こさない▽感染者に生体防御の過剰反応(サイトカインストーム)を起こさない--とされる。新型変異前の豚インフルエンザウイルスはもともと弱毒性と知られていた。変異し人から人に感染するようになったウイルスの毒性は不明だったが、遺伝子レベルで「弱毒性」と今回初めて指摘された。 国立感染症研究所の田代真人氏によると、今回検出したウイルスのHAたんぱく(表面に突き出た突起)を遺伝子解析した結果、その中間部分にある塩基性アミノ酸が一つで人の呼吸器にしか感染しない構造だった。この塩基性アミノ酸が8-10個に増えると全身感染する強毒性になる。 流行の拡大を防ぐため、政府が早期発見の体制を整える一方、個人もマスクの着用や手洗いなどを徹底し、感染症への備えを心がけることが大切だ。【関東晋慈】
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米国が豚インフルエンザで非常事態を宣言 豚インフルエンザの発生を受け、米政府は公衆衛生に関する非常事態を宣言した。国土安全保障省は備蓄した抗ウイルス薬、タミフルとリレンザの25%を放出する。アンチウイルス薬の配布は豚インフルエンザの発生が確認されている州から優先的に始まる。 Miranda Hitti 国土安全保障省Janet Napolitano長官は今日、ホワイトハウスの記者会見で「本日、公衆衛生に関する非常事態を宣言する」と発表した。宣言は「所定の処理手続き」だとNapolitano長官は述べた。「ハリケーンが近づいている時にとる対応と同じ。ハリケーンが実際に上陸しなくても国民が十分準備できるようにするためであって、今回のインフルエンザ発生の規模や重大性がどの程度になるかは全く分からない」。 非常事態宣言の一環として、国土安全保障省は備蓄した抗ウイルス薬、タミフルとリレンザの25%を諸州に放出する。 政府関係者が促している対策は、体調が悪い場合は外出しない、病人との密接な接触を避ける、頻繁に手を洗う、自分の目、鼻、口に触れない、咳やくしゃみをする時は口と鼻をティッシュで覆う、居住地域の衛生情報に注意する、などである。 CDCに届いた報告によると、検査確認された豚インフルエンザ患者数はニューヨーク市8名、カリフォルニア州7名、テキサス州2名、カンザス州2名、オハイオ州1名である。 これら豚インフルエンザ患者のうち1名が一時的に入院したがいずれも比較的軽症であった、と世界保健機関で保健衛生保障と環境を担当する事務局長補佐のKeiji Fukuda, MDはいう。 ニューヨーク市の豚インフルエンザ感染者8名はクィーンズの私立Saint Francis高校の学生であった。ニューヨーク市保健精神衛生局の報道発表によるとすでに全員が完全に回復したとのことである。 メキシコの豚インフルエンザ感染死亡者数は20名以上にのぼると世界保健機関は確認しているが、それに比べて米国の豚インフルエンザ患者は今のところ軽症ですんでいる。公衆衛生当局はメキシコで出た多数の死者について詳しく調査している。 公衆衛生当局が新しい豚インフルエンザ株の調査を強化すれば米国の豚インフルエンザ患者はもっと増えるだろう、とCDCの科学公衆衛生事業副部長代理Anne Schuchat, MDは指摘する。Schuchat博士は、米国で重症患者、さらには死亡者が出る可能性もあるので準備する必要があるとアドバイスする。 「米国内における死亡者の発生が懸念される」とSchuchat博士は今日記者会見で話した。 今、世界中の国々がウイルスに警戒している。科学者らはウイルスの正体を突き止め感染爆発を食い止めるために奔走している。 全世界の保健医療団体が豚インフルエンザの脅威を「非常に深刻に」とらえているが、WHOの感染爆発の警戒レベルをフェーズ3から4に引き上げるかどうか決めるまでにもっと多くの情報が欲しい、とFukuda博士は述べた。 米保健社会福祉省の参考資料によると、人間の集団がほとんど免疫を持っていない新しいインフルエンザA型ウイルスが出現して重篤な疾患を引き起こし、それが世界中で人から人へ簡単に広がり始めるとインフルエンザの大流行が起こる。 WHOの感染規模等級は、フェーズ1 (インフルエンザが大流行する可能性は低い) からフェーズ6 (本格的な大流行が進行) まである。 豚インフルエンザの症状 米国の患者でこれまでみられた豚インフルエンザの症状は「高熱、咳、のどの痛み、筋肉痛など、比較的に特別な症状ではない。嘔吐や下痢のある患者もいるかもしれない」とSchuchat博士は言う。 問題はこれらの症状が豚インフルエンザ固有のものではないことである。 「様々な別の原因によってこうした症状が現れる可能性がある」とSchuchat博士は言う。そのため、別のインフルエンザや他の疾患ではなくて豚インフルエンザにかかっていると患者が断言するのは「不可能」だという。 「これは我々が取り組んでいるジレンマ、課題である」とSchuchat博士は言う。診察を受けるべき病気かどうかは各自で判断して、もしメキシコなどのハイリスク地域に最近行った場合は必ず病院に行ってもらいたい、と述べた。 また、米国で人から人に広がるウイルスの感染症例が認められていることにも触れた。カンザス州で確認された2症例は夫婦で、その一方がメキシコに行った。帰宅の2日後、その配偶者が病気になったとSchuchat博士は言う。 以上の報告はWebMDのシニアライター、Daniel J. DeNoonの協力によるものである。 Medscape Medical News 2009. (C) 2009 Medscape
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感染研「豚インフルエンザには不明な点がまだ多い」 国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部信彦氏らが4月27日、マスメディアに対し、「豚インフルエンザ」について現在入手している情報に基づく説明をした。
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2009.4.27 記事提供 共同通信社 |
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メキシコ便を機内検疫へ 成田空港、異例の措置 豚インフルエンザの水際対策を急ぐ厚生労働省が、成田空港に到着したメキシコ便の機内に検疫官の医師らを乗り込ませる異例の検疫活動の実施を決めたことが27日、同省関係者への取材で分かった。 機内検疫は通常、厚労省が指定する鳥インフルエンザなどの発生国の旅客を対象に、体調不良を訴えた場合に取る措置。豚インフルエンザは指定されておらず、患者からの訴えなしに検疫に乗り出すのは極めて異例。メキシコからの直行便は国内では成田空港への週4便だけで、成田空港検疫所によると、早くて29日早朝に到着する便から始める。 成田空港では既に、メキシコ便の旅客を中心に到着ゲート前でサーモグラフィーを使った体温チェックを続けているが、十分に監視が行き届かないため態勢を強化することになった。 厚労省関係者によると、医師や看護師5、6人が到着便に乗り込み、名前や住所、連絡先のほか、体調などを記入する質問票を渡し、ハンディ型のサーモグラフィーで乗客乗員すべての症状を見極めるという。
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豚インフル、米が緊急事態宣言…感染3国、疑い7国 被害が最も深刻な発生国メキシコでは、豚インフルエンザが疑われる死者は103人に達し、このうち22人の感染が確認された。同国は引き続き非常事態を発令している。カナダの保健当局も同日、6人の感染を確認。この結果、感染者を出したのは計3か国となった。このほか、英国、コロンビア、ブラジルなど7か国で感染の疑いが浮上している。 メキシコ 死者103人 米政府の緊急事態は、ナポリターノ国土安全保障長官がホワイトハウスで宣言した。これにより、連邦政府が州、地方自治体の関連機関を統轄し、全米で柔軟に緊急事態に対処できるようになる。例えば、米食品医薬品局(FDA)には通常の手続きを踏まずに薬品や医療機器を使用する権限が与えられ、検査のため研究施設を優先使用できる。 具体的には、インフルエンザ流行に備えて米政府が備蓄していた抗インフルエンザ薬のタミフル、リレンザ合計5000万人分の4分の1を、メキシコと国境を接し、感染者を出したカリフォルニア、テキサス州などを中心に配布する。国防総省は、700万人分のタミフルを調達する。 この宣言は、ハリケーンなど自然災害でしばしば出されるが、今回のように感染症で出るのは珍しい。 米政府は、「病気の症状がある人は外出せず、公共機関利用も控えてほしい」と呼びかけた。メキシコへの渡航禁止措置は取らないが自粛は要請している。在メキシコの米国大使館は26日、メキシコ人や、日本人を含む外国人に対する米国行きのビザ発給を最長1週間延期すると発表した。今週、発給するはずだった約5100人が対象となる。 メキシコのコルドバ保健相は26日、感染が疑われる死者は103人に達し、疑いによりこれまで入院した1614人のうち約400人が入院中と明らかにした。 米疾病対策センター(CDC)の幹部は26日の記者会見で、「感染者の報告はまだ増えると見られるが、季節性のインフルエンザでも豚インフルエンザでも、ワクチン製造には何か月もかかる」と述べた。 メキシコからの便 機内で検疫 豚インフルエンザの水際対策を強化するため、厚生労働省は27日、メキシコから国内に到着する航空便に対し、機内で乗員・乗客全員への検疫を行うことを決めた。 メキシコから国内への航空便は、メキシコ市から北部のティファナ経由で成田に到着するアエロメヒコ便と、やはりメキシコ市からカナダ・バンクーバー経由で成田に到着する日本航空便で、水曜日と土曜日に週計4便が到着する。既に25日の便から、到着ゲート前などでサーモグラフィーを使った体温測定を行っているが、同省は、さらに入念なチェックが必要と判断、29日早朝の到着便からの機内検疫実施を決めた。 到着後、医師や看護師らが機内に入り、携帯型のサーモグラフィーで全員の体温を測定。体温が高い人には検疫所で詳細な診断を行う。また、機内では日本の領土内に入った段階で、名前や住所、連絡先、体調などに関する質問票に記入してもらう。
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豚インフルエンザ急拡大 欧州、中東でも疑い メキシコから帰国で 豚インフルエンザと疑われる感染例は26日、フランスやスペイン、イスラエル、ニュージーランドで報告され、世界的な広がりを見せ始めた。いずれもメキシコから帰国した人ばかりで、衛生当局がウイルス検査を進めている。メキシコでは25日、感染が疑われる死者が81人に増加、米国でも感染が拡大している。(3面にクローズアップ、4面、社会面に関連記事) ◇メキシコ、死者81人 メキシコのコルドバ保健相は25日、記者会見し、同日までの豚インフルエンザとみられる感染者数は1324人、死者数は81人と発表した。死者のうち死因を豚インフルエンザと確定した人数は20人で、前日と同じ。 米疾病対策センター(CDC)は同日、新たに中西部カンザス州で2人、西部カリフォルニア州で1人の豚インフルエンザ感染を確認し、感染者が計11人になったと発表した。メキシコと国境を接する州以外にも患者の所在地が広がり、感染拡大への懸念が高まっている。 一方、ニューヨーク市のブルームバーグ市長は26日、同市クイーンズ区の私立中等学校の生徒8人が、豚インフルエンザウイルスに感染していたと発表した。この学校にメキシコから最近帰国した生徒が数人おり、他にも発熱など症状を訴える生徒が約100人いることから、集団感染も疑われている。 こうした中、米国のギブス大統領報道官は26日、NBCテレビに対し、「我々は適切な予防策を取っている。今はパニックになる時ではない」と語った。 米国以外でも、メキシコからの帰国者を中心に感染の疑われる人が相次いで発覚している。 ニュージーランドのライオール保健相は26日、メキシコに3週間滞在し、25日に帰国した高校生10人が豚インフルエンザに感染した疑いがあると発表した。AFP通信などが伝えた。 さらにスペインで3人、仏で4人が豚インフルエンザに感染している疑いがあることも26日、分かった。いずれもメキシコから帰国した旅行者。 イスラエルでも、メキシコから帰国し、感染した疑いのある男性1人が入院した。【パリ福原直樹、ニューヨーク小倉孝保、ロサンゼルス吉富裕倫】 ◇接触45人が感染 【メキシコ市・庭田学】豚インフルエンザの感染・死亡例が拡大しているメキシコのコルドバ保健相は25日、最初に症例が確認された女性患者(既に死亡)と接触した45人が、ウイルスに感染していたことを明らかにした。いずれも症状は軽かったがウイルスの感染力の強さを示している。 記者会見したコルドバ保健相によると、4月13日に確認された最初の患者は、南部オアハカ州の女性。 ◇帰国者の健康観察--厚労省 厚生労働省は26日、メキシコからの帰国者に対して一定期間の健康観察を実施する方針を明らかにした。症状がない人でも、帰国後10日間ほどはなるべく外出しないよう求め、感染者が入国した場合の早期発見と感染拡大の防止を図る。 厚労省によると、帰国者には空港の検疫所で連絡先を書いてもらうよう要請。同意が得られれば帰国から10日間程度、地元の保健所が1日1回、電話で健康状態を確認する。高熱などの症状が出た場合は、感染症指定医療機関での受診を勧めるという。29日から始める。 厚労省はまた、医療機関に対し、重症肺炎などの事例の報告を求めることを決めた。25日から始めた電話相談では、今月15日と18日にメキシコから帰国した日本人2人が発熱やせきなどを訴えた。症状がほぼ治まっており、感染の有無を調べるのは困難という。電話相談(03・3501・9031)は27日以降も続ける。【清水健二】 ◇警戒レベルは維持--WHO 【ジュネーブ澤田克己】世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は25日深夜(日本時間26日朝)、米国とメキシコで起きている豚インフルエンザの人への感染について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」とする声明を発表した。事務局長は各国に、インフルエンザが疑われる病気や肺炎の不自然な流行への監視を強化するよう要請した。新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)に備える警戒レベルは、現在の「フェーズ3」が据え置かれた。 各国の専門家を電話回線で結んで同日開かれた緊急委員会が、「緊急事態」と認定した。認定は、新型インフルエンザ発生に備え05年に改正された国際保健規則に基づく措置。加盟国には、新型インフルエンザが疑われる病気が発生した場合、速やかにWHOへ通報する義務が課せられ、WHOは事態の急変に即応できる態勢を取る。 事務局長声明はさらに、警戒レベル据え置きの判断について「決定を下すには、より多くの情報が必要だという合意に達した」と説明した。 一方、WHOのケイジ・フクダ事務局長補代理(感染症担当)は26日夜(日本時間27日未明)、記者会見し、「28日に緊急委員会を再度開き、警戒レベルをフェーズ4に上げるかどうかを検討する」と明らかにした。 ……………………………………………………………………………………………………… ■各国の感染者数(疑い例を含む) メキシコ 1324人=死者81人 米国 19人 ニュージーランド 10人 フランス 4人 イスラエル 1人 スペイン 3人
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4/27号 豚インフルエンザの必須情報サイト (2009年4月27日午前8時配信) 先週、メキシコで豚インフルエンザの発生が 報道されて以来、米国での感染者、さらには欧州などでも感染の疑い例が報告されるなど、刻一刻と状況は変化、感染拡大が懸念されています。報道されています。27日朝の段階では、豚インフルエンザの感染者・感染が疑われる人はメキシコで1300人以上、死亡者81人と報道されています。 WHO(世界保健機関)は4月25日夜(現地時間 )、世界各国の専門家で構成する緊急委員会を開催、新型インフルエンザのパンデミックに備えた警戒水準(フェーズ1から6の6段階)などについて検討しました。フェーズ3(ヒトからヒトへの感染が 全くないか極めて限定的)から、フェーズ4(ヒトからヒトへの感染が増加する証拠がある)への引き上げは見送られたものの、マーガレット・チャン事務局長は「深刻な状況」と指摘、予断を許さない状況です。28日(現地時間)にも再び緊急委員会を開催する予定になっています。 日本でも、厚生労働省は4月25日以降、会議を開催するなど、対応に追われています。今日、午前9時からは閣僚会議が開催される予定。ヒト-ヒト感染が伝えられるだけに、医療者にとっては、日本での感染者の発生動向や自院にインフルエンザ様疾患の患者が来た際の対応のためには、最新情報の入手が不可欠です。 厚労省は日本での対応のほか、逐次、WHOやCDC(米疾病対策センター)の情報を和訳してホームページ上で情報提供しています。現在、医療機関に対 しては、都道府県や医師会から情報が提供されていますが、同省のホームページからもタイムリーな情報の入手が可能です。 下記のほか、豚インフルエンザの関連情報で役に立つサイトがあれば、情報提供をお願いします。 【豚インフルエンザ関連サイト】 ◆WHOのホームページ 【参考】
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