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最新の社会情勢レポート!!


アレルギーなど持病として各種の症状を持つ人が増えていくと、
その社会的コストは膨大な損失?

小児の腹性片頭痛について米国の臨床医は認識不足

小児の腹性片頭痛は米国では十分に認識されていないものの、診断時における標準的片頭痛予防薬の投与に対する反応は良好

Daniel M. Keller

【9月14日(ペンシルベニア州、フィラデルフィア)】第14回国際頭痛学会議(14th International Headache Congress)(フィラデルフィア)で発表された結果が典型的なものであるなら、腹性片頭痛は特発性再発性腹痛が認められる小児胃腸疾患患者の最大15%で発現している可能性がある。

この疾患は欧州では十分に認識されているが、米国では十分に診断されていないと研究者のDonald Lewis, MDは述べている。Lewis博士はイースタンバージニア医科大学(Eastern Virginia Medical School)小児科の教授兼部長を務めており、キングズドーターズ小児病院(Children's Hospital of the King's Daughters)(バージニア州、ノーフォーク)の学問部(academic affairs)の上級副責任者(senior vice president)である。

再発性腹痛のある小児はかなりの量の医療資源を使用しており、この疾患は学校、家庭、社会での活動を妨げる機能障害と能力障害につながる可能性がある、とLewis博士は述べている。

Lewis博士は、腹性片頭痛は、片頭痛の前触れである小児期の症候群のひとつに分類されているとMedscape Neurologyに話している。「思春期を通じて長期間これらの小児を追跡すれば、彼らのほとんどは片頭痛を有したまま成長することがわかる」とLewis博士は述べている。

腹痛は主要な特徴

小児神経科医であるLewis博士の説明によれば、腹性片頭痛は悪心、食欲不振、蒼白、および時折の頭痛を伴い、1-72時間持続する正中線、臍周囲、または局在のはっきりしない中等度から重度の疼痛のエピソードを特徴としているという。「しかし、頭痛は(腹性片頭痛の)主要な特徴のひとつではない。主要な特徴は腹痛のエピソードである」とLewis博士は強調している。この疾患は2004年国際頭痛分類(2004 International Classification of Headache Disorders)に掲載されており、機能的胃腸障害に関する2006年Rome III診断基準では再発性腹痛の明確なひとつのタイプと認識されている。

Lewis博士らは、2004年国際頭痛分類の腹性片頭痛の基準を満たしている可能性のある患者の割合を明らかにするため、カルテの見直しを通じて、病院の小児胃腸科クリニックにおいて再発性腹痛の患者を評価した。適格患者は慢性腹痛の原因が明らかではないと診断された1-21歳の少女(41%)および少年(59%)であった。当初の小児600例のコホートのうち、458例が組み入れ基準を満たした。そのうち20例(4.4%)が2004年国際頭痛分類の診断基準を満たし、さらに11%は腹性片頭痛の可能性が高いものと思われた(ひとつ以上の診断基準について証明が不十分)。

「したがって、腹性片頭痛を有する可能性がきわめて高く、[胃腸]クリニックで曖昧な診断を受けて見捨てられている、こうした大きな小児のサブグループがある」とLewis博士は述べている。腹性片頭痛の正しい診断を行えば、さまざまな片頭痛治療薬がこれらの小児に対して利用できることになるとLewis博士は付け加えている。

腹性片頭痛に対して、片頭痛予防薬や片頭痛発作に対する急性治療は利用可能であり、しかも有効である。この研究は単に人口統計学的な研究であるため、薬剤の有効性は検討されなかったものの、Lewis博士は、欧州の文献ではこれらの治療薬の有効性が証明されていると述べている。

米国では腹性片頭痛に対する認識が不足しているが、これは臨床医が腹性片頭痛について教育を受けてこなかったためではないかとLewis博士は考えている。こうした疾患が存在するということは特に小児胃腸科専門医と一般小児科医に伝えたいことである。Lewis博士は、小児科医はこうした患者を胃腸科専門医ではなく小児神経科医に紹介したほうがよいと勧めている。また、片頭痛はしばしば遺伝することから、特に親、とりわけ母親が片頭痛疾患を有しているなら、知識のある家族は、子供が腹性片頭痛の診断と一致する再発症状を有している場合に主治医に注意を促すことができる。

一過性腹痛の背景

この研究に携わっていないボストン大学(マサチューセッツ州)の神経科准教授であるBrian McGeeney, MD, MPHは、成人に関する自らの臨床経験では、腹性片頭痛は実際に存在しているとMedscape Neurologyに話している。「彼らは、偶然以上の確率で、小児期における一過性腹痛という背景を有しているとみられる」とMcGreeney博士は述べている。

「このようなポスターによって、小児科医だけでなく成人神経科医においてもこの珍しい症候群への認識が実際に高まるはずである」小児期における患者の腹部症状の病歴を知ることができれば、成人の片頭痛の診断におけるもうひとつの手がかりとなる可能性がある。

腹性片頭痛は後年の片頭痛の前触れであり、また後年の片頭痛と一時的につながる可能性があるものの、腹性片頭痛が実際に片頭痛のひとつの形態であるということは様々な片頭痛予防薬がしばしば奏効することを強く示唆していることになるとMcGeeney博士は述べている。

この研究は、業界とは関連のないChairman's Fund of the Department of Pediatricsを通じて援助を受けている。Lewis博士は関連する金銭的関係がないことを開示している。McGeeney博士はMerck社、GlaxoSmithKline社、and Lilly社の顧問の仕事を行ったことがある。

14th International Headache Congress: Abstract PO222. Presented Saturday, September 12, 2009.

Medscape Medical News 2009. (C) 2009 Medscape


2009.9.18 記事提供:Medscape  


横浜でもインフル死亡、小6男児

横浜で小6男児が死亡 未成年は初めて:新型インフルエンザ

 横浜市は17日、新型インフルエンザに感染した同市都筑区の市立小6年の男児(12)が同日夕、入院先の市内の病院で死亡したと発表した。気管支ぜんそくの基礎疾患があり、死因は脳内出血とみられるが、インフルエンザウイルスとの関連は不明という。男児はインフルエンザ脳症には罹患(りかん)していなかった。3日未明からウイルス性心筋炎の治療のため集中治療室(ICU)に入っていた。厚生労働省によると、国内の新型インフルエンザ感染者の死亡は疑い例も含めて15人目、未成年の死者は初めて。

 市によると、男児は2日午前、39度台の発熱と嘔吐(おうと)を訴え、近くの医療機関を受診した。簡易検査では新型インフルエンザ陰性だったが、気管支ぜんそくの症状があり、医師の紹介で別の病院を受診。熱が37度台に下がったため帰宅した。

 しかし、翌3日に熱が40度に上がり、再受診して心筋炎と診断された。この時も2回の検査で新型インフルエンザ陰性だったという。

 だが、血液検査の結果、10日にA型インフルエンザ陽性と判明し、14日夕に市衛生研究所の遺伝子検査で感染を確認。17日夕に死亡した。タミフルやリレンザは投与されなかった。

 投与しなかった理由について、市は「発症から感染確定まで48時間以上経過しており、効果がないと判断したのではないか」と話している。【池田知広、高橋直純】

 ◇心筋炎に注意必要--専門家指摘

 心筋炎は心臓の筋肉(心筋)にウイルスなどが感染し炎症を起こし心機能が低下する病気。心筋炎により体内に分泌された物質の影響で、脳出血を起こしやすくなる恐れがある。

 また、心筋炎の治療には補助人工心臓を使うことがある。血液が固まるのを防ぐ抗凝固剤を用いるため、脳内の血管に弱い部分があると、そこから出血する可能性もある。

 野々山恵章・防衛医大教授(小児科学)によると、インフルエンザウイルスによる心筋炎は、季節性ではあまり起こらないが、新型では報告があり、注意すべき合併症という。

 野々山教授は「小児の心筋炎は急速に容体が悪化しやすいため警戒が必要だ。新型インフルエンザに伴う心筋炎は頻度としては非常にまれだが、脈が弱かったり元気がなく、ぐったりしていれば、重症化の兆候なので、早期に医療機関で受診してほしい」と指摘している。【江口一、河内敏康】


2009.9.18 記事提供:毎日新聞社 


また持病なくインフルで持病なく死亡、インフル感染死亡者国内14人目死亡

 【解説】沖縄県で基礎疾患(持病)がない人が新型インフルエンザに感染して死亡した。これまで国内では、新型インフルエンザで重症化しやすい人として持病のある人や妊婦、小さい子どもが注目されてきたが、専門家は海外の死亡例の約20%は持病のまったくない人だったと指摘している。

 新型インフルエンザでは大半の人が軽症で済んでいるが、今回のケースは、一見リスクがないと思われる人でも、場合によっては死に至る可能性があることをあらためて示した。

 従来の季節性インフルエンザで重症化するケースとして、細菌の二次感染による肺炎が挙げられるが、今回の新型では、ウイルスそのものが肺で炎症を引き起こす「ウイルス性肺炎」が重症化例として報告されている。また、海外の重症例では急激に呼吸不全が進行する「急性呼吸窮迫症候群(ARDS)」が報告され、医療設備が整っていても治療が難しい場合があると指摘する専門家もいる。

 日本では、新型インフルエンザの本格的流行はこれからと考えられる。患者が多くなれば重症患者も増える。持病の有無にとらわれず、感染や重症化を防ぐ方策が求められる。

慎重な経過観察必要 「持病なし」にショック 【3】

 持病のない女性(24)が新型インフルエンザに感染し、15日に死亡した沖縄県。これまで国内で報告された死者はほとんどが腎不全や糖尿病、呼吸器疾患などがある人で、県の担当者は「もともと健康な女性が亡くなったことに衝撃を受けている」と話した。持病がなくても慎重な経過観察が必要で、県は「容体が変わったら早めに受診してほしい」としている。

 沖縄県での死者は2人目。仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事はこの日、那覇市で開かれた医療関係者との会合で「今後の流行に備え、さらに準備をお願いします」と警戒を呼び掛けた。

 県によると、女性は当初、自宅で療養していたが、発症から5日後に重い呼吸困難を起こし、緊急入院したという。

 沖縄県では1医療機関当たりの1週間のインフルエンザ患者報告数が8月に46・31人を記録。その後、減少に転じたが、全国的には依然高い水準となっている。

 15日の仲井真知事との会合では、医療関係者から新型流行の「第2波」や、ウイルスの毒性の変異などに対する懸念の声が相次いだ。

2009.9.16 記事提供:共同通信社 


また持病なくインフルで死亡

持病ない24歳女性死亡 くも膜下出血併発 新型インフル、国内14人目 【1】

 沖縄県は15日、新型インフルエンザに感染した同県南風原町の女性(24)が死亡したと発表した。基礎疾患(持病)はなかった。国内の死者は疑い例を含め14人で、この女性が最年少になる。

 新型インフルによる肺炎が重症化して呼吸困難となり、入院して人工呼吸や体外補助循環などの集中治療を行っていたが、くも膜下出血を併発し死亡した。

 厚生労働省などによると、持病がない新型インフル感染者が重症化後、死に至ったのは初めて。直接の死因はくも膜下出血だが、沖縄県は「新型インフルに感染し重篤な状態になったことなどが関係した可能性がある」と指摘。ウイルスを培養し、国立感染症研究所などに送って、治療薬への耐性や遺伝子の変異などを詳しく調べる。

 沖縄県によると、女性には渡航歴がなく8月26日に発熱、医療機関の簡易検査でA型インフルエンザと診断され、自宅で治療薬リレンザを使っていた。しかし発熱は続き、呼吸困難となったため、同31日に再度受診。新型インフルへの感染とウイルス性肺炎の発症が確認され緊急入院した。

 その後、集中治療を行ったが症状は改善せず、9月9日にくも膜下出血を併発し、15日午前11時すぎに死亡した。

 女性は母と弟の3人家族で、全員が新型インフルに感染しており、家族感染とみられる。家族はタミフルを服用したが、女性はカプセル剤の内服が苦手で、吸引式のリレンザを選択していたという。

 持病のない感染者の死亡をめぐっては、今月9日の大阪府の男性(45)の事例がある。この男性の死因については、大阪府が10日、死因は虚血性心疾患だったと発表。新型との関係は不明という。

2009.9.16 記事提供:共同通信社 


医療に余裕がなければ・・・

困った時には助けを=林英樹院長 岡山・ご近所のお医者さん

 ◇林道倫精神科神経科病院(中区)林英樹院長(51)

 日本では11年連続で自殺者が年間3万人を超えています。約15分に1人、1日に約90人が死んでいる状況です。自殺未遂者はその10倍いると言われており、取り残された家族や友人の心理的なダメージも深刻です。

 この半年間、3人の自殺未遂者を診察しました。例えば、自動車会社で“派遣切り”に遭った男性は住み込みの家も失い、車中で生活していた間に自殺未遂を4回繰り返しました。この人たちは未遂で助かっていますが、亡くなった方もたくさんおられます。自殺は身近な問題だと実感します。

 自殺者は中高年が多いですが、最近は30代も増えています。生活苦の低年齢化が進んでいるのも一因でしょうが、経済的困窮以外にもさまざまな要因が複雑に絡んで本人を追い込んでいるのが現状です。自殺は「孤独の病」と言うことはできると思います。「私は生きるだけの価値がない」といった無価値感、「すっかり疲れ果てた」「どうでもいい」といったあきらめなどが自殺者の共通の心理としてあります。

 フィンランドでは、自殺者の減少に成功しました。「自殺者の93%が精神障害と診断できる」という医療機関の診断結果を受け、小学校から精神障害についての正しい知識と、困った時には助けを求めることが解決につながるということを教えています。また、どこへ助けを求めればよいかといった情報提供も奏功しています。

 自殺対策としては、「失敗したら死んで責任を取る」などといった日本の風潮を変えるための啓発活動なども必要です。困った時は誰かに助けを求めるべきなのだということを周知徹底させる必要があります。【坂根真理】

  ◇    ◇

 モットーは「命は平等、診療も平等」。室料差額はとらない。24時間体制で診療にあたる。中区浜472、林道倫(はやしどうりん)精神科神経科病院(086・272・8811)。

2009.9.15 記事提供:毎日新聞社 


民主党に期待?

Dr.中川のがんから死生をみつめる: 民主党政権への期待

 この5年間、政府は毎年2200億円の社会保障費を削減してきました。その結果、現在の医療費の対国内総生産(GDP)比は、経済協力開発機構(OECD)諸国の中で22位、1人あたりの医療費は17位、人口10万人当たりの医師数は26位(OECD平均310人に対して206人)--という状況です。

 これらの数字は、先進7カ国ではすべて最下位です。ところが、公共事業への支出は逆にトップです。これまでの日本の政治は「命より道路を優先してきた」といえるかもしれません。医療崩壊が指摘されていますが、世界一高齢化した日本が、医療にお金をかけてこなかったのですから、当然の結果ともいえます。

 民主党は、マニフェスト(政権公約)の中で、医療に力を入れています。1・2兆円の予算を投入し、長期的には医療費をGDPの8・9%程度(現在は8・1%)に引き上げ、OECD諸国の平均を目指すとしています。また、大学医学部の定員を1・5倍にするほか、大学病院への資金援助を行うなど、医師不足の問題を解決しようとしており、大いに評価できます。

 第20回の本欄でも紹介しましたが、がん対策についても、これまで遅れていたがんの予防に力点をおくなど、優れた施策が並びます。乳がんや子宮頸(けい)がんをはじめ、有効性の高いがん検診の受診率を大幅に向上させる体制整備、子宮頸がんの原因となる「ヒトパピローマウイルス」の感染を予防するワクチン接種の推進、禁煙対策の徹底など、がんの予防対策をいっそう充実させるとしています。また、がん患者への最新情報の提供や相談支援体制などの整備を図り、がん登録の法制化も検討する、と明記しています。さらに、化学療法、放射線治療、病理などの専門医の養成を行うとしており、これに、緩和ケアの充実を加えれば、鬼に金棒です。

 16日、民主党の鳩山由紀夫代表が首相指名を受け、第93代の内閣総理大臣となります。このマニフェストを着実に実行し、「世界一のがん大国」でありながら遅れた面も多かった日本のがん対策を、よい方向にかじ取りしていただきたいと思います。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)

2009.9.15 記事提供:毎日新聞社 


09H1N1インフルの管理ガイドライン

CDCは2009年H1N1型インフルエンザの管理に関するガイドラインを改定

推奨される薬剤に変更はないものの、CDCの改定ガイドラインでは、予防のための「注意深い待機」という選択肢が盛り込まれるとともに、高リスク患者に対する迅速な治療の必要性が強調されている。

Laurie Barclay


【9月9日】米国疾病管理予防センター(CDC)は2009年A(H1N1)型インフルエンザウイルスの現状と管理に関するガイドラインを改定したことを昨日、記者会見で発表した。取り上げられたテーマは、現在行われているサーベイランスに基づいた2009年H1N1型インフルエンザの特徴、ならびに2009年N1N1型インフルエンザおよび季節性インフルエンザに対する抗ウイルス薬の使用に関するガイドラインであった。

推奨される薬剤および抗ウイルス治療を要する患者集団については以前の改定から変更はないものの、この最新の勧告では、予防のための「注意深い待機(watchful waiting)」という選択肢が盛り込まれるとともに、高リスク患者に対する迅速な治療の必要性が強調されている。

「[2009年H1N1型インフルエンザウイルスは] 今夏、決して消滅しておらず、いまだに出回っているので、注意を払う必要がある」とCDCの国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)のディレクターAnne Schuchat, MDは述べている。「疾患のスペクトラムが変化していないとみられることは朗報だが、どのような軌跡をたどるかは実際にはわからない。主に予想されるのは、忙しく長いシーズンになることと、我々は準備が必要であるということである」

2009年H1N1型インフルエンザ活性のごく最近の増大は、ジョージア州、ミシシッピ州、アラバマ州、フロリダ州などの南東部の州が中心になっているようである。9月4日、ジョージア州、インディアナ州、ミズーリ州、テネシー州における24校の小学校および中等学校はH1N1菌株に起因すると考えられるインフルエンザ様疾患の生徒合計25,000名を帰宅させたと発表している。

こうした地理的偏りの理由は不明であるが、2つの重要な因子として、南東部の州の学校は他地域の学校より(閉鎖後の)授業再開が早いことと、南東部の州では春期にH1N1型ウイルス活性が比較的弱かったことが考えられる。

「来春になるとH1N1型ウイルスはさらに多様化することが予想される」とSchuchat博士は述べている。「しかし今のところ、このウイルスの外見に変化がないことは朗報であり、そのためこの菌株に対して準備されてきたワクチンは依然として有効なはずである」

2009年5月6日に発表されたCDCガイドラインと比較すると、この最新ガイドラインは以下の点で異なっている。

今シーズン、抗ウイルス薬が適切に処方され、そしてそれらが最も必要な人たちに迅速に投与されることを確実にするために、追加の状況と指針を臨床医に提示している。以前と同様に、抗ウイルス薬使用の最優先は、インフルエンザ様疾患で入院している患者、ならびにインフルエンザ様疾患で具合が悪く、インフルエンザ関連合併症のリスクが高い患者である。
高リスク患者における疾患発生から治療までの時間を短縮するため、臨床医は高リスク患者には前もって抗ウイルス薬の処方箋を与えておくことを考える必要がある。そうすれば、患者は症状が発現したら、処方箋に従って薬を調合してもらうかどうか臨床医に助言を求めることができる。
抗ウイルス薬を化学的予防のために使用すべき適切な(かつ限られた)状況に関して、さらに情報を提供している。抗ウイルス薬は地域集団の曝露(community exposures)を理由に予防を目的として健康な人たちに使用すべきではない。H1N1に曝露された高リスクの人全員に直ちに投与するのではなく、注意深く監視された一部の患者では症状を予測しつつ観察し、症状が現れたら直ちに抗ウイルス薬を投与するが、無症状の人には予防的に投与しないことが適切であると思われる。
この新しい勧告では、予防のためではなく早期治療のために抗ウイルス薬を使用することを強調するとともに、臨床医に対して、リスクが最も高い人たちに適切かつ適時の治療を行い、抗ウイルス薬耐性が発生するリスクを低減させ、さらに治療と科学的予防に関する患者ごとの決定における臨床判断の重要性を認識するのに必要な情報を提供している。


Schuchat博士によれば、これまでのところ、抗ウイルス薬に対するH1N1の耐性を報告した症例は「わずか一握り」であった。

以前にCDCが推奨したように、インフルエンザが疑われるか、または確定して、入院を要する患者は全て、合併症のリスクが高い人たち(5歳未満の小児、65歳以上の成人、妊婦、ある種の慢性内科疾患か免疫抑制状態を有する人、長期アスピリン療法を受けている19歳未満の人)の場合と同様に、オセルタミビルまたはザナミビルで治療すべきである。

「抗ウイルス治療を行うタイミングは重要であり、高リスク患者では、症状発生から48時間以内に開始すべきである」とSchuchat博士は述べている。「しかし、それでも臨床判断は重要であり、臨床医には各患者に応じた個別の治療を実施してもらいたい」

疾患発生後48時間以内に開始した治療は効果を表す可能性が高いことが諸研究で示されていることから、この最新ガイドラインでは、入院患者または合併症のリスクの高い患者には出来るだけ早く治療を開始することを強調している。インフルエンザの迅速検査陰性ではインフルエンザの可能性を否定することはできず、しかもその感度は10-70%の範囲であることから、臨床検査によるインフルエンザの確定を待つことで治療を遅らせてはならない。

入院患者および合併症のリスクの高い人たちのほか、警告する症状や徴候を発現してインフルエンザが疑われる患者は全て、直ちに経験的抗ウイルス治療を受ける必要がある。これらの「警告(red flag)所見には、呼吸困難、頻呼吸、発熱、原因不明の酸素飽和度低下、下部呼吸器疾患がある」

臨床医は患者に対して、これらの警告症状について教育し、症状が現れたら出来るだけ早く治療を求めることを推奨すべきである。乳児および低年齢小児では、その他の警告徴候として、嗜眠、抱かれるのを嫌がるほどの易刺激性、最初は改善しているような症状がその後悪化することがある。

合併症のリスクの高くない人または入院を要する重度インフルエンザではない人に対しては一般に、治療または予防を目的とした抗ウイルス薬投与は必要ではない。

「H1N1菌株、他の菌株のいずれでも、抗ウイルス薬は我々がインフルエンザへの反撃に用いる諸手段の中の重要要素である」とSchuchat博士は述べている。「しかし、重要な点は、ほとんどの小児、青少年、成人はインフルエンザ様疾患を発現しても抗ウイルス薬を必要としないということである。必要でないときにこれらの薬剤を投与すると、ウイルスの耐性を促進することによって実際には事態を悪化させる可能性がある」

Medscape Medical News 2009. (C) 2009 Medscape

2009.9.15 記事提供:Medscape 


新型インフルワクチンは一回で効果あり

新型インフルのワクチン、1回で十分…米が検討へ

【ワシントン=山田哲朗】米政府は11日、成人に対する新型インフルエンザのワクチン接種は1回で十分とする臨床試験の結果を発表した。

 ほとんどの人が免疫を持たない新型ウイルスに対し、米政府はこれまで、3週間程度の間隔を空け2回の接種を実施する方針だったが、1回接種に向けた検討に入る。

 米国立衛生研究所(NIH)などが、仏「サノフィ」と豪「CSL」の2社のワクチンを使って8月から米国人で試験したところ、18-64歳の成人では、接種後8-10日で80-96%の人に免疫ができる高い効果が確認された。

 オーストラリアなどの2社が製造したワクチンを使ってウイルスに対する免疫を調べた結果、接種後8〜10日で8割以上の人に効果が確認された。今回の2社は、日本が輸入に向けた交渉を進めている二つの製薬会社とは別。

 日本が輸入を検討しているスイスの製薬大手ノバルティス社が製造する、免疫を高める効果を持つアジュバントという成分を加えたワクチンは一回接種で免疫が得られることが確認されている。だが、日本の国産ワクチンはアジュバントを含まず、2回接種を想定している。今回、米国が調べた2種類は、日本の国産ワクチンと同様、アジュバントを使用していないという。

 新型インフルエンザワクチンは当初、2回の接種でないと効果が得られないとされていたが、1回の接種で済めば、世界的にワクチン不足が伝えられる中、接種を受けられる人が大幅に増える可能性がある。

2009.9.12 記事提供:読売新聞社 


原因不明の赤ちゃんの病気川崎病(血管炎)が増加傾向に

川崎病が全国で急速拡大 4年連続で年間1万人超 自治医大が全国調査


主に乳幼児がかかる原因不明の「川崎病」の年間患者の発生率が2007年と08年の2年連続で過去の流行を上回るペースで増大、患者数も増えていることが中村好一(なかむら・よしかず)・自治医大教授(公衆衛生学)らの全国調査で12日までに明らかになった。

 川崎病の年間患者発生数は1990年代半ば以降、増え続けており、4年連続で1万人を超えた。中村教授は「日本全国で増えていることは間違いない」と話している。

 川崎病は主に4歳以下の乳幼児がかかり、高熱や発疹(ほっしん)といった症状が出る。心臓の血管にこぶが残ったり、まれに死亡したりすることもある。原因は分かっていない。

 中村教授らは今年初め、全国の小児科のある病院計2102施設に、07年と08年に川崎病と診断された患者について尋ねる調査票を送付。約73%に当たる1540施設から回答を得た。

 患者発生数は07年が1万1581人、08年が1万1756人で、1万人を超えたのは4年連続。全国調査が始まった1970年以降、全国規模で流行した82年の1万5519人、86年の1万2847人に次ぐ数字だ。

 4歳以下の10万人当たりの患者発生率は、07年が215・3、08年が218・6と、過去最大だった82年の196・1を上回った。

 心臓に後遺症が出る割合は07〜08年で3・2%と、05〜06年の前回調査時の3・8%より減った。しかし後遺症のうち、心臓の冠動脈に大きなこぶができ、血栓ができる恐れのある「巨大冠動脈瘤(りゅう)」の割合は0・25%とほぼ横ばいだった。死亡例は2年間で6人だった。

▽川崎病

 主に4歳以下の乳幼児がかかる病気で1967年、小児科医の川崎富作(かわさき・とみさく)さん(84)が初めて報告した。全身の血管に炎症が起きるのが特徴で、主な症状は5日以上続く熱や両目の充血、発疹(ほっしん)など。冠動脈瘤(りゅう)ができて突然死することもある。死亡率は70年代前半まで1-2%だったが、ガンマグロブリンによる治療が開発され、90年代には0・1%以下に。原因は不明。1年のうち1月に患者が多く、ウイルスなどの感染が引き金となり、患者側の何らかの要因と絡んで発症するのではないかとの見方がある。

2009.9.14 記事提供:共同通信社 


豚インフルでの死亡例で、健全者もいる

豚インフルエンザによる小児死亡例に関する新たな詳細情報

豚インフルエンザにより死亡した小児の3人に1人は健康であった

By Daniel J. DeNoon

【9月3日】今年8月までに豚インフルエンザH1N1により死亡した小児36例の3分の1には、基礎疾患がなかったことがCDCにより報告されている。

豚インフルエンザにより死亡したこと以外は健康であった小児のうち4例は、年齢が2歳以下であった。5歳以下の小児、とりわけ2歳以下の小児は、豚インフルエンザH1N1に感染すると重症化するリスクが特に高い。

しかし、それまで健康であった小児のうち8例は6歳以上であった。検査を受けた6例全例がブドウ球菌またはレンサ球菌の感染により死亡した。これは、回復しつつあるようにみえる小児が悪化した場合は慎重に対処するようにとの保護者や医師への警告である。

死亡した小児の大部分には基礎疾患があった。意外にも92%という大部分の小児が、脳性麻痺、筋ジストロフィー、てんかんといった神経学的疾患に起因する発育遅延を有していた。

「今回の研究で重要なことは、幼児、特に基礎疾患を有する幼児に発熱が認められた場合は、速やかに治療を行う必要があるということと、ワクチン接種の準備が整ったら、こうした幼児を最優先とすべきということである」と、CDC重役のThomas Frieden, MDは本日の記者会見で述べた。

本日発行されたCDCの報告書『Morbidity and Mortality Weekly Report』には、米国で発生した18歳以下の青少年における最初の36件の死亡例が詳述されている。

豚インフルエンザにより死亡した最初の36例の青少年の特徴は以下のとおりであった。

・年齢は2カ月-17歳、年齢中央値は9歳。
・男女比は半々。
・健康であった6歳以上の小児8例のうち2例は肥満であった。
・罹病期間は1-28日間、罹病期間中央値は6日間。
・推奨されている発症48時間以内に抗ウイルス薬の投与を受けた小児は4例のみ。
・検査を受けた小児23例中3例がMRSA(多剤耐性ブドウ球菌)に感染していた。

Frieden氏は、季節性インフルエンザと豚インフルエンザにおける小児の致死率は同程度であると述べ、小児に季節性インフルエンザのワクチン接種を行うことの重要性を強調した。

Frieden氏はまた、10月中旬に豚インフルエンザH1N1ワクチンを利用できるようになるまで、さらにはワクチンにより豚インフルエンザに対する免疫が生じるまで、保護者は子どもが病気になったら家庭で看護し、どの子にも頻回の手洗いと咳/くしゃみエチケットの遵守を指導して、インフルエンザの流行抑制に努めるべきであると述べている。

Frieden氏は、CDCが諸州に対してワクチンの計画・接種費用として15億ドルを用意していることも公表した。この予算の使途は州次第であると同氏は述べている。一部の州は公衆衛生診療所を設立する予定であるが、ワクチンを供給する民間企業との提携を予定している州もある。

ワクチンは無料となる予定であり、公衆衛生診療所では無料で接種することになっている。民間の診療所では、実際にはワクチン接種に料金が課されるものと思われるが、医療保険者によればこの費用は保険でカバーされる予定である。

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(C)2009 WebMD Inc. All rights reserved.

2009.9.9 記事提供:WebMD  



持病なし、インフルで死亡?

新型インフルの男性死亡=持病なし、因果関係不明−大阪府

大阪府は9日、新型インフルエンザに感染した同府四条畷市の男性会社員(45)が同日死亡したと発表した。府健康医療部によると、男性に持病はなく、死因は不明。新型インフルとの因果関係も特定できていないという。新型インフルに感染したか感染の疑いのある人の死亡は国内で12人目。
  府によると、男性は3日にのどの痛みを訴え、5日に37.3度の発熱があった。7日も37.2度の発熱があったため医療機関を受診。簡易検査でA型陽性と診断され、タミフルを投与されて自宅療養し、8日には平熱に下がった。
  9日朝も症状はなく平熱だったが、午前11時すぎ、自宅で意識不明で倒れているのを家族が発見、病院に搬送されたが正午すぎに死亡が確認された。同日午後の遺伝子検査(PCR)の結果、新型感染が判明した。

2009.9.9 記事提供:時事通信