紙コップでコーヒーを1杯飲むと2万5000個のマイクロプラスチックを摂取することになるそうです。これについてどう感じますか?

参考:Quora

「そうなんだろうな」と思うだけです。

これだけプラスチックに囲まれて生活していると、プラスチックは必ず我々の体内に侵入してきます。これは防ぎようがありません。その多くは消化もされず排出されるでしょうし、少量体内に残ったところで、大きな悪さをしている兆候も、今のところありませんから、気にしても仕方ないと思います。


ミジンコの体内からもマイクロプラスチック(以下MP)が見つかっているとか、MPが有害物質を吸着して運んでいるとかの研究報告や報道があるためか、MPに対する不安を覚える人も多いのでしょう。

しかし、我々人間を含む動物は、風で巻き上げられる土ぼこりを毎日吸い込み、土や菌にまみれた野菜などの食品を食べ、自然界の汚染有害物質(人間由来の汚染物質とは限らない)を大量に含んだ肉や魚を食べているわけです。これらに比べたら、MPの量など、無いに等しいと言えます。

MPが汚染物質を吸着し易いのは事実ですが、じゃあそれが動物の体内でMPから剥離して吸収されるのかどうかは全くわかっていません。わからないことはわからないままにして、そのまま受け入れるのが実際上も精神衛生上もよろしいのではないでしょうか。MPは、汚染物質などを吸着し易い表面構造になっているのでしょうから、吸着して当然。一方、動物が食物と一緒に食べてしまった場合、胃酸などの消化液でそれらを剥離して吸収するのかどうかは、これからの研究を待つことになりますが、個人的には、動物の消化システムはそんなに強力無比ではないんじゃないのかと思っています。それに、上述したように、MPの量はたいしたことはありません。そもそも、例えば海洋中にはMP以外にも、プランクトンをはじめとして生物の死骸や骨、貝殻の破片などの微細粒子がたくさん存在ており、それらの量の方が多く、それらにも化学物質が吸着していることは十分に考えられるわけです。なので、問題は、MPよりも有害化学物質(人間由来とは限らない)なのではないでしょうか。

また、MPを含む海洋中の微細粒子を魚類が食べたとしましょう。魚って、胃を持ちませんから、胃酸も出しません。なので、微粒子が何らかの化学物質を吸着していたとしても、まずその化学物質は剥離しないんじゃないかと思うんですよ。つまり、MP→微生物→魚 となっても、MPに付着した化学物質は魚の体内に濃縮蓄積されにくいだろうと思うわけです。

もう一つ。自然界のMPが全部人間活動由来と言うわけではないんです。天然の樹脂もたくさんあります。実際にMPを採取すると、半分くらいが琥珀(松脂由来の樹脂)だったという例もあるそうです。松脂(マツヤニ)は良いけれども人間が作ったプラはダメと言うのもちょっと違うんじゃないの?とも思います。

こうした問題を考えるときは、環境安全で言うところの「リスク」が重要になります。リスク=有害の程度×起こる確率の大きさ  です。MPに関しては、どちらもまだまだ非常に小さいわけで、他の有害な事象に比べて、騒ぐ段階には達していないというのが私の今のところの感触です。


もし、紙コップからのMPが気になるのでしたら、紙コップを使わずに陶器を使うのが良いでしょうし、コンビニなどで注がれたコーヒーであるならば、速やかに紙コップから、自分のステンレス水筒などに遷してゆっくり飲むのがお勧めです。

参考:

「海洋プラゴミ問題への道」、重化学工業通信社

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