参考:化学工業日報 2016年7月7日
資生堂「リンパ管強化に寄与」と発見
資生堂は5日、シベリア人参に脚のむくみ改善効果があることを見いだしたと発表しました。シベリア人参に含まれる成分が、加齢などにより機能低下したリンパ管の強化、改善に寄与します。リンパ管には水分や老廃物の回収機能があり、同成分がリンパ管の強化に作用することでむくみを改善。新知見を基盤に、内外美容の要となるリンパ管・毛細血管に関する研究をさらに進めていきます。
血管同様、全身をはりめぐる太さ0・05~0・1ミリメートルのリンパ管は、構成する細胞の隙間から老廃物や余分な水分を回収しています。しかし、紫外線や加齢によって細胞同士の接着がもろく漏れやすくなるため、リンパ管が担う機能も低下、老化の内的要因となります。
資生堂ではリンパ管・血管の機能を強化する受容体Tie2(タイツー)に着目して研究を進めました。タイツー活性化成分として約200種類の生薬を検証したところ、「シベリア人参にとくに高い効果がみられた」(加治屋健太朗ライフサイエンス研究センター先端領域研究グループマネージャー)。シベリア人参に豊富に含まれる成分「エレウテロシド E」が活性化をもたらすためといいます。
シベリア人参のリンパ管への効果を確かめる実験では、20~30代の女性50人を対象にシベリア人参エキス100ミリグラムを含む飲料と、水を摂取した群に分け、脚のむくみ具合を摂取2、4、6時間後にそれぞれ測定。結果、摂取2時間後からむくみ改善効果がみられ、4時間後には摂取群のむくみ率が対照群比で約3割の改善を観察しました。
改善のメカニズムは、タイツーの活性化によって一酸化窒素が産生、リンパ管が拡張して余分な水分回収を促進します。さらにシベリア人参がリンパ管細胞の接着因子も増やすため、細胞に生じた隙間を改善し、強固な接着を生み出します。