参考:2020年6月30日 朝日新聞
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は29日の記者会見で、新型コロナウイルスの現状について、「終息に近づいてもいない。厳しい現実だ」と述べ、「加速している」との認識を示しました。一方、日本や韓国のこれまでの対応を称賛しました。
テドロス氏は、最初に中国から報告を受けた日から6月末で半年となり、感染者1千万人、死者50万人に達したのを機に現状をまとめ、各国に対策の強化を訴えました。
治療薬やワクチンの開発を待つ現状で、各国は今できることで最善を尽くすべきだと強調しました。地域社会の一人ひとりが感染対策を実行するなどの対策を挙げました。
高齢化の進む日本が死亡率を抑えているのは、福祉施設の高齢者など危険度の高い人たちに特別の注意を払っているからだとして、日本の取り組みを称賛しました。
WHOの緊急対応責任者マイク・ライアン氏もウイルスの追跡について、日本やシンガポールなどを例として、「よく組織された人的活動が成功をもたらす」と分析しました。
テドロス氏はまた、韓国がウイルスの封じ込めに成功したことを引き合いに、検査と隔離といった基本対策の徹底を訴えました。特に感染者の割り出しや追跡調査の重要性を強調し、「難しいというのは、だめな言い訳だ」と力を込めました。(ウィーン=吉武祐)