コロナウイルスは今後終息する事はないのでしょうか?さらに重症化されていくのでしょうか?

参考:Quora

今出ているワクチンがすごく良く効いてくれるか、重症にならずに済ませられるような早期介入が可能にならなければ、この新型コロナウイルスは社会的に問題であり続けると思います。我々医療者にとっては対処しなければいけない感染症の一つとしてずっとあり続けるでしょうし、誰が罹っていてどういう経過を辿るのかについて市井の一般医療者も他のウイルス性疾患と同レベルに適切な対処ができるように勉強しなければいけないものになりつつあるかなと思っています。ウイルスとしての強毒化は起こることがあっても広まりはせず、ヒトを巧妙に利用できるような弱毒で感染性の強い変異がより多くに浸透するだろうなと思っています。秋冬で重症が多いのはウイルス自体の問題というよりはウイルス伝播に適した環境条件、低い温度や湿度により、暖かく湿度の高い季節よりも大量の感染性を維持したウイルスに暴露しやすいのとヒト免疫機能の問題かなと私は思っています。

ウイルスは私たちの体を利用して自分のコピーを作るものですが、そのコピーのあり方にはミスが多いです。私たちヒトのゲノム、染色体を複数持つ核の部分が遺伝情報を持つ百科事典を集めた図書館のようなものだとすると、私たちの細胞はそこから必要な情報のメモを取って、核の外で必要なタンパク質や酵素を合成しています。核は大量のヒトのレシピ本を集めた図書館で必要なレシピのメモを取って、実際の調理作業は小胞体とかの細胞小器官で行っていることがほとんどです。図書館の本はしっかりした物質(DNA)で、メモは再利用しやすい物質(RNA)で構成されています。

そして新型コロナウイルスはRNAウイルスで、メモ的な感じのものなのです。逆転写酵素というものを持つ一部のRNAウイルスはヒトDNA内に自分の遺伝情報を組み込む性質がありますが、そうでないものは核の外の細胞小器官くらいしか動かせません。ヒトのDNAからのメモがmRNA(メッセンジャーRNA)ならRNAウイルスは迷惑なチラシみたいな感じのもので、mRNAのふりしてヒトの生化学回路に入ってきて自分を増やす感じです。ただ、その合成には何度も言いますがミスが多いです。コロナウイルスは校正機能というのがあってRNAウイルスにしては変異を起こしにくいものですが、それでも一個の細胞で数千から数万単位の自分のコピーを作るとミスコピーも出ます。欠陥干渉粒子という出来損ないのウイルスが感染の途中に生じて正常なウイルスの合成を阻害するケースも知られています。まあ、だから一人の人の体でも無数の変異、ミスコピーは出ているんでしょうが機能しなかったりほぼ性質の変わらない変異であることが大半なんだろうな、くらいです。病原性が変わるような変異、新型コロナウイルスとして免疫細胞が認識する抗原性がある部分の変異が出現して定着するケースはそうそう簡単には起きないのではないかと私は思っています。

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