ファイザー製のコロナワクチンが、日本にも来年入りますが、ワクチンの抗体期間は半年あるかないかの短いもんで、約半年後にまたコロナワクチンを接種ということになりますよね?

参考:Quora

まず、感染抗体が早期に消失するという「定説」そのものがまだ怪しい部分を残しています。

生体がコロナウイルス(に限らず微生物前お庵的に言えること)に感染した際に産生する抗体は1種類ではなく、ウイルスのほぼすべての「構造タンパク」に対する抗体を産生します。

感染防御に関与するのはその中でも1種類なのですが、それを「中和抗体」と呼んでいます。

まあ本来は「中和法による抗体検査で検出される抗体」を中和抗体と呼ぶのですが…まあそこはいいや(^-^*)

「ELISAで中和抗体を検出する」なんて表現は、意味は分かるのですが、なんか気持ち悪い表現です。決して間違いではないのですが。

それはともかく、これまでの抗体検査の成績を詳しく読むと、何やらマイナーなタンパクに対する抗体を検出していたり(残ろうが消えようが感染防御にはどうでも良い抗体笑)、考察に「従来のコロナウイルスに対する抗体を検出している可能性は否定できない」なんていう試験そのものの意義を根底からひっくり返すようなことが書かれていたりして驚愕したこともしばしばです。

「おいおいおい、交差性をまず確認してから本調査をやらないと意味ないだろ」と紙面に向かってツッコんだこともありますし。

要するに、感度も特異性もわからない抗体検査法で「消えた」とか言われても、「…で?」となるわけです。

抗体検査法のゴールデンスタンダードになっている中和法のデータがないと、他の報告での抗体検査成績がバラバラでしか評価できないです。他のコロナとの交差性も簡単に分かるのですがねぇ。

簡単に、と書きましたが中和法は面倒で技術的にも簡単ではありません。

中和法は生きたウイルスを使うので、コロナが指定感染症である現状ではBSL3の施設でないと検査ができません。

また96穴プレート1米でできる検体数も少ないし、秋に神戸大が1万人の抗体検査を中和法で実施した結果(抗体陽性率=0.15%)が報道されてましたが、プレート何枚使ってウイルス液をどれだけ作ったかを考えると胃に穴が空きそうな気分になります(笑)

交差中和をやれば、風邪コロナとの交差性も、イギリス変異株に対してもワクチンが効くかとか、がっちり出るんですけどねぇ。

話を戻します。

中和抗体が半年以上持つ、という報告があることは他の回答者さんがリンクを貼られているので、省略します。

詳細な情報を見たら(まだ中間報告なのでそれほど詳しくもないですが)、中和法ではなく「独自の手法で」中和抗体を検出しているそうです。

中和法なら半減期もおおよそ分かるし、中間報告でも抗体消失時期はおおよそ分かりそうな気がしますが、まあそのあたりは計算できてても公表してないだけかもしれません。

ファイザーが自信ありげに「ワクチン抗体は1年くらい持つと考えている」と言ってるのも、そのあたりの未公表データがあるのかも。

ワクチン接種後にコロナが指定感染症から外れたら、中和法によるデータも多数出てくるかもしれません。

というわけで、コロナの抗体がどれだけ持つか、という点については、まだ分からない、ということです。

話がそれてばかりで申し訳ないですが、もう1点。

自然感染とワクチン接種では身体の免疫反応も違う、ということです。

まあ多くの場合は、ワクチンだと自然感染ほど抗体価が上がらないし持続期間も短い…ということが多いですが。でもまあ、有効抗体価を誘導できないワクチンは市販されませんから(^-^*)

ですが今回のコロナの場合、自然感染ではウイルスが免疫細胞(リンパ球)に感染する、ということが分かっています。一時はこの話を基に「コロナはHIVの遺伝子を組み込んだ人工ウイルス」なんて与太話がネットで流行りましたが(笑)

で、それが「自然感染でいまいち抗体価が上がらない→持続期間が短い」ということに繋がっているのなら、ワクチンでは免疫細胞への悪影響はないので、自然感染より高い抗体価を誘導できたり持続期間が長くなる、ということはありえないことではありません。

それにワクチンは人工物なので、誘導したい抗体価や持続期間はある程度何とかなります。

血中lgGを誘導しても感染防御や発症予防に役に立たない、という場合は苦労しますが、コロナの場合は少なくとも発症予防には極めて有効なようですから、あまり悲観することはないと思いますよ。

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