参考:
Question
「先生によってエラボトックスの後にマッサージを指示されたりされなかったりするんだけど、どうして?」
質問したいこと
エラボトックス注射を行った後に、咬筋マッサージは必要なのでしょうか?
Answer
ひとこと回答
現在ではいわゆるエラボトックス注射の後に咬筋マッサージを行う必要はない。
エラボトックス注射とは、顔のえらの筋肉(咬筋)にA型ボツリヌス毒素製剤(商品名ボトックス他)を注射する美容医療手技です。A型ボツリヌス毒素は、アセチルコリン受容体をブロックする働きを持ちます。アセチルコリンは、運動するとき筋肉に働く神経伝達物質であるため、この作用を抑制することで筋肉の運動を抑え、それに伴う咬筋や表情筋の運動を抑制します。
エラボトックスにおいては、咬筋の活動を抑制することにより、肥大した咬筋の筋量を減少させる効果を狙っています。
エラボトックス注射後の咬筋マッサージ
美容医療のエラボトックスで使用されるA型ボツリヌス毒素製剤には、幾つかの種類があります。どのタイプの製剤も、できるだけ注射したい部位に限局するような生成法を取られています。これは、表情筋にピンポイントで作用させることを想定しているためです。
そのため、美容医療の現場においてはエラボトックスの注射後に咬筋マッサージを行う必要はありません。むしろ、マッサージによって注射部位より効果の範囲を広げる可能性が出てくるため、近年では推奨されていません。
以前はエラボトックスの注射後、周辺組織にしっかりと製剤をなじませるために咬筋マッサージを行うことがありました。しかし、近年ではほとんど見られなくなりました。
理由として、上記のほか、マッサージによる内出血出現の可能性や、日常的にマッサージすることで注射部位の代謝が活発になり、ボツリヌス製剤の効果持続期間が短縮する可能性などが考えられます。
これらのことから、基本的には、ボトックス注射後のマッサージは不要と考えてもらってよいでしょう。
おわりに
いかがでしたか?美容医療も日々進化しており、新しい方法や製剤、医療機器などの出現に伴い、常に新しい情報を継続的に習得している必要がある現場です。長い間、継続的に通われている患者さんも少なからずいらっしゃいますので、その都度、新しい看護ケアの提供と患者指導を行えるとよいですね。今後もぜひ、継続的に知識の習得に励んでいってください。応援しています。