中国・上海市当局が、少なくとも9万人の個人情報データなどを「ウイグル・テロリスト」と名付けて保管していたとみられることが、豪サイバーセキュリティー会社「インターネット2・0」の調査でわかりました。リストの一部には日本人895人も含まれていました。同社は市当局がつくった監視対象リストの一部とみています。
同社は、米、豪、カナダ政府などのサイバーセキュリティーの顧問をしていたロバート・ポッター氏らによって設立されました。同社は上海の通信会社が運営するクラウドにあったデータを昨年末に入手。IPアドレスから、上海市当局が管理しているデータだと判断したといいます。
このデータは複数のリストに分かれており、「科学技術局ブラックリスト」と名付けられたものには、中国籍とみられる1万人の氏名や中国の身分証番号などの個人情報が記載され、うち約7600人がウイグル族でした。1万人のうち7088人について、当局が行った事情聴取の内容とみられる記述がありました。一部の人物には「特に注意する人物」など監視対象とする理由を記す項目があり、2017人について「上海で新たにインターネットを開設したウイグル族」とありました。
出入国管理局の作成とされるリストには、2018年と20年に上海の虹橋、浦東の両空港を出入国した約1万人のパスポート情報や出入国日時が記載されていました。うち5千人余りが外国籍で、日本人が895人で最も多く、米国籍が697人、韓国籍が673人と続いていました。
日本人の全データは、同社から日本政府側に提供されています。政府関係者は朝日新聞社の取材に対し、データに記載された日本人はすべて実在すると認めた上で、「大手の商社や電機・繊維メーカーなどの社員が比較的多く含まれていた」と指摘。自国民がリストに載っていた各国と情報交換して分析を進めるといいます。