参考:日本医療器研究所
あなたの血中酸素は正常ですか?血管の老化を示す、動脈硬化度は?
なぜ血中酸素濃度を測らなければならないのか
あなたも血中酸素濃度を理解し、自分の体が今どのような状態にあるかを少しでも分かるようにしましょう。
鼻・口から吸い込んだ酸素が血液中のヘモグロビンと結合し、全身に運ばれることによって、人間の生命は保たれています。
しかし血液中の酸素量が一定レベルを下回ると、立ちくらみ・めまい・卒倒などの症状が起き、最悪の場合生命の危険すらありえます。
また、気づかないうちに、噛み合わせが低くなる歯周病や、歯並びの乱れで、噛み合わせのズレが生じてくると、舌が喉に溢れて、気道が狭くなり、呼吸路を確保するために、首を前に出すと楽なんで、猫背での生活で呼吸気道を確保するように癖がつきます。また年齢的に、気づかないうちに喉の圧センサーの感度が悪くなり、誤嚥の原因ができた上に、横隔膜の上がらない、浅い呼吸になり、常に血中酸素濃度が低いのに慣れてきます。このために、お腹に内臓脂肪がつき、脂肪細胞の出す炎症成分の増加で、体の運動能力の低下や、全身のフレイル、脳の認知機能の低下、高血圧や、臓器不全などを起こしやすくなります。
いつ、どんな時に血中酸素濃度を測るべきか?
例
- ■高血圧、頭痛、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、こむら返り、肩こりや、筋肉痛
- ■猫背で、姿勢が悪い方
- ■歯周病で奥歯の動揺や、顎の内面に骨の隆起(コブ)ができてきた時
- ■歯並びの歯列が狭く、Vタイプの顎の細い状態で成人になった方
- ■睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング治療時に
- ■麻痺・ひきつけ・ケイレンを起こしたとき
- ■登山者が酸素の薄い高山で、酸素濃度に順応していく過程をチェックする時
- ■激しい運動中、気分が悪くなったとき
- ■鼻や口や呼吸器官に異物が詰まったり、溺水、生き埋め、などによって窒息状態におちいったとき
・・・・などなど
学校の児童・生徒が体調不良を訴えたとき、とっさの判断で酸素濃度を知ることができれば、児童生徒を即救急車で病院へ送るべきか、それとも養護室での休憩で十分かがすぐに判断できます!!!
「正常な血中酸素濃度」の目安は?
健常者のSpO2(注)は96~99%です。
しかし、肺や循環器に慢性の疾患を持ってあられる方が風邪や肺炎を起こすと、急激にSpO2が下がることがあります。
一般に、SpO2が90%を切れば(急性)呼吸不全と判断されますが、90%にまで下がっていなくとも平常のSpO2から3%-4%の下降をすれば何らかの急性の疾患を引き起こしている可能性があります。
【結論】
●酸素飽和度は理想的には96%~98%であるが、患者によっては普段から低いこともあるので、状態安定時の数値を知っておくべし。
●普段より低い数値の場合には指をかえて測定する。状態安定時より3~5%以上低いか、または、90%を下回る場合は速やかにかかりつけ医に報告するべし。
血液中の酸素が濃ければ、細胞への酸素交換の効率も上がり身体パフォーマンスも向上します。ですが逆の場合、細胞への酸素交換の効率が下がりますので、パフォーマンスが下がるだけならまだしも、最終的には生命の危機に曝されます。
健常者の正常値は96~99%
健常者の場合、血中酸素濃度は100%に近付けば近付く程健康的であると言われています。とは言え個人差もあるので、一応96~99%の間であれば正常値と考えられています。この数値であれば、前述した細胞への酸素交換も問題なく行われるでしょう。
これに関しては大人も子供も変わらず、基本的には「高ければ高い程良い」と考えてもらっても良いでしょう。逆に95%以下の場合は、何らかの疾患を抱えている可能性があり速やかな対処が必要です。なお95%以下であっても、条件付きで正常値となるようです。
血中酸素濃度の低下を伴う疾患とその症状
では、血中酸素濃度が低下した場合、疾患として何が考えられるか、またどのような症状が出るかについて解説します。
喘息等の呼吸器関連発作
呼吸器というのは酸素を取り込む器官であり、そこの異常は血中酸素濃度の上下に直結します。喘息やCOPD等で満足に呼吸が出来なければ、当然肺に入る酸素も減少しますので必然的に血中酸素濃度は下がるのです。
重傷の喘息ですと、時に呼吸困難を引き起こします。そうなると、血中酸素濃度はみるみる下がり、喘息とは別のリスクを抱える事になるでしょう。勿論、喘息の症状だけでなく「血中酸素濃度が下がった事による」症状も現れます。
肺炎
肺に入る酸素が減少する呼吸器関連発作とは違い、肺炎は肺の機能そのものを低下させて酸素が取り込めなくなり、血中酸素濃度を低下させます。見た目呼吸が出来ているように見えて、実はその呼吸量では十分な酸素がまかなえないのです。
なお、肺気腫や肺がんでも同じ事です。要するに、肺の機能を低下させる疾患を抱えている場合、総じて血中酸素濃度は下がるのです。よって肺炎だけでなく肺疾患全般は、特に数値に注意を払わなければなりません。
急性呼吸不全
急性呼吸不全とは、呼吸困難やチアノーゼを引き起こし、高齢者では死者も現れる程の危険な疾患です。血中酸素濃度が90%以下となるとこの急性呼吸不全を引き起こす可能性が高まり、確認された場合は酸素投与等の処置を施される事になります。
発症機転は様々です。疾患による血中酸素濃度の低下、交通事故等における肺の外傷、高温気体の吸入による肺熱傷など、呼吸器関連の疾患を抱えていなくても、誰にでもありえるので十分に気を付けましょう。
軽度では立ちくらみやめまい
では、特定の疾患を起因とするのではなく、単純に血中酸素濃度が下がった場合はどのような事が起きるのでしょう?その場合は、せいぜい95%を下回る程度で軽度となり、立ちくらみやめまい、気分不良程度の症状となります。なお、血中酸素濃度が戻れば症状は改善します。
ただ「軽度」とは言いますが、何か大きな疾患の前触れである可能性もあり、特に心当たりもないのに立ちくらみやめまいを催した場合は、まず医療機関に相談に行きましょう。
重度の場合は多臓器不全等で生命の危険に
急性呼吸不全を起こす90%以下どころではなく、それこそ肺に外傷を負ってしまい80%…70%…と血中酸素濃度に大きな低下が見られた場合、急性呼吸促迫症候群を発症して多臓器不全を呈する可能性があります。
その際早急に治療を施さないと、酸素欠乏症となり9割の患者が死に至るという恐ろしい結果を招きます。しかも、原因となった外傷や疾病があってから数日後に現れるケースもあり、早期の医療機関への受診が強く望まれます。
歯周病の進行や、歯並びの乱れでも、血中酸素は低くなる
お口の状態で、喉頭部と軟口蓋の粘膜の位置関係がズレてきたり、咬合が低くなったり、食いしばりなどで、顎の内面に骨隆起ができてくると、舌スペースが歯列内に不足してきます。はみ出た舌根が、咽頭スペースの気道を狭くして、一回換気呼吸量が減ってくると、慢性的なCOPDと同じように、血中酸素濃度低くなってきます。
血中酸素濃度を測定する機械
パルスオキシメータはどうやって血中酸素濃度を測る?
パルスオキシメータの指をはさむ部分は、発光部分とセンサーで構成されています。発光部分は赤色光と赤外光を発し、これらの光が指先を透過したものをセンサーで測定します。
血液中のヘモグロビンは酸素との結合の有無により赤色光と赤外光の吸収程度が異なるので、センサーで透過光を測定して分析することによりSpO2を測定することができます。(透過光全体のうち動脈血を透過したものと静脈血や軟部組織を透過したものの区別は、拍動のある成分が動脈血によるものであることを利用します。)
また、拍動のある成分より脈拍数も測定できます。
血中酸素濃度の正常値の考え方
基本的に、血中酸素濃度の正常値は96~99%と言われていますが、もともと肺の機能がそれほど高くない、またはCO2ナルコーシス患者の場合は、おおよそその数値より下回るからです。
95%以下で「症状が何が無い場合」も、詳しい検査が必要です。
CO2ナルコーシス患者への注意
CO2ナルコーシスいう疾患、これは体内に炭酸ガス(二酸化炭素)が蓄積し、高炭酸ガス血症により中枢神経症状を現す疾患です。COPD患者や肺気腫患者に多く見られます。
COPD、肺気腫患者は、慢性的な酸素不足により血液中の炭酸ガスにより延々息苦しさを感じる事まではお分かりいただけると思います。ですが人とは不思議なもので、その炭酸ガスが常に多くあると次第に「慣れ」が生じるのです。
慣れてしまった場合、「低酸素で炭酸ガスが多いのが当たり前」と脳は解釈します。この際に血中酸素濃度を測定した場合、にわかに信じ難いかもしれませんが50%台の数値を示す事があるのです。ですが、脳はそれが通常だと思っています。
となると、血中酸素濃度が低いからといきなり高濃度の酸素を投与してしまうと、「これだけ酸素があればもう呼吸はしなくていい」と脳は解釈し、呼吸停止に陥ってしまうのです。こういう疾患もあるので、参考程度に覚えておいて下さい。
血中酸素濃度計の使い方
センサーを指に挟み血管を通す
基本的な使い方としては、指先(通常は人差し指)にプローブを挟み上手くLEDの光が血管を透過するよう装着します。なおプローブの大きさで包む事が出来て、光が透過出来れば指先でなくても構いません。
測定個所を温めた方が良いでしょう。冬季で指先が冷たいと、光が透過しても上手く測れないケースがあります。
装着の後、数秒待てば自分の血中酸素濃度のパーセンテージがモニターに表記されます。
マニキュアでの測定はNG
マニキュアはLEDの光が透過出来ない為、血中酸素濃度が測れないという現象が起きます。
血中酸素濃度を上げる方法
有酸素運動を行う
ウォーキング等が挙げられます。有酸素運動は心肺機能の向上に繋がるので、体に取り込める酸素の絶対量が増加し、必然的に血中酸素濃度も上がるのです。ただし、当面は運動をやめれば元の数値に戻ってしまいます。
その為、長期間運動を継続していく必要があります。前述のCO2ナルコーシスの下りにもありましたが、良い意味でも人は「慣れ」があり、長らく有酸素運動をする事で次第に上がった血中酸素濃度が「当たり前」になるのです。
深呼吸を心掛ける
呼吸が浅い方は、どうしても肺に取り入れる酸素が少なく血中酸素濃度が低下しがちです。そしてそれが日常的である為、数値は低下したままとなるでしょう。
しかし、深呼吸を意識的に繰り返す事で血中酸素濃度は上昇し、今度はそれが日常化するのです。やり方としては、出来るだけ肺に目一杯空気を入れ、ゆっくりと吐き出すようにしましょう。あまり頻度を上げると立ちくらみを催します。
積極的に鉄分を摂取する
今度は「酸素を取り入れる」という考え方でなく、その酸素を運搬するヘモグロビンを増やすという考え方になります。鉄分を多く摂取する事で、血液中のヘモグロビンの数は増す事になるでしょう。
食物はレバー、ひじき、納豆、ほうれん草、貝類などがあり、毎日三食付け合わせ程度でいいので食べておきましょう。それが出来ない方は、サプリメントや鉄剤でも構いません。
血中酸素濃度の異常は大病の兆し
少しでも数値に異常を感じたら素人判断はせずに、必ずその情報を掛かり付けの医療機関に伝えて下さい。
3年位前からSASのためCPAP治療をしていますが、先日2回目のPSG検査をした結果、AHIが54で睡眠中の血中酸素飽和度血中酸素飽和度は54%まで低下しました。主治医はCPAPを続けるようにと言うだけです。これって大変なことですよね。非常に心配しています。