参考:Dr高橋純一のFBからのシェア転載
唾液はお金の要らない命を守る薬剤です。
咀嚼の意義は、消化吸収です。そして唾液の分泌促進です。
歯科医も歯科衛生士も歯牙、粘膜、舌は十分に診査し治療も行います。しかし、唾液はどうでしょうか?
人間は、骨が露出していない程度の粘膜が存在する条件下では、歯牙がなくても、舌がなくても生きていけますが、唾液が全く出ないと、生命が危くなります。
咀嚼を行う意義は、唾液分泌のため。
例えば、唾液の効力として自然の抗菌効果が唾液分泌で得られる。
唾液が出ることによって、ラクトフェリンが分泌されます。
ラクトフェリンは抗菌作用を持っているたんぱく質。細菌が鉄イオンを利用できないようにします。
つまり、唾液を出すだけで、ラクトフェリンが鉄と結び付くことで細菌の増殖を抑え、免疫機能を高めます。また、腸内に入ると悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を増やす働きがあるため、腸内の環境を整える効果もあります。
鉄と結びついたラクトフェリンが腸内で吸収されて、鉄の体内リサイクルにも有効である。
口腔内の組織(歯牙・粘膜・舌すべて)と 唾液分泌 の 健康に関わるのは、潜在性鉄欠乏を含む 質的な栄養失調=糖質過多+タンパク不足+脂肪酸不足+ビタミン不足+ミネラル不足への 対処です。
鉄や亜鉛などのミネラルはよく取り沙汰されますが、基本は、鉄タンパク質の摂取です。
唾液分泌のための 鼻呼吸で閉唇口腔内全域舐め回し運動 の勧め
あいうべ体操を行った後などに、鼻呼吸で閉唇口腔内全域舐め回し運動(単純な小顔作りの舌回し運動ではなく)で唾液を出す事が肝心です。
唇を閉じて、口腔粘膜全てと歯牙の全ての面を時間があればいつも舌で舐め尽くすと勝手に唾液は出ます。噛み締めの防止にもなり、歯ブラシのない時の抗菌剤にもなり、消化吸収、鉄吸収補助、口の湿潤、自浄作用、PH調整、歯質強化、舌筋強化で嚥下補助、講習防止 ほか良い事尽くめです。唾液は、凄い。
咀嚼を十分行うことは当然ですが、空口時に 閉唇口腔内舐め回し運動 を
お奨めします。 今から直ぐにどうぞ。 いつでもどこでも出来ますよ。以下は、唾液の基本 です。唾液と口腔感染症(医歯薬出版)より
唾液の機能の中には、潤滑作用、粘膜保護作用、消化作用、浄化作用、味覚の作用がありますが、これが咀嚼や嚥下を助けてくれるのです。
咀嚼では舌を自由に動かして、食べ物をうまくとらえることが必要ですが、唾液がそれらの滑らかな動きを助けてくれます。
また、唾液の大きな役割の1つに食塊形成があります。飲み込む準備段階で唾液と混合して、のみ込みやすい大きさと形にしてくれるのです。嚥下は喉が保湿されていることが必要なので、それには唾液が重要な役割を果たすのですね。
このことが口腔乾燥のある高齢者で、とくに嚥下がしにくくなる理由でもあります。そして味を感じるということにおいても唾液は大切です。
味を感じる味蕾は、水に溶けるものしか感じないため、唾液が少なくなると味覚障害を起こすことがあります。私たちが食べ物を口にすると、唾液と混じわって溶解され、味を感じる味蕾の味細胞に達します。そして味蕾の味細胞の先端で生ずる味物質との相互作用が、味細胞膜の電位変化に変換され、そのインパルスが神経によって大脳の味覚野に伝えられるのです。
味蕾は、唾液を含む口腔内のあらゆる液体の味にすばやく順応します。
唾液分泌の低下した状態では、味を示す分子が味蕾に到達しにくくなり、味を感じずらくなります。
このように唾液はとても重要な役割を持っているのですね。
さて、唾液の成分にはどんなものがあるのでしょう。
口腔に存在する唾液の成分は、つねに一定と言うわけではありません。3つの唾液腺といくつかの小唾液腺から分泌される唾液の組成はそれぞれ異なっており、その成分、濃度は唾液の分泌量によっても異なります。
また個人差が大きく、同じ人でも食事やストレスの影響で変化し、カルシウムなどは朝6時頃最低で、夕方6時頃最高になるなど、時間によっても変動します。
唾液は99.5%が水分で、残りの0.5%が固形分(有機成分と無機成分)になっています。水分には、口にうるおいを与え、洗浄効果や味覚、食欲の増進、咀嚼、嚥下の補助などの役割があります。そして残りの成分にも重要な役割があるのです。〈唾液の有機成分〉
1.ムチン
糖たんぱく質で、粘膜の表面を滑らかにし、歯を保護して細菌の口腔への定着を予防しています。
2.高プロリンたんぱく質、スタセリン
唾液固有のたんぱく質で、唾液腺で歯石の形成を抑えたりします。
3.ラクトフェリン
抗菌作用を持っているたんぱく質。細菌が鉄イオンを利用できないようにします。
ラクトフェリンは、鉄と結合する性質を持つ糖たんぱく質で、母乳や哺乳動物の乳に多く含まれています。
ラクトフェリンは、鉄と結び付くことで細菌の増殖を抑え、免疫機能を高めます。また、腸内に入ると悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を増やす働きがあるため、腸内の環境を整える効果もあります。4.免疫グロブリン
3つの免疫グロブリン(IgA、IgG、IgM)が存在し、歯周病菌を凝集させ口腔粘膜への付着を防ぎ、細菌の除去や感染予防をします。
5.リゾチーム
細菌の細胞を溶解することで、細菌を死に至らしめる酵素です。
6.アミラーゼ
でんぷんを加水分解する消化酵素です。
7.ペルオキシダーゼ
細菌に対抗する酵素で、シアノ硫酸などの抗菌因子を生成します。
8.ヒスタチン
抗菌剤としての作用をもっています。〈唾液の無機成分〉
1.カルシウムとリン酸
歯石の形成とカリエスの進行に対して防御する働きをしています。
2.ナトリウムとカリウム
血液中では、ナトリウムの方が多いのですが、唾液中ではカリウムの方が多くなっています。
3.重炭酸塩
唾液のpHに対して重要な成分。食べ物の摂取により唾液の分泌が促進され、プラークによって産生された酸に対して効果的に働き、歯を守る役割があります。唾液が少なくなると、唾液が酸性に傾きやすいと言えるのです。
4.フッ素、塩素
唾液中には微量のフッ素が含まれていますが、歯に直接作用するかはまだ不明で、塩素は消化酵素アミラーゼの活性に関係しています。
(「唾液と口腔感染症」医歯薬出版より引用