皮膚のバリア機能を解明

参考:化学工業日報 2016年12月5日 

慶應大-ICL、細胞が特殊な多面体に

 慶応義塾大学の研究グループは、英インペリアルカレッジロンドン(ICL)と共同で皮膚が新陳代謝しながらバリア機能を維持する仕組みを発見しました。皮膚を覆う細胞が特殊な多面体をしており、この特有な形状が相互に重なり合って規則正しく新しい細胞に入れ替わることで同機能を維持していました。皮膚細胞の入れ替わりを制御するメカニズム解明につながる成果で、アトピー性皮膚炎を発症しにくくする技術や、老化により薄くなった皮膚を元の厚さに回復させる技術開発に期待が寄せられています。

 国際研究グループは、皮膚科学分野の新陳代謝に関わる最先端研究として、皮膚のバリア機能に重要な働きをしている角質の内側の細胞と細胞の間を隙間なく密着結合した構造である「タイトジャンクション」に着目しました。マウスの耳の皮膚細胞を対象に特殊顕微鏡で観察し、同構造のバリア細胞を3次元解析すると、「ケルビン14面体」と呼ばれる多面体が平たくなっていました。これら細胞はお互いに組み合わさるように配列し、頑丈で規則正しい構造をしています。

 一つ一つの細胞が入れ替わる時、その細胞の周辺でだけタイトジャンクションが一時的に2重になり、新しいバリアができ古い細胞を垢として捨て、細胞が入れ替わってもバリアが破れない仕組みでした。またコンピュータシミュレーションを使って、皮膚全体のバリアが保たれることも示せました。

 研究成果は11月30日、総合学術誌「eLIFE」に掲載されました。

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