痛みを“脳”で克服!“慢性痛”治療革命

参考:2018年5月10日 (木)配信 5月9日(水) 19時30分~20時15分/1ch NHK総合

【5月9日放送】ガッテン! 痛みを“脳”で克服!“慢性痛”治療革命

発見!痛みの根本原因 最新治療でスッキリ解決!

「靴下、牛乳、ラップはどんな痛みに効く?」という三択問題が出されました。

「靴下はひざ痛」。靴下はいた状態で床の上をゆっくり前後に動かすとひざの炎症を和らげる効果が期待出来ます。

「牛乳は痛風」。牛乳は尿酸をおしっことして出してくれる働きがあります。

「ラップは傷を治す」。すり傷の半分に医療用ラップをすると治りが早くなります。

「さまざまな痛みの共通点は?」という問題が出されました。正解は「原因を取り除けば痛みがとれる痛み」。

なぜ痛い?なぜ長引く?原因の分からない痛み

 原因がないのに体が痛くて悩んでいる人が増えています。大阪府に住む南野敦子さんは歯の痛みに悩まされています。きっかけは親知らずで治療後も痛みがぶり返しました。愛知県の久米基之さんは腰の痛みで歩くのも辛い状態に。しかし病院で検査をしても異常なしで原因は不明でした。

 推定2300万人が「慢性痛」。理由はないのに体が痛む、なぜか痛みがぶり返すことが3か月以上続く場合、慢性痛。こうした痛みで仕事を休んだり辞める人が増加し社会的な問題となっています。

痛みが驚くほど改善!最新治療は○○○○

腰痛だった久米さんは今ではバーベルを持ち上げるまでに回復しました。歯痛に苦しんでいた南野さんもあることをきっかけに痛みが改善しました。慢性痛の人の脳の画像を比較すると、ある治療後に脳の血流がアップしていることが分かりました。

原因は脳にあった!長引く痛みの最新報告

ノースウエスタン大学のヴァーニャ・アプカリアン教授を訪ねました。アプカリアン教授は「実は痛みはあなたの頭の中になるものなのです。痛みの解明は脳の働きを解明することと一緒です」と話しました。腰の痛みは電気信号が腰から脊髄を通って脳にたどり着きます。痛みを司るのは脳だけでなく広い範囲が関わっていることが分かっています。最新の研究では脳には痛みを和らげる場所「側坐核」があることが分かりました。

側坐核を刺激する簡単な方法とは?

 どうしたら側坐核の活動をアップさせられるのでしょうか。京都大学の阿部修士准教授があるゲームを行いました。パソコン画面にマークが出たらマウスをクリックするゲームで、ゲームを行う前にある言葉を伝えました。MRIの中でゲームをやってもらうと、側坐核が強く活動していました。「ゲームの前に先生は何と言ったのか?」という問題が出されました。正解は「うまくボタンを押すことができたらお金が謝礼として発生する」でした。

 先程の2人の痛みを改善させた方法とは認知行動療法。日本で行われている認知行動療法の現場を取材しました。腰痛が改善した久米さんは愛知医科大学の病院に通っていました。大事なのは会議室で行われるミーティング。治療目標設定シートを自分で決めて書き込むこと。ポイントは大きな目標と小さな目標を設定します。久米さんは大きな目標を旅行にして小さな目標は近くの本屋で旅行雑誌を買うことにしました。小さな目標を何回もクリアすることで側坐核が刺激され痛みが改善していきます。南野さんの大きな目標は習字がうまくなることで小さな目標は一文字一文字丁寧に。南野さんは「お習字をしている時、痛みを感じないことに気付いた」と話しました。小さな達成感が側坐核を刺激します。

痛みの原因は脳 最新治療でスッキリ解決!

痛みを感じる時、脳の扁桃体が活発に働いています。扁桃体は痛みが長く続くと活発になったままになってしまいます。それを鎮めるのが側坐核。奈良学園大学の柴田政彦さんがスタジオ解説。痛みの種類は原因がある痛み、原因を直しても残る痛み、原因が分からない痛みの3つ。慢性痛患者は原因を求めて病院を回る傾向にあるといいます。痛みは本来動物に備わった危険を回避するための信号。痛み(火災報知器)は正確に働かないことがあります。火災報知器の役割はよく出来ていないことが最近の脳研究で分かりました。側坐核の喜ばせ方は「趣味と目標」。得意なことや好きなことは痛みがあっても取り組みやすいため。「出来たぞ!」という達成感があると側坐核が活性化しやすいです。まじめな性格の方が慢性痛になりやすいです。側坐核を活性化して痛みを長引かせない脳を作ります!

側坐核をアップさせる!重要ポイントを大公開

 東京医科歯科大学の倉田二郎さんを訪ねました。去年10月、研究が科学雑誌「ペイン」に掲載されました。痛みの刺激を腕に与える装置をつけ、痛みが強くなったら手元のレバーを右、弱くなったら左へ動かす実験を行いました。痛みをわずかに強くしてすぐに戻すと、痛みが大きく和らいだと感じていました。痛みが少し和らいでも側坐核が活動したと考えられます。

 側坐核を元気にするには運動がおすすめ。原因不明の首の痛みに苦しんでいた鵜居さんはダンベル運動で改善しました。軽めのダンベルを持ち上げることから目標に設定して今ではジョギングも出来るようになりました。山口さんは杖をついて歩いていましたが、今では杖を使わずに歩けるようになりました。山口さんは趣味のスキーを楽しむ時間を少しずつ増やしていくことで痛みが徐々に改善しました。ポイントは自分が好きなことで、小さくてもいいので目標を定めること。成功体験を重ねるうちに側坐核が元気になります。また決まった時間内に達成するのもポイントです。

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