参考:アディポネクチンの新常識
アディポネクチンでメタボリックシンドローム改善
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アディポネクチンという言葉を今まで聞いたことがあるでしょうか?
健康志向の高い方やテレビや新聞などで目にした方も多いと思います。
このアディポネクチンは1996年、大阪大学医学部の松澤裕次教授
(現住友病院長、内分泌代謝学)により発見されました。
この発見は瞬く間に世界に広がり、世界中の医学界にとって希望の光となっています。
東大グループがアディポネクチン薬を開発
今回の一連のアディポネクチンの発表は、
アディポネクチン受容体の活性化が期待できる新薬の種を発見した という発表でした。
ここで注意しなければならないことは、
アディポネクチンそのものを摂取するということではありません。
アディポネクチンを摂取しても、体内に取り込まれる前に消化分解されてしまい、全く意味がなくなってしまいます。
今回発表された新薬は、アディポネクチンの作用を細胞内に伝えるアディポネクチン受容体を
活性化する内服薬(低分子化合物)の種ということです。
この内服薬の種は、糖・脂質代謝を改善させるだけではなく、
生活習慣病により短くなった寿命の回復が可能ということも研究により明らかになりました。
アディポネクチン受容体は、糖尿病や肥満により低下する作用があります。
東大チームはここに着目しました。アディポネクチン受容体の作用を強化し活性化させることにより、
抗糖尿病、抗メタボリックシンドロームについて探りました。
それだけではなく、肥満やⅡ型糖尿病が巻き起こす寿命の短縮を改善させられるのではないかと、
マウスを使って実験をしました。
その結果、糖尿病を発症しているマウスに運動をさせずに高脂肪食を与え続けてもこの内服薬を摂取させれば、運動と同様の効果を発揮し、糖尿病・脂質代謝異常が改善されました。
また、内服薬を服用させた糖尿病のマウスと服用させていない糖尿病マウスに同じように高脂肪食を与え続けた結果、内服薬を摂取させたマウスの寿命の短縮が改善されました。
この内服薬は今後7~8年かけて開発を進めていく予定です。
薬として発売されるようになれば、様々な理由で運動や食事制限ができない方にとって
理想的な新薬となることは間違いありません。
アディポネクチン
アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌される分泌蛋白である。
血中濃度は一般的なホルモンに比べて桁違いに多く、μg/mlオーダーに達する。作用としては、インスリン受容体を介さない糖取り込み促進作用、脂肪酸の燃焼、細胞内の脂肪酸を減少してインスリン受容体の感受性を上げる作用、肝臓のAMPキナーゼを活性化させることによるインスリン感受性の亢進、動脈硬化抑制、抗炎症、心筋肥大抑制など、多彩である。受容体にはAdipoR1、AdipoR2、T-Cadherinなどが報告されているが、同定後間がなく、これらがアディポネクチンの生理機能を説明するかに対してはまだ結論が出ていない。
血中アディポネクチン濃度は内臓脂肪量に逆相関する。そのメカニズムは不明な点が多いが、一部は肥満脂肪組織で増加するTNF-αなどによるものと考えられている。低炭水化物食でアディポネクチンが増加するという報告がある。
骨格筋においてアディポネクチンは受容体に結合し、AMPキナーゼを活性化して、通常はインスリンにしか反応しないインスリン感受性のグルコーストランスポーターであるGLUT4を膜の表面へ移動させ、グルコースを取り込む作用がある。運動の結果によりアデノシン一リン酸(AMP、アデニル酸)が増加することが知られているが、このAMPがAMPキナーゼを活性化する経路と同じである。つまり、アディポネクチンは、インスリンの作用を介さずに、運動効果とほとんど類似のグルコースを取り込む作用を示すことになる。
外部リンク
内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) 視床下部 – 脳下垂体 視床下部 GnRH – TRH – ドーパミン – CRH – GHRH – ソマトスタチン – ORX – MCH – MRH – MIH 脳下垂体後葉 脳下垂体中葉 MSH(インテルメジン) 脳下垂体前葉 性腺刺激ホルモン – αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH – LH – TSH) – GH – PRL – POMC(ACTH – エンドルフィン – リポトロピン) 副腎 副腎髄質 副腎髄質ホルモン(アドレナリン – ノルアドレナリン – ドパミン) 副腎皮質 副腎皮質ホルモン( 鉱質コルチコイド – 糖質コルチコイド – アンドロゲン) 甲状腺 甲状腺 甲状腺ホルモン(T3 – T4 – カルシトニン) 副甲状腺 生殖腺 精巣 テストステロン – AMH – インヒビン 卵巣 エストラジオール – プロゲステロン – インヒビン/アクチビン – リラキシン(妊娠時) その他の内分泌器 膵臓 グルカゴン – インスリン – ソマトスタチン – 膵ポリペプチド 松果体 メラトニン 内分泌器でない器官 胎盤:hCG – HPL – エストロゲン – プロゲステロン – 腎臓:レニン – エリスロポエチン(EPO) – カルシトリオール – プロスタグランジン – 心臓:ANP – BNP – ET – 胃:ガストリン – グレリン – 十二指腸:コレシストキニン – GIP – セクレチン – モチリン – VIP – 回腸:エンテログルカゴン – 脂肪組織:レプチン – アディポネクチン – レジスチン – 胸腺:サイモシン – サイモポイエチン – サイムリン – STF – THF – 肝臓:IGFs(IGF-1 – IGF-2) – 耳下腺:バロチン – 末梢神経系:CGRP – P物質 誘導タンパク質 NGF – BDNF – NT-3
では、何故「希望の光」なのでしょうか。
それは生活習慣病と呼ばれるメタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化、
さらにがんの予防と改善の効果が認められているからです。
また、長寿の方はアディポネクチンが多いことから長生きの鍵としても考えられています。
アディポネクチンは体の脂肪(脂肪細胞)から分泌されるホルモンです。
脂肪と聞くと、食べたものをエネルギーとして貯蓄したり、
体の体温を正常に保つための役割と考えられてきました。
しかし近年の研究により、脂肪細胞は様々な生理活性物質を分泌することがわかってきました。
では、健康の鍵とされているアディポネクチンを増やすには脂肪を増やせばいいのでしょうか?
答えはNOです。
「脂肪から分泌されているのに・・・」と考える方もいらっしゃると思います。
しかし肥大しすぎた脂肪ではかえって分泌量は減ってしまいます。
むしろ、悪玉の生理活性物質の分泌量が増えてしまうので、健康には逆効果です。
そして痩せ過ぎで脂肪が極端に少ない場合でも正常に分泌されません。
脂肪は体にはなくてはならない存在ですが、
体の脂肪のバランスが乱れるとアディポネクチンの分泌が減り、
動脈硬化、糖尿病、高血圧、がんになる可能性が高くなります。
全ての症状の大きな鍵となるのがこのアディポネクチンです。
生活習慣病で悩んでいる人にとって薬とは違う方法で症状を改善させられるという、朗報なのです。
そのため今でも多くの研究者によって研究が進められています。
アディポネクチンと各症状の関係です。
気になる症状との関係性や効果を知りましょう。
2013年10月31日の読売新聞でアディポネクチンが記事になりました
2013年10月31日木曜日の読売新聞の記事の一面にアディポネクチンについての記事が載りました。
「やせずにメタボ治療」との見出しで書かれています。
それはこの成分が食事制限、運動なしでメタボが解消されるということがわかったのです。
記事によると、5年以内に臨床試験を始め、
飲み薬として摂取できるようになることが目標とされています。
これは、運動や食事制限ができない心臓病の合併などの様々な事情を抱えた方にとって朗報です。
研究成果は2013年11月31日付けの英科学誌ネイチャー電子版に掲載されています。
この記事は、東京大学の門脇孝教授(糖尿病・代謝内科学)らの研究チームがマウスを使って実験をした結果について書かれています。
脂肪の多い食事で太って糖尿病になったマウスにアディポネクチンに似た物質を摂取させて結果を検証しました。
その結果、血糖値や中性脂肪の濃度が下がりました。
この実験でのポイントはマウスに食事制限をさせていないということ。
つまり、体重をも減らすことなく数値を下げることができました。
2型糖尿病のモデルマウスの120日後の生存率は、標準食を与え続けた場合は約95%、
高脂肪食を与え続けた場合は約30%であるのに対し、
高脂肪食とアディポネクチンに似た物質を与え続けた結果約70%まで生存率が上がりました。
この成分を一緒に摂取させるだけで約4割も死亡率が減ったのです。
この結果は新薬としての期待値をさらに上げる事になりました。
アディポネクチンを1996年に発見した松澤裕次さん・住友病院長(内分泌代謝学)も
糖尿病の患者の希望になる大きな成果ということで喜びの声を載せています。
今後、メタボや糖尿病を解決する鍵として医学界から大きな期待が寄せられています。
アディポネクチンの働き・効能
全身の血管のメンテナンスをしてくれる優れた成分です。
健康的な人は自分自身の脂肪細胞から作られています。
アディポとは「脂肪」という意味です。 そしてネクチンは「くっつく、接着」という意味で血管の壁などにくっついて修復するという 性質があることから名付けられています。
実際に学会で報告されているアディポネクチンの働き
- 血管を修復することにより、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞の予防改善
- 糖を利用することにより、糖尿病の予防改善
- 脂肪を燃焼させることにより、高脂血症の予防改善
- 血管を拡張させることにより、高血圧の予防改善
- 腫瘍の増殖抑制により、抗がん作用
- 老化防止
- ヒアルロン酸分泌促進
生活習慣病では、高血圧の影響で血管が傷ついたり、
ドロドロの血で血管が詰まってしまうことから始まっていくことが多いのです。
アディポネクチンで血管のメンテナンスを行うことにより、修復、予防ができるということです。
アディポネクチンの量は血液検査で測ることができます。
男性の平均値は8.3μg/ml、女性は12.5µg/mlです。
どの年齢層でも女性の値の方が男性を上回っています。
日本人の平均寿命は男性約79.4歳、女性約86.4歳。
男女の平均寿命とアディポネクチンの数値は比例しています。
また、100歳以上の女性66名と若い女性66名を対象とし、
血液中のアディポネクチンの量を比較した結果、驚く調査結果がでました。
なんと、100歳以上のアディポネクチンの平均値20.3μg/mlに比べ
若い女性の平均値は10.8μg/mlという半分の数値でした。
この結果はアディポネクチン数値が高いと元気に長生きをする
ということを証明する画期的なデータと言えます。
逆に言うと、量が多くないと長生きすることはできないとも言えます。
アディポネクチンの値が4µg/ml以下になると糖尿病、心筋梗塞、
がんやメタボリックシンドロームになりやすくなります。
これを「低アディポネクチン血症」と言います。
アディポネクチン量を増やすことはダイレクトに健康維持へとつながります。
積極的にアディポネクチンを分泌させることにより生活習慣病やメタボリックシンドロームを防ぐことができます。
アディポネクチンとは
『アディポネクチン』とは、脂肪細胞から血液中に分泌されるホルモンで、糖尿病や動脈硬化症などを予防する効果があるといわれており、近年注目されています。
メタボリック・シンドローム解消にアディポネクチンが役立つという研究がされています。
【メタボリックシンドロームの原因】
アディポネクチン(善玉)<攻撃
*善玉ホルモンであるアディポネクチンよりも攻撃側の方が多いため、メタボリックシンドロームになっている。
つまり、メタボリックシンドロームを解消するには、アディポネクチンを増やせばよいということです。
日本人の約半数が、血中アディポネクチン低値の遺伝的素因を持っていることから、このホルモンの不足を補うことが、糖尿病などの予防に重要であると考えられています。
また、アディポネクチンの分泌は、脂肪細胞の大きさと関係しており、脂肪細胞が小さい場合に分泌量が多く、肥大化すると分泌量が減少するといわれています。
内臓脂肪が増えるほどアディポネクチンは減少する
アディポネクチンの健康効果|中性脂肪を減らす・メタボリックシンドロームの改善・高血圧予防によれば、メタボリックシンドロームが進行する=内臓脂肪が増えると、アディポネクチンは減少してしまいます。
それは、この物質は内臓脂肪が増えれば増えるほど減少する性質を持っているためです。
アディポネクチンには中性脂肪を減らす働きがあるため、アディポネクチンが減少すると中性脂肪が増加していきます。
アディポネクチンの働き・健康効果
- 血管の修復
血管の修復→血流を改善する→動脈硬化の予防・改善 - 中性脂肪の減少
- 糖尿病の予防
インスリン感受性を高める→血糖値を下げる→糖尿病の予防・改善 - メタボリックシンドロームの改善
- 高血圧の予防
血管を拡張する→血流を改善する→高血圧の予防・改善 - 抗ガン作用
- 脳卒中の予防
- 心筋梗塞の予防
- 高脂血症の改善
脂肪燃焼を高める→余分な脂肪の蓄積を防ぐ→脂質異常症の予防・改善 - コレステロールの正常化
- 老化防止
- 血栓の予防
- インフルエンザの予防
- 生活習慣病の予防
【参考記事】
・アディポネクチンの健康効果|中性脂肪を減らす・メタボリックシンドロームの改善・高血圧予防
・内臓脂肪を落とし、アディポネクチンを出して、痩せ体質になる|林修の今でしょ講座
アディポネクチンを増やす方法
アディポネクチンを減らさないようにするためには、内臓脂肪を減らすこと。
内臓脂肪を減らすには、食べ過ぎや高脂肪のものは避けるようにして、野菜中心の食生活を心掛け、また、運動(有酸素運動)を少しずつ増やしていきましょう。
大豆たんぱく質
→ 大豆や野菜で「アディポネクチン」を増やしてメタボリック対策をしよう! について詳しくはこちら
マグネシウムと食物繊維を多く含む海藻類
アディポネクチンを増やすにはマグネシウムと食物繊維を多く含むわかめやひじきなどの海藻類がおすすめです。
→ マグネシウムの多い食品 について詳しくはこちら
→ 食物繊維の多い食品 について詳しくはこちら
オスモチン
アディポネクチンと似た構造を持つ物質・オスモチンは、トマト・リンゴ・キウイ・ぶどう・ピーマンなど野菜や果物に含まれており、アディポネクチンと似た働きがあるそうです。
EPA
さんまや鯖などの青魚に豊富なEPAはアディポネクチンを増やすそうです。
→ EPA について詳しくはこちら
禁煙
若い喫煙者は同年代の非喫煙者よりも生活習慣病を防ぐとされるホルモン「アディポネクチン」の血中濃度が低かったそうです。
アディポネクチン濃度が低い人は体重、腹囲、体脂肪率、体格指数(BMI)が高い値を示す一方、動脈硬化を防ぐとされる「善玉コレステロール」、がん細胞を攻撃するとされるナチュラルキラー(NK)細胞活性の数値は低かったそうです。
タバコはアディポネクチンの分泌を妨げるため、禁煙をしましょう。
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アスタキサンチンにはアディポネクチンを増加させる作用があるそうです。
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