米国で初の新型コロナ再感染、1回目より症状悪化

参考:MITTechnologyreView 2020年10月23日
米国で、2カ月間に新型コロナウイルスに2回、感染した事例が報告されました。新型コロナの再感染が確認されたのは世界中で5人目ですが、開発中の治療法やワクチンに影響を与えるかもしれません。


米国の男性が、わずか2カ月間で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に2回感染したことが、医学誌「ランセット感染症(The Lancet Infectious Diseases)」に掲載された研究により明らかになりました。新型コロナウイルスに2度感染したことが正式に確認されたのは、これまでに香港、ベルギー、エクアドル、オランダで報告された事例に次いで、5人目となります(未確認の再感染例は必ず他にも出てくるだろう)。しかし、今回報告された症例における奇妙な点は、再感染時の症状の方が1回目の症状より重かったことだです。主治医らが1回目と2回目の感染時のウイルスのゲノムを比較したところ、同じ感染を引き起こしたとは思えないほどゲノムが異なっていたことが明らかになりました。1回目よりも重症化した例は他には、エクアドルで確認された症例のみです。

25歳の男性は、喉の痛み、咳、頭痛、吐き気、下痢などの症状が数週間にわたり出た後、4月18日に1回目の陽性判定を受けました。男性は4月27日までに完全に回復したと感じ、5月9日と26日に受けた2度の検査で陰性と判定されました。ですが、そのわずか2日後の5月28日、症状が再び現れ、熱とめまいも発症しました。6月5日に陽性と判定され、肺が体に十分な酸素を供給できなくなり、低酸素症と息切れを引き起こしたため、入院が必要となった。男性に基礎疾患はありませんでした。男性は現在回復しています。

世界で確認された4000万人近くの感染者のうち、再感染が確認されたのがわずか5人であることを考慮すれば、再感染例は無視できるほど少ない。ですが、一度感染すれば再感染しないというわけではありません。つまり、新型コロナウイルスに感染したことがある人も引き続き警戒し、社会的距離、マスク着用、混雑した風通しの悪い場所の回避に関するアドバイスに従う必要があるということです。このことは全く予想外というわけではありませんでした。コロナウイルスの専門家たちは、風邪(普通感冒)の原因となるような他のコロナウイルスが季節性ウイルスであると警告していました。

しかしながら、研究者が答えを出そうと急いでいる疑問はまだ多くあります。新型コロナウイルスに感染することでどれだけの免疫を獲得できるのか。免疫獲得に主に関与するのは抗体なのか、T細胞なのか。免疫はどれだけ持続するのか。そうしたことが開発中の治療法やワクチンにどんな影響を与えるのか。例えば、ワクチンが1回の接種で済むわけではなく、全員が毎年接種する必要があるのか。少なくとも今回の新たな再感染例は、依然として新型コロナウイルスについていかに多くのことがわかっていないかを思い知らせるものになっています。

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