脳の炎症を消すと病気も治る「ブレインオブファイヤー」
Dr.Sears講演Webinar
Victor B.Heiserの書いたものからの引用ですが、
「人類に対する食物の効果に関する知識というものが非常に豊富になってくると、栄養素の価値ということがよくわかるようになってきて、そのことによって病気になるというハンディキャップを減らすことが出来ます。そして、生命を長くすることができ、また将来の仙人リーダーとなることが出来るのです。」ということを言っています。
食物が人間の体に及ぼす影響というものを、より深く知れば知るほど長生きができ、病気から解放され、そして社会改善の将来の仙人リーダーとして生きられるのですというようなことを言っています。
Dr.Searsはオメガ‐3関係について非常に豊富な知識をお持ちのドクター。ボストンの医科大学のドクターです。またMITのドクターでもあります。30年くらい脂肪についての研究をしてきたドクターであり、13件の特許を持っています。
また「ゾーン・ダイエット」という著書でも有名な方です。この本は200万部も売れ、NYタイムズではベストセラーになったこともあります。
最も新しい著書は「毒性のある脂肪」という本です。テレビなどでも取り上げられ、CBSとかCNN、ABCなど数多くのテレビに出演されています。
私のこれからの説明は、ある特別な人間の器官について、特に炎症についての話をしたいと思います。それは「脳」についてです。
脳に炎症が及ぼす影響というものがどのようなものかということで「The Brain on Fire」という題をつけました。「脳が火事である」。そんなテーマでお話しをしたいと思います。炎症との闘いというもの、いろいろな神経的な障害との関係についてお話します。
これからお話しすることをよく理解することによって、この火事を消すためにダイエット、つまり栄養素による解決策というものを皆さんにお話ししようと思っています。
火事を消すのが栄養素(サプリメント)なのです。
炎症ということの重要性というものが、社会の中でよくわかってきました。医療関係者の間でも、また一般の人の間でも同じような状況が起きてきました。
数年前のTIMEの表紙には 「THE SECRET KILLER」、「秘密の殺し屋」というテーマが掲載されました。炎症と心臓発作、がん、アルツハイマーとの驚くべきつながり、関係が示されました。これらのことに対して我々はどのように対処したらよいかというような特集が組まれました。
今の人間の健康問題にはいろいろな問題点があり、その多くが炎症に関係することがわかってきました。
慢性の病気というものの理由をよく考えてみると、その原因として炎症というものが存在しています。
炎症というのはいったいどういうことなのでしょうか。それを考えてみましょう。
古代のギリシャではこんなふうに言われていました。
身体の内部で起きている火事ということを考えてみて下さい。(Internal Fire)
古代のローマ人はこのように行っていました。炎症というものを次のように表現しました。
・Heat・・・・・熱
・Pain・・・・・痛み
・Swelling・・・腫れ
・Redness・・・赤くなる
これは現代でも多くの医師たちが炎症を表現する時に、このような表現を使っています。
従って、この2000年間ほどはこの炎症についての表現があまり変わっていないということが出来ます。
炎症とは何かということを考えてみると、複雑な相互作用みたいなものなのですね。炎症を促進する作用、炎症を抑えようとする作用は複雑で複合的な現象なのです。
炎症を上げようとすることと、抑えようとすることとは複雑な組み合わせなのです。それがバランスがとれている状態のことを「健康である」というのでしょう。
炎症が拡大することを止められない状況が続くことによって慢性病につながっていくということになります。
炎症というのは痛みと関係があります。炎症というのは非常にユニークなホルモンであるエイコサノイドというホルモンによって調整されています。それはどういうところでわかるかというと、いわゆる炎症を止める薬というものがたくさんありますが、典型的なものとしてはアスピリン、NSAID’S(ノンステロイド)、COX-2 inhibitors(コレステロール)、ステロイドなどがありますが、炎症を止めるということにおいては、エイコサノイドというホルモンを調整するという目的を持っています。それによって痛みを和らげるという作用です。
炎症反応を促進するというようなものの原因としては、次のようなものが考えられます。
1.細菌の侵入
2.ケガというのも強い炎症反応を引き起こします
3.食事
炎症には二つのタイプがあります。
1つは、本当に気が遠くなるほどの痛み、叫び声をあげるほどの痛みを伴うものです。
人間の持っている組織が痛い、関節が痛むなども1つの炎症です。こういうことが起きると炎症が起こっていることがすぐにわかります。
ところがもっとわかりにくい炎症(
2つ目は、Silent Pain)、痛みのない炎症のことで、これは細胞レベルでの炎症です。先ほどのTIMEの表紙に「SILENT KILLER」とありましたね。これに属するものです。
細胞レベルの炎症です。痛みがありません。
これは静かに徐々に組織を破壊していきます。何年もかけ、場合によっては十数年にわたってコンスタントに人間の体に傷害を与えていきます。これを我々は慢性病と呼んでいます。
細胞レベルの炎症というものについて話をする時に、
測定方法というものを考えるべきだと思います。そのためには血液中のマーカーが使われていました。8年ほど前に見つかった方法です。
High Sensitivity C-reactive protein という方法ですが、これはあまりいい方法とは言えませんでした。具体的ではないし、炎症によっては数値が変化してしまうこともあるのです。いいマーカーではありませんでした。
それに代わって我々が推薦しているマーカーは AA/EPA Ratio といって二つの脂肪酸の比率、AAとEPAという脂肪酸の比率を使うマーカーです。AAとはアラキドン酸のことです。AAは炎症反応を促進させるような(アラキドン酸由来の)エイコサノイドの産生を促進するもので、もう一つはEPAと呼ばれているものです。EPAは炎症反応を抑える(EPA由来の)エイコサノイドというホルモンを産生する脂肪酸です。
この二つの脂肪酸のバランスが皆さんの細胞の中のバランスを表わす脂肪酸ということになります。これが炎症反応を測定するために非常に良いマーカーとなっています。この比率が小さければ小さいほど細胞レベルでの炎症反応が少ないということになります。また比率が高ければ高いほど炎症反応が高く、慢性病になっている可能性が高いことを示しています。これはより詳細なマーカーであり、信頼性の高いマーカーとして使われています。
High Sensitivity C-reactive proteinというマーカーは炎症が起こってから数値が変化するという性質がありますが、こちらのマーカーは炎症が起きる前に変化を告げてくれるマーカーであるということが出来ます。
こういうもので炎症を測定するとして、
細胞レベルでの炎症と関係しているものにはどんな病気があるのでしょうか。
アメリカでは非常に大きな問題となっていますがObesity、肥満、それとⅡ型糖尿病という病気があります。細胞レベルでの炎症の典型的なものです。
心臓病やがんと炎症との関わりについて。
今日は特に精神的な疾患について話したいと思います。
アルツハイマーやADHDについて特に力を入れて話したいと思います。またパーキンソンについてです。
世界でのAA/EPAの比率はどのようになっているでしょうか?
日本人・・・・1.5
アメリカ・・・15
とアメリカは日本の10倍になっています。
日本は世界でも長寿国であり、健康寿命も長く、うつ病の割合は世界で一番低く、コレステロールの比率はアメリカと同じですが心臓病が少ないです。AA/EPAの比率が低いということはこういうところにも表れています。
アメリカはAA/EPAの比率は日本の約10倍の15となっています。これは炎症がたくさん起きていることを示しています。従ってヘルスケアが必要になってきたということです。
小さい頃からの細胞の炎症反応は重大な問題を引き起こします。AA/EPAの比率を見てみると
このような数値になりました。
・うつ病・・・・20
・ADHD・・・25
・脳に障害が起きたことのある人・・・40
私は300人以上の人々を診てきましたが、このAA/EPAの比率はアメリカ人の将来の健康を占う指標になっていると思います。
では、何がこのような事態を引き起こしているのでしょうか?
それは食事です。
食事の何が問題なのでしょうか?これには単純な解決策というものはありません。原因となっているものを考えてみましょう。それには3つの要素があると思います。
①オメガ‐6脂肪酸の摂取が増えていること。
オメガ‐6脂肪酸はアラキドン酸(AA)を多く産生し、細胞の炎症が増えます。一般的に販売されている植物油、例えばトウモロコシや大豆、サフラワー、ひまわりなどを原料とする油です。アメリカの食事においては最も低価格でカロリー源になるからです。
②さらに悪くしていることは白砂糖、精製したパン、白米がこれらはGI値が高くインスリンレベルを上げます。この二つのことによってアラキドン酸の生成を増やしていること。
③それらをオメガ‐6脂肪酸によって調理することによってさらに悪くしているのです。火に油を注ぐような状態になっています。
この状況を改善するためにはオメガ‐3脂肪酸を摂取することでEPA比率を上げることです。残念ながら、ここ100年の間オメガ‐6脂肪酸が95%を占めているような状態でした。
1日に125mgのEPAが必要なのです。
この長鎖脂肪酸EPAの摂取は極端に減ってしまいました。オメガ‐3脂肪酸の減少は言ってみれば原子炉の制御ができなくなりメルトダウンを起こした時と同じような状況なのです。
過去40年の間にオメガ‐6脂肪酸の摂取、白くなった炭水化物(白パン生地)の摂取、オメガ‐3脂肪酸の摂取の減少という3つのことが同時に起こっています。これが細胞の炎症を引き起こしているのです。40年前から始まり、今や世界中が同じような状況にあります。
細胞の炎症を増大させる通り道というのがあります。
オメガ‐6脂肪酸が代謝経路を通るのです。リノレン酸と言われるものですが。
1.
リノレン酸は<デサチュラーゼ:デルタ6>という酵素によってアラキドン酸に変換されま
すとインスリンが活発になりますが、DHAによってそれが抑えられます。
例えば植物油+白くした炭水化物でインスリンレベルが上がり、AAへの変換が進みます。
植物油と炭水化物はアラキドン酸の前駆体と考えていただければいいと思います。
2.
<デサチュラーゼ:デルタ5>という酵素もアラキドン酸を生成するのですが、EPAも生成し、このEPAがエイコサノイドを産生し、またアラキドン酸の生成を抑制するのです。
アラキドン酸は割脂肪酸の代表のようなもので、細胞の中で炎症反応を起こすものです。
皆さん家が火事になった時にはどうしますか?日を消そうとしますね!そのために消防署に電話をし、消防車を呼びますよね。消防車が到着するとホースで水をかけ日を消してくれます。
この働きをしてくれるのが魚油なのです。現在起きている炎症を消してくれるのです。高濃度の魚油が大切です。かけつけた消防車は火を消してくれて、火事はおさまりました。でも家はどのような状態でしょうか?火は消えたけれども家はボロボロの状態になっていますね。この家を再構築しなければなりません。火事が再び起こらないように、つまり炎症が再び起きないようにしなければなりません。
私は抗炎症ダイエットというものを提唱しています。それが「ゾーンダイエット」です。
炭水化物:脂肪:タンパク質を 40:30:30 にするのです。
炎症が再び起きないようにするにはこの食事法と。そして魚油を摂り続けることが大切です
アラキドン酸
(Arachidonic acid)は、不飽和脂肪酸のひとつ。カルボン酸で、ω-6脂肪酸に分類される(20:4, n-6 と略される)。
細胞膜中のリン脂質(特にホスファチジルエタノールアミン・ホスファチジルクロリン・ホスファチジルイノシトール)として存在し、なかでも脳に多く含まれる。 アラキドン酸はホスホリパーゼA2によってリン脂質から遊離し、ここから プロスタグランジン・トロンボキサン・ロイコトリエンなど、一連のエイコサノイドがつくられ、また細胞間のシグナル伝達におけるセカンドメッセンジャーとして働く。これらの生合成過程や体内での作用はアラキドン酸カスケードと呼ばれる。
アラキドン酸はほとんどの哺乳類にとって必須脂肪酸であると考えられている。アラキドン酸はリノール酸を原料として体内で合成されるが、種によってはこの機能が十分でないため必要な量を生産することができないか、あるいは全く生産する機能を持たない。アラキドン酸は植物にはほとんど含まれないため、自ら十分な量を生産できない動物(ネコなど)は他の動物の捕食によって摂取する必要がある。主に肉、卵、魚、母乳などに含まれており、欧米など諸外国では乳児用調製乳にも添加されている。
脳の火事、炎症を止める、
二つの脂肪酸、アラキドン酸とEPAの形は殆ど同じ構造をしています。非常に似ているために酵素が同じように作用することがあります。ですからこのあたりをうまく利用して薬を作ります。アラキドン酸を抑える、つまり炎症を抑える薬の副作用は深刻です。心臓へのリスクが高くなり時には死にいたる場合もあります。アメリカでは毎年抗炎症薬の副作用で5万人もの人が亡くなっています。この数字はエイズで死亡する人の数を上回っています。
アラキドン酸には炎症反応を促進し、EPAにはそれを抑制するという作用があります。EPAは炎症を起こすホルモンを抑える働きがある。
このことを昔から私達はわかっていました。しかし我々はそれをうまく使うことをわすれていました。そのために炎症が起きているのです。アラキドン酸とEPAの比率は我々の将来を暗示しています。
アラキドン酸は2つの酵素による代謝経路(アラキドン酸カスケード)をもっています。
1. COXが作用するとアラキドン酸カスケードに入りプロスタグランジンが作られる。
2. LOXが作用するとロイコトリエン合成系に入りロイコトリエンが合成される。
これらのCOX/LOX酵素の働きを阻害するために、薬や医療ではステロイドや非ステロイド治療薬を使用しています。しかし有効である半面、危険な副作用を伴うのです。
私は30年ほど前からこんなことを考えています。もっと上流に働きかけることによってアラキドン酸の精生成を抑えることが出来れば、はるかに効果的だと思うのです。しかし、今のところ上流に働きかけるものはありません。
アラキドン酸は100%食事から作られます。
解決策は我々のキッチンにあります!
アラキドン酸が作るプロスタグランジンには3つの種類があります。
1.PGE2
2.TXA2 これらは非常に細胞の中の炎症を起こしやすいもの。
3.LTB4
これらに対しては強力な抗炎症薬がありますが、死へつながることもあります。
薬の副作用は大きく、長期に渡って、危険があります。
アラキドン酸カスケード(-さん-)とは、細胞膜を構成するリン脂質由来のアラキドン酸を原料としてプロスタグランジン(Prostaglandin,PG)類やトロンボキサン(Thromboxane,TX)類などの脂質メディエーターを作る代謝経路である。
リン脂質は細胞膜の主要な構成成分であり、その構造中には親水性基と2本の疎水性基を持つ。この疎水性基をリン脂質から切り出す酵素であるホスホリパーゼA2(PhospholipaseA2,PLA2)により細胞膜から遊離した脂肪酸(アラキドン酸)が、その後シクロオキシゲナーゼ(Cyclooxygenase,COX)によりプロスタグランジン類やトロンボキサン類に変換される。一方、リポキシゲナーゼ(Lipoxygenase,LOX)によりロイコトリエン(Leukotriene,LT)類に代謝され、これらの代謝物は種々の生理活性を示す。これらの代謝物を総称してアラキドン酸代謝物及びエイコサノイドと呼ぶ。
トロンボキサン(英: thromboxane, TX)は、血小板の凝集や、血管壁の収縮を引き起こす物質である。
TXA2:血小板凝集作用、血管・気管支収縮作用(TX受容体)
TXB2:上記のTXA2に1分子のH2Oが付加されて生成する。
プロスタグランジン (prostaglandin, PG) は、プロスタン酸骨格をもつ一群の生理活性物質[1]。アラキドン酸から生合成されるエイコサノイドの 1 つで、様々な強い生理活性を持つ。プロスタグランジンとトロンボキサンを合わせてプロスタノイドという。
プロスタグランジンの種類と主な作用]
・PGA:血圧低下作用のみ
・PGB:血圧低下作用のみ
・PGC:血圧低下作用のみ
・PGD2:血小板凝集作用・睡眠誘発作用(PDD受容体)。
・PGE1:動脈管を開存させる働きがある。
・PGE2
○平滑筋収縮作用(PDE受容体EP1サブタイプ)
○末梢血管拡張作用(PDE受容体EP2サブタイプ)
○発熱・痛覚伝達作用(PDE受容体EP3サブタイプ)
○骨新生・骨吸収作用(PDE受容体EP4サブタイプ)。
・PGF2α:黄体退行・平滑筋(子宮・気管支・血管)収縮作用(PGF受容体)。畜産業界では繁殖関連で重宝する。
・PGG:血圧低下作用・血小板凝集作用
・PGH2:血小板凝集作用
・PGI2:血管拡張作用・血小板合成阻害作用(PDI受容体)。
・PGJ:抗腫瘍作用のみ
プロスタグランジン(PG)とトロンボキサン(TX)より成るプロスタノイドは,刺激に応じて局所で合成され,局所のホメオスタシスの維持や種々の病態形成に関与する生理活性脂質である.プロスタノイドの作用は,標的細胞上に存在する各々のプロスタノイドに特異的な受容体を介して発揮される。
従来,プロスタノイドは,炎症のメディエーターとしての役割が良く知られている.しかし,生体内でプロスタノイドが果たす役割や,それを仲介する受容体の種類については,充分には解明されていない.その原因として,通常,組織には複数種のプロスタノイド受容体が発現しており,各プロスタノイドは,特に外来性に投与された場合,それに固有の受容体以外の受容体に作用する可能性が挙げられる.また,従来各プロスタノイド受容体に特異的なリガンドとして,ごく限られた種類のアゴニスト•アンタゴニストしか開発されていないことも挙げられる.このような状況の中で,最近受容体ノックアウトマウスの解析により,プロスタノイドが果たす種々の生理的・病態生理的な役割が解析・評価されつつある
アラキドン酸は少なくすることができます。
私ならば薬に頼りません。
では、魚油についてお話しましょう。
高濃度の魚油の働き
高濃度の魚油の働き
・アラキドン酸の生成を抑える
・細胞の膜にある過剰なアラキドン酸を外に出してくれる
・細胞膜にEPAが多くあるほど放出する量は増える
・魚油はDNAを変化させる可能性がある
・細胞膜の流動性を変えてくれる
・細胞膜イオンチャンネルを変化させてくれる
ほかにもたくさん良いことがあります。
大事なことはバランスですよね。バランスは健康全体、脳の健康にとても重要です。
なぜ魚油が必要かと言いますと、脳は作ることが出来ないのです。アラキドン酸やDHA、EPAを血液からとりこむことしか出来ません。血液は狭い関門を通って脳へ運ばれますが、血液に含まれるアラキドン酸やDHA,EPAの量でコントロールされます。
大きな問題は半減期です。アラキドン酸は2年半、DHAは2年半、EPAは何と2週間で半減します。非常に短期間で酸化されるのです。従って、脳にEPAが見つからず早くなくなってしまうからです。
血液中のAA/EPAの比率の改善には高濃度のEPAをたくさんとって脳の再構築をする必要があります。
ハーバードのデータ
2004年 肥満(炎症が多い状態)の人々を2つのグループに分け、種類の食事をしてもらいました。
1. USDA(アメリカ農務省規格)のフードピラミッドに基づいた食事のグループ
2. ZONEダイエット 炭水化物40:脂肪30:タンパク質30の食事のグループ
どちらのグループも体重の減少が見られました。
しかし炎症の度合いは10倍の差がありました。ZONEダイエットは過剰な炎症を抑えることが出来ました。
2006年 6週間のテスト
アトキンスダイエット(低炭水化物ダイエット)やフォトジェニックダイエットではAA/EPAの比率は2倍くらい高くなりました。
食事の比率を決めることはとても重要です。ZONEダイエットは難しいという声をよく聞きますが、それほど難しいものではありません。
お皿を3つの部分に分けます。
まず3分の1には低脂肪のタンパク質90g、男性で120gくらい
(片手くらいの量)おきます。
残りの3分の2には溢れんばかりの野菜や果物をおくのです。
ほんのちょっとですよね!
良い選択というのはオメガ‐6系脂肪酸(飽和脂肪酸)を少なくすることです。最悪なのはオメガ‐6系脂肪酸が豊富な食事です。
それでは私のこれまでの経験の中から私の患者さんの臨床例をお話します。
2007年のものです。
(Dr.Searsは生化学者であり、医者でもあります)
CTスキャンで脳血流を観ることができます。赤い部分は血流が多く、活動部分であります。
ADHDの子供(多動性)ZONEダイエットの食事と高濃度のEPA摂取をしてもらったところ炎症が少なくなり、異常な脳血流が正常になりました。スキャンの映像では異常な脳血流を示す赤く光る部分が少なくなっていることがおわかりだと思います。
ADHDの子供たちに高濃度オメガ‐3とZONEダイエットの食事をしてもらうとAA/EPAの比率はスタート時には30だったのですが1カ月後には下がり、その後同じ食事を続けた場合、その状態を維持することが出来ました。
続ければ維持できるのです。
オメガ‐3を摂らなくなるとまた比率が上がることもわかりました。
心理学者にテストを依頼したのですが、その子供たちの心理状態は全般的によくなっており、薬の弊害も少なくなっていました。これはADHDとアラキドン酸には深い関わりがあることを表わしています。子供の状態とAA/EPAの比率とは正比例しています。比率が低くなると改善されているということです。
高濃度のオメガ‐3の大量使用は意味があるのです。
1日に15gです。
外傷性脳損傷について
アメリカでは子供や若い人達が、一生のあいだ寝たきりや死亡する人が非常にたくさんいます。また、イラクからの帰還兵の中にもそういう人が多く、その人たちには一生にわたり問題が続くのです。アメリカでは毎年150万人もの人が脳損傷に合っています。自転車事故、野球、爆発、フットボールなどによって23万人もの人に重大な障害が起きているのです。そうした中で毎年5万人ほどの人々が亡くなっています。
これは5年前の臨床経験ですが、お正月に炭鉱で爆発による事故が起きて13人が閉じ込められました。懸命な救助活動により41時間後、救出されました。しかし12人は亡くなられ、RANDYという男性一人が助けられました。しかし、深刻な心臓の異常、腎臓や肝臓は機能せず、頭も傷害を受けていました。一酸化炭素中毒になっていました。
MRIの画像では炎症によってほとんどの部分が障害されていることがわかりました。ウェストバージニアの神経外科医は、私の所に「一体、どうすればいいのだろうか」と言って電話で問い合わせて来ました。私は「高濃度の魚油を与えて、火事を消そう」と提案しました。
1日に15gの魚油をどうやって与えたらいいだろうかということになり、経菅栄養という形で2カ月間この長鎖脂肪酸を与えました。2カ月後に彼はこん睡状態から脱することが出来ました。その後、口から食べる事ができMRI画像でも炎症部分が非常に少なくなっていることが確認出来ました。EPAとDHAを2:1の割合で食べさせました。
「頭の火事」を消すこと、これはEPAがしてくれます。AA/EPAの比率を1.5に保つことは大切です。なぜならば日本人の比率だからです。
毎週、血液検査をしながらしっかりと調整しながら与えました。2カ月後、RANDYは退院し、自宅に帰ることが出来ました。“死んだ男”と呼ばれたRANDYは心臓の機能も、腎臓や肝臓の機能も正常になり、CNNのインタビューに応じることが出来たのです。記者に答えて彼は「奇蹟だと思う」と言いました。しかし、これは奇蹟などではないのです。脳の火事を消したということなのです。頭を再構築し、再び生活を取り戻したのです。
事故から9カ月後、ウェストバージニアの神経外科医と私は、彼と彼の奥さんに会いました。その時の写真を見て下さい。彼の奥さんは妊娠していました。素晴らしいですね!
奇蹟ではなく魚油をうまく使って、そしてハイテクの機器によって管理し快適な状態を維持したのです。RANDYと同様に回復する可能性があるのです。
例えば
26歳の一酸化炭素中毒になった炭鉱夫、40歳の消防士、12歳の野球少年などなど・・・
ネガティヴな要素などないのです。こういう事は時間がかかりますが、医療の在り方を変える可能性を持っています。シンプルではありません。魚油を体に入れる作業は複雑なのです。しかしこういうことは薬によっては出来ません。EPAのレベルを保つことによってリカバリーできるチャンスがあるのです。
我々の人生の将来は?ということを考えてみましょう。
痴呆やアルツハイマーなどといったリスクはどうでしょうか。正常な人、アルツハイマーの人、少し痴呆が始まった人、どのような状態の人もAA/RPAの比率を低く保つことは非常に重要なことです。日本人のようにね
外傷性でない脳震盪を起こした人の例を見てみましょう。
ホッケーの選手が脳震盪を起こしました。その時のAA/EPAの比率は41でした。これまでに彼は4回も脳震盪を起こしたことがあり、みんなは“彼の人生は終わった”と思いました。ボストンの医者も今回は難しいだろうと判断しました。18カ月間何の変化もなく、ひどい頭痛に襲われ、エクササイズも思うように出来ませんでした。しかし私は言いました。「こういう事は長い時間がかかるんだよ」と。そしてホッケーの選手だった彼が私の所にきました。AA/EPAの比率は41でした。これを下げることが出来たら改善するよと言いました。
一日に7.5gの魚油を与えました。(RANDYの2分の1の量です)
2カ月後、AA/EPAの比率は3に下がっていました。頭痛もなくなり感覚も戻ってきました。時間はかかりますが徐々に変化していきました。「脳の火事」を消したからです。大量の魚油の摂取によって「脳の火事」を消すことが出来ました。そのことが改善へとつながっています。
12年前、ハーバード大学での例です。
双極性うつ病の患者に一日9.6gの魚油を与えたところ3カ月で大きな変化が起こりました。
魚油を使った時と、使わなかった時とでは大きな差があります。あまりの差の大きさに倫理的に問題ではないかと思うほどでした。なぜならば使える人と使えなかった人とにあまりにも大きな差があったからです。
同じような子供の場合です。
AA/EPAの比率は200とか300という非常に高い数値でした。脳にはEPAを見つけることができないほどでした。血液中にEPAがないということは脳にもないということです。これでは炎症を止めることが出来ないのです。
10年前のデータです。
多発性硬化症ですが、AA/EPAの比率は6でした。2年後にこの比率は1.5になりました。この病気は脳の中枢神経系に起きるリウマチのようなもので体のあちらこちらが痛みます。
魚油と薬が大きく違うのは、薬は炎症の起きている所へ到達出来ないということです。脳関門を通ることが出来ないのです。ですから状態は徐々に悪くなっていきます。この病気を改善させる薬は存在しません。
機能障害も2.2から1.6になったことで回復してきました。
「こんな事は聞いたことがない」という人がいますが、この回復はまさにオメガ-3が脳関門を通ったという証拠なのです。
EPAが脳に届くと、脳は再構築され、軽くない症状は改善していくのです。
前のローマ法王、私のよく知っているヨハネ・パウロ2世の場合です。パーキンソン病を患っていました。ぜひ大量のオメガ-3を摂るようにと提案しました。2年間、びっくりするほどの改善がみられました。奇蹟的でした。状態が良くなった彼は「世界中をまわって福音を
伝えたい」という計画を立てました。私は「それはいい計画ではないよ。84歳という高齢だし、まだパーキンソンも残っている」と言いましたが、彼の意思は固く「福音を説いてまわりたい」と世界ツァーに出かけました。
この旅行は大きなストレスとなりました。2カ月後、徐々に悪くなってしまいました。ローマにいて大量のオメガ-3を摂っていた時は非常に状態はよかったのですが。
ここまでは人間の話をしてきましたが、次に
動物の話をしたいと思います。私は動物のこういう実験は好きではありません。なぜならば殺してしまうことも多いからです。しかし、人間のためにこうした実験は欠かせないのです。
ネズミを使った脳の実験です。
ネズミに脳震盪を起こさせ、鉄を埋め込んで物を落として脳に衝撃を与えます。脳に障害を与えるわけですね。神経系統にダメージを与えます。
そうしたネズミを3つのグループに分けて観察しました。
①プラセボ
②オメガ-3を10mg 与える
③オメガ-3を40mg 与える
3カ月後、
①のグループのネズミはAA/EPAの比率が高く炎症は全体に広がりました。
神経細胞の端っこの方にβアミロイドプレカーサープロティン(βAPP)が溜まって集まっていました。これはアルツハイマーの初期に見られる症状です。
オメガ-3をたくさん与えたグループのネズミにはこのβAPPの凝集は見られませんでした。あるいは見られなくなりました。RANDYのケースのように炎症が消える、「脳の火事」を消すということなのです。
βAPPの凝集だけを見ると①グループでは高く、②グループ、③グループでは低く、まるで傷害を受けていないかのような状態でした。
オメガ-3は火事を消すのです。私の言いたい事は、議論ばかりしているのではなく「使ってみろ!」ということです。
心臓病でも、糖尿病でも、肥満でもとにかくAA/EPAをテストしてみることです。
私の実験室のデータです。132人の普通の人を対象にAA/EPAの比率を調べました。
オメガ-3を普段から摂取している人よりも、摂取していない人の方が高い細胞の炎症レベルを示していました。
特に症状は出ていなくても細胞の炎症レベルは高いのです。
12
日本人との比較
・アメリカ人 2.6
・オメガ-3を摂っているアメリカ人 2.0
・日本人 1.5
・オメガ‐3を摂っている日本人 0.8
オメガ‐3を摂っている人は細胞の炎症レベルが下がるということです。そして食べ続けている人はさらに下がり、よりよい結果を出せるということです。
2010年に栄養関係の雑誌にこのような記事が掲載されました。
<乳がんのリスクが高い人のAA/EPAの比率の変化>
オメガ‐3を与えない場合 12
一日に800mgを与えた場合 4.2 1.5 1 と比率は下がっていった
胸の細胞は時間と共に元に戻るのです。大事なことは継続して摂るということです。
ホッケーの選手のように60日、120日と時間はかかります。しかし大量摂取を続けることでいい結果が出るというのが医者の臨床例です。
第4回目:9月26日
AA/EPAの比率は血液の状態がどんな状態かに関わらず、安定した数値、一定の数値を示します。比率が低い場合も、ほぼ安定した数値を示し、室温で1週間経過した血液であっても変化することがありません。また、比率が高い場合も同様です。
ということはAA/EPAの比率は簡単に調べることができ、採血して数日たった後でも安定した数値を示すということなのです。
病院で血液をとって宅配便などで検査に送ってからでも調べることが出来るのです。この比率によって炎症の度合いを知ることができ、検査も簡単で、しかも安価なのです。
これによって非常にエキサイティングなことが起こります。それは、この検査は予防薬ではなく病気を予測出来るということだからです。
将来、どのくらいの期間で病気になるかということが予測できます。心臓病でも、がんでも、また神経系などの慢性病について予測する事が出来ます。
AA/EPAの比率は実際に症状が出る前の変化を知ることが出来ます。
CRPなどの変化よりもずっと先に将来起こる病気を予測して対策をたてられるのです。
将来を予測して対策を考えるのです。細胞の炎症をコントロールすることによって将来起こりそうな病気のための対策を考えることができます。
このような事は食事によってのみ可能です。薬には出来ません。炎症を抑えるための食事やサプリメント、EPAを含むサプリメントは非常に強力です。炎症を元に戻すことが出来るからです。
慢性病というのは氷山のようなものです。氷山は海面の上に出て見えている部分よりも、中にある見えない部分の方がはるかに大きい(サイレントペイン)のです。私達はこの見えない部分が病気になっているのです。神経系の病気、心臓病、がんなど様々な病気です。
病気というものは別々のもののように見えますが、実は氷山の中でつながっているのです。それは細胞でつながっているという意味です。
細胞の炎症は食事で変化します。私は薬を全否定しているのではありません。食事は薬として使えるということを申し上げているのです。食事を薬として使う事によって、もっと薬を効果的に使うことが出来ます。薬を少なくすることが出来るからです。薬を少なく出来るということは副作用を少なくすることが出来るということですね。
今まで細胞を測定するということは出来ませんでした。しかし今はそれが可能になりました。簡単に調べる事ができ、しかもとても安い値段で調べることが出来ます。
細胞の炎症を減らせば減らすほど、氷山の中は小さくなります。薬を使う機会を減らす事が出来ます。
細胞の炎症は特に神経系の中に潜む大きな要因です。これは大量の魚油で炎症を減らす事が出来ます。そうする事によって、どの程度の量が必要かがわかります。
脳の再構築は火事を消すということです。家事を消すための食事を続けることが重要です。
これが私の話の要約です。
オメガ3
EPAエイコサペンタエン酸
エイコサペンタエン酸 | |
IUPAC名 | (5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ- 5,8,11,14,17-ペンタエン酸20:5(n-3) |
分子式 | C20H30O2 |
分子量 | 302.451 |
CAS登録番号 | [10417-94-4] |
SMILES | CC/C=C\C/C=C\C/C=C\C/C=C\C/C=C\CCCC(=O)O |
、Eicosapentaenoic acid、EPA)またはイコサペンタエン酸(Icosapentaenoic acid)は、ω3 脂肪酸の一つ。ごく稀にチムノドン酸(Timnodonic acid)とも呼ばれる。EPAは、5つのシス-二重結合をもつ20炭素のカルボン酸である。
EPAは、プロスタグランジン、トロンボキサン-3、ロイコトリエン-5(すべてエイコサノイド)の前駆体である多価不飽和脂肪酸の1つである。 ヒトでは、体内で合成できないα-リノレン酸から体内でEPAを合成するため、広義では必須脂肪酸となる。医療用医薬品としては閉塞性動脈硬化症、高脂血症治療薬である。商品名としてはエパデール・イコサペント酸エチル粒状カプセルなどとして販売されている。また健康食品にもDHAとともにサプリメントとして用いられている。
EPAは、魚油食品、タラ、ニシン、サバ、サケ、イワシ、ナンキョクオキアミから得られる。また、母乳にも含まれている。
EPAは、動物以外にもスピルリナ、マイクロアルジェからも得ることができ、マイクロアルジェは商業用に開発されている[1]。EPAは、ふつう高等植物では見られないが、スベリヒユで微量確認された[2]。
大規模臨床試験「JELIS」studyにおいて、EPAは冠動脈疾患を優位に予防したと報告された。[3]
・EPA(エイコサペンタエン酸) -「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
・EPAは、1960年代にエスキモー達の健康調査を行った事で、発見されました。
・彼らは、アザラシや魚が主食で、野菜を口にすることが、ほとんどありません。
・このような食生活にも関わらず、健康な高齢者が多いことがわかり、調査が始まりました。
・研究の結果、血液のEPA濃度が、デンマーク人に比べて、35倍も高い事がわかったのです。この事実は瞬く間に広がり、世界中でEPAの研究が始まり、血流を良くする効果や、さまざまな効能が発見されたのです。
・脂肪酸には、主に牛や豚のから摂られる『飽和脂肪酸』と、いわしなどの魚油から取られる『不飽和脂肪酸』の2種類があります。
・さまざまな疾病との関連が疑われている『飽和脂肪酸』と違い、EPAを含む『不飽和脂肪酸』は、中性脂肪の低下や記憶力の向上といったすばらしい効果が報告されています。
・EPAの効果を解説。
・近年、注目されているEPAの効果の一部をご紹介します。
・動脈硬化の改善。
・EPAは、動脈硬化の原因である、血小板の凝集を抑制する効果があり、予防や改善に役立つとされています。
特に、心筋梗塞や、虚血性心疾患の原因とされる、心臓に近い血管である冠状動脈に効果があり、死亡リスクが低減するという報告があります。
・花粉やアトピーの改善。
・EPAには、炎症やアレルギーを改善または、軽減する効果があるとされています。EPAが、炎症やアレルギーの原因となるプロスタグランジンやロイトコリエンといった物質を抑制するためで、これは、成人病予防にもつながります。
・中性脂肪を減らす。
・EPAは、血液をサラサラにする効果を持っていますが、特に、中性脂肪を減少する効果が強いとされています。中性脂肪が高いと、高脂血症や血栓症、高血圧などさまざまな疾病の原因になるとされています。
・■さらに詳しく知りたい場合は、EPAの効能をご確認下さい。
・EPAを多く含む食品。
・魚に多く含有されるEPAの可食部100g中に含まれる量を紹介します。
・■魚などから摂取したい方は、魚から摂取する時の注意点をご確認ください。
・EPAとDHAの違い。
・EPAとDHAは、同じ不飽和脂肪酸の仲間で、さらに、多価不飽和脂肪酸のオメガ-3脂肪酸という種類の仲間であり、非常に近い存在です。
・お互いに似た効能を持っており、動脈硬化などの生活習慣病を予防しますが、それぞれで得意分野が違います。コレステロールの減少にはDHA、中性脂肪の減少にはEPAがより効果を発揮します。
・さらに、DHAは脳に到達し、脳神経を活性化する働きがあります
・EPAの上手な摂取方法。
・EPAの明確な摂取量は日本では定められておりませんが、アメリカでは、DHAとEPAを合わせて1日2gを超えない程度という指針があるようです。
・食品から摂取する場合は、いわしなどの青魚から摂取するのが良いのですが、魚(特に大きな魚)には、水銀が含まれる場合があり、妊婦さんなどは多量の摂取は避けるように言われています。これは、水銀の胎児に与える影響を考慮してものです。
・水銀の問題や、好き嫌いなどで、魚からの摂取が難しい方は、サプリメントを上手に利用するのも良いでしょう。サプリを利用する時のポイントは、DHAです。
DHAドコサヘキサエン酸
ドコサヘキサエン酸 | |
IUPAC名 | (4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-ドコサ-4,7,10,13,16,19-ヘキサエン酸 |
別名 | DHA、セルボン酸 |
分子式 | C22H32O2 |
分子量 | 328.49 |
CAS登録番号 | [6217-54-5] |
形状 | 無色油状 |
・ドコサヘキサエン酸(ドコサヘキサエンさん、Docosahexaenoic acid、略称 DHA )は、不飽和脂肪酸のひとつ。6つの二重結合を含む22個の炭素鎖をもつカルボン酸 (22:6) の総称であるが、通常は生体にとって重要な 4, 7, 10, 13, 16, 19 位に全てシス型の二重結合をもつ、ω-3脂肪酸に分類される化合物を指す。
・魚油に多く含まれ、日本人は魚類を食べることによって多く摂取していたが近年は減少している。 ヒトでは、体内で合成できないα-リノレン酸から体内でDHAを合成するため、広義では必須脂肪酸となる。健康増進効果があるとされ、EPAと同様にサプリメントや食品添加物として利用されている。
・魚やその他の生物に含まれるDHAの多くは、ラビリンチュラ類の1属である Schizochytrium 属などのような海産の微生物によって生産されたものが、食物連鎖の過程で濃縮されたものである。多くの動物は体内でα-リノレン酸を原料としてDHAを生産することができるが、その生産量は極めて少ない。
・ヒトでは、DHAは食品から摂取される以外に、2つの経路によって代謝生産される[1]。どちらも出発原料はα-リノレン酸であるが、中間生成物が異なる。
・ひとつはエイコサペンタエン酸 (20:5, ω-3) を原料とし、鎖長延長酵素によって2炭素増炭されドコサペンタエン酸 (22:5 ω-3) がつくられた後、Δ4-不飽和化酵素によって水素が引き抜かれて生成する過程である。
・もうひとつの経路は、ペルオキシソームあるいはミトコンドリア中で進行すると考えられているもので、エイコサペンタエン酸が2回2炭素増炭されて (24:5 ω-3) となった後、不飽和化されて (24:6 ω-3) となり、その後β酸化によって炭素鎖が切断されDHAが生成する。この経路は”Sprecher’s shunt” として知られている。
・DHAは精液や脳 、網膜のリン脂質に含まれる脂肪酸の主要な成分である。DHAの摂取は血中の中性脂肪(トリグリセライド)量を減少させ、心臓病の危険を低減する。また、DHAが不足すると脳内セロトニンの量が減少し、多動性障害を引き起こすという報告がある[2] 。アルツハイマー型痴呆[3], [4]やうつ病などの疾病に対してもDHAの摂取は有効であるといわれている。
DHAとは、EPAとともに主にマグロやイワシなどの青魚の脂に多く含まれている不飽和脂肪酸と呼ばれている栄養素です。
(不飽和脂肪酸については、EPAの効果で解説しています。)
では、DHAとEPAは、一体なにが違うのでしょうか?
EPAとDHAは血液の流れを良くし、動脈硬化などの生活習慣病を予防するなど、似ている効果を持っています。
しかし、中性脂肪を減少させる効果についてはEPAの方が高く、コレステロールを下げる効果についてはDHAの方が高いと言った、それぞれの得意分野も持っているのです。
・すばらしい効果を解説。
みなさんが、一番気になるDHAの効能について記載しておきますので、食品やサプリメントを上手に利用して、日々の健康に役立てて下さい。
・子供の脳の発達を促進させます!
DHAは、脳の発達段階において必要不可欠な栄養素であるため、成長期にしっかり摂取することで、健全な脳が育ちます。
外国の研究者の中で、欧米諸国と比べて日本人の子供の知能指数が高いのは、DHAを多く含んだ魚をよく食べるからとも言われています。
また、胎児の頃から脳は少しずつ成長していますので、妊婦さんにもしっかりと摂取していただきたい栄養素です。
・脳の活性化に役立ちます!
頭の回転が遅い人と、早い人との違いには、脳内における情報伝達の役割を果たしているシナプス(神経細胞)の量に差があると言われています。
DHAは、シナプスで神経の伝達を活性化する働きを持っているため、判断力や集中力の向上だけでなく、痴呆症の防止効果にも期待されます。
また、脳が柔軟になると脳力がUPすると言われていますが、DHAには細胞膜を柔らかくする効果もあります。
・脳卒中や動脈硬化などの生活習慣病を予防します!
DHAは血液中のコレステロールを下げ、血液をサラサラにします。
また、中性脂肪を下げる働きもありますので、脳卒中や動脈硬化をはじめとした生活習慣病の予防に役立ちます。
・DHAは視力の向上にも役立ちます!
目の中には、脳以上に高濃度のDHAが存在しており、網膜や視神経に重要な栄養素であるため、しっかりと摂取することで、視覚からの情報をスムーズに脳に伝えることができると言われています。
・アトピー性皮膚炎を改善に役立ちます!
アレルギー反応の抑制に役立つDHAは、アレルギー疾患の代表であるアトピー性皮膚炎の改善に役立ちます。
過去にアトピー性皮膚炎患者を対象に有効性を検証したところ、50%に上る改善傾向が見られたとの報告もあります。
・妊婦さんにも大事な栄養素です。
妊娠中には、葉酸をはじめ様々な栄養素が必要になってきますが、上記でも記載しているとおり、DHAも胎児の健全な脳の発育に関与しているため、妊婦さんには大事な栄養素なのです。
オーストラリアの医学誌「Archives of Disease in Childhood」によれば、魚油を摂取した妊婦から生まれてくる子供は、視覚と手の協調関係が優位に優れていたことを掲載しています。
また、妊婦さんには下記の栄養素が必要だと言われています。
・葉酸
・ビタミンB12
・カルシウム
・鉄分
・亜鉛
・魚で摂取する際の注意点。
今現在妊娠中の方、又はこれからお子さんが欲しいと思っている女性にとっては、妊娠中にDHAを多く摂取することの大切さがお分かり頂けたと思います。
しかし、魚からDHAを摂取する場合には下記のような注意が必要となります。
実は、DHAを多く含むマグロ等の大型魚には水銀が含有されていることがあり、たくさん食べ過ぎると、生まれてくる赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があると言われています。
このことは、厚生労働省から発表されていて、注意を呼びかけているところですので、安全性のために、サプリメントを利用することも大事です。
脂肪:主な脂肪酸 | ||
飽和脂肪酸 (斜体は揮発性) |
C1 蟻酸 – C2 酢酸 – C3 プロピオン酸 – C4 酪酸 – C5 吉草酸 – C6 カプロン酸 – C7 エナント酸 – C8 カプリル酸 – C9 ペラルゴン酸 – C10 カプリン酸 – C12 ラウリン酸 – C14 ミリスチン酸 – C15 ペンタデシル酸 – C16 パルミチン酸 – C17 マルガリン酸 – C18 ステアリン酸 – C19 ツベルクロステアリン酸 – C20 アラキジン酸 – C22 ベヘン酸 – C24 リグノセリン酸 | |
不飽和脂肪酸 | ω-3脂肪酸 | α-リノレン酸 – ステアリドン酸 – エイコサペンタエン酸 – ドコサヘキサエン酸 |
ω-6脂肪酸 | リノール酸 – γ-リノレン酸 – ジホモ-γ-リノレン酸 – アラキドン酸 | |
ω-9脂肪酸 | オレイン酸 – エライジン酸 – エルカ酸 – ネルボン酸 | |
主要な生体物質 ペプチド – アミノ酸 – 核酸 – 炭水化物 – 脂肪酸 – テルペノイド – カロテノイド テトラピロール – 補因子 – ステロイド – フラボノイド – アルカロイド – ポリケチド – 配糖体 |
Dr.Sears講演Webinar
2011年8月22日
2013のレポート:脳の思考力に影響せず【米国神経学会】
ω3脂肪酸、思考力に影響せず 【米国神経学会】
血中濃度の高低で思考や記憶に有意差なし
米国神経学会(AAN)は、ω3脂肪酸の摂取が、思考能力に対して、有益な影響を及ぼさないという、新たな試験の所見を紹介した。9月25日付のNeurologyオンライン版に掲載。
これまで、ω3脂肪酸は、認知機能の低下を予防または抑制する物質として高い関心を集めてきたが、高齢女性を対象とした今回の試験では、そうした効果は認められなかった。しかし、この試験を実施した研究者らは、人々が、今回得られた所見に基づいて食生活を変化させるべきではないと考えている。
この研究者らは、今後も、ω3脂肪酸の摂取と、心臓、血管および脳の健康との関連性について、研究を続けていく意向である。研究者らは、魚やナッツが、赤身肉や全脂タイプの乳製品の代わりに摂取すべき、健康的な食品であることが分かっていると述べている。
今回の試験では、65歳から80歳までの女性2157人が、年1回の思考および記憶能力のテストを、平均6年間にわたって受けた。また、血中のω3脂肪酸の測定も、試験の開始前に行われた。その結果、思考能力の低下速度や、記憶能力について、血中ω3脂肪酸濃度の高い群および低い群間に、有意差は存在していなかった。