参考:Quora
Kei Nakahara, 横浜市在住
回答日時:1月10日
先進国の中で日本は奇跡的に新型コロナウイルスによる死亡率が低いとされ、これを”ファクターX“と呼んで、その原因を探るということが2020年春頃に盛んに行われていました。「BCGワクチン」と「交差免疫」という説が有力でした。実際、2021年1月現在でも先進7か国で比較した100万人あたりの死亡率は次のグラフのとおりで、日本は極端に低くなっています(2021年1月9日”worldmeter“のデータから作成)。
しかし、これは日本が特段優れている訳ではなく、アジア圏全体が欧米諸国よりも死亡率が低いだけなのです。
“ファクターX”が話題になっていた2020年の5月末に”worldmeter”からアジアの国々のデータを抽出して感染状況を調べたことがありますが、日本はコロナウイルスの死亡率に関してアジア最悪レベルの死亡率でした。下にはフィリピンがいるだけでした。次のグラフのとおりです。
マスコミはその事実をあまり報道していなかったため(池上彰さんは番組で少し触れていましたが)、日本は世界でも奇跡的な予防を実現している素晴らしい国と信じてしまう人が続出してしまいました。”日本スゴイ”という錯覚が多数派になってしまったのです。
実際には、世界的に賞賛されていたのは、ベトナムや台湾ばかりです。
本日集計した現時点のアジアのデータは次のとおりです。最下位争いからは脱したものの、現在は中の下あたりの成績というところでしょうか。中国、韓国、香港、台湾、タイ、シンガポール、いずれの国より劣っています。
台湾は、いまでも0.3人という高い数字を保ち続けています。日本と比較すると、100分の1以下の死亡率です。いくら日本が超高齢化社会だからといって、それだけではこれだけの差はでないでしょう。
“ファクターX”という言葉が広まったせいで、多くの日本人は欧米の感染状況と比較して”対岸の火事的”な安心をしてしまっています。それは、危険な勘違いです。
アジア圏は同一の条件と考えるべきですから、その中で死亡率が高いということは大きな問題であると認識すべきなのです。
なぜ、日本は、アジアの中で、近代的設備の医療施設も充実しており、皆保険制度もあり、マスクの着用率も高く、几帳面な国民性という要素を持ちながらも、これだけコロナウイルスによる死亡率が高く、周辺国に後塵を拝しているのかその要因を探るべきなのです。ここでは、仮にアジアの中の日本のダメ要因を”ファクターA”と呼びます。
この”ファクターA”の問題点をつぶしていく改革を実施しないと、この状況がダラダラと数年、最悪10年程続いてしまう恐れがあると思います。
政府は、マスク・手洗い・三密防止ばかりを予防法として喧伝していますが、それは残念ながら100年前のスペイン風邪のときと比べて対して代わり映えのしないものです。
(1)多くの人が集まる場所に行かない(2)外出する時はマスクをする(3)うがい薬でうがいをする(4)マスクをしない人が電車内などの人込みでせきをする時は布や紙で口と鼻をおおう(5)せきをしている人には近寄らない(6)頭痛、発熱、せきなどの症状があるときはすぐに医者に(後略)(1919年2月5日付朝日新聞)
ワクチンが開発されることに期待する向きもあると思います。しかし、本日(2021年1月9日)のワクチン関連のYahoo!ニュースのアンケートによると、「当面接種を受ける気がない 31.5%」との結果がありました。
また、交渉の下手な日本人ですから、高値で取引してくれるあとからきた国に横取りされて「製造が遅れているので、あと半年待ってくれ」などと言われておとなしく待っていかねません。
さらに、ワクチン接種が始まったところで、それは一体何年有効なものなのでしょうか?ある報道によると効果は数か月から数年とのことです。
100年前のスペイン風邪は2年程度で収まりましたが、内務省の報告によると、2380万人の患者と38万8000人の死者を出したとあります。当時の日本の人口は5000万余なので、日本人の半数近くが罹患した計算になります。およそ50万人の超過死亡があったとする説もあります。日本人の半数近くが罹患し、ついに集団免疫を獲得することでスペイン風邪が収束したといわれます。
コロナ騒ぎが起こったのがほぼ1年前ですが、現在の日本の感染者数は、1月9日18:30時点28万1992人(NHKのサイトより)です。人口の半分としても6000万人まで罹患しないと集団免疫は効きませんから、現状の200倍の患者がでないかぎり自然収束は期待できません。
今の状況が数年続いてしまったら、経済が疲弊し、壊滅的なダメージを受けてしまうおそれがあります。国亡の危機です。
すでにある統計結果をきちんと受け止め、要因を分析し、対策を講じれば、台湾のように、死亡者数を抑制できるかも知れません。なぜ日本がアジアの中で周辺国に後塵を拝しているのか、”ファクターA”を解明していくべきです。同じウイルスに対して、実際に抑制に成功しているのですから、必ずなにか学ぶべきところがあるはずです。マスク・手洗い・アルコール消毒、三密防止はもちろん基本となるものですが、これ以外にも、鍵となるものがあると思います。
今後、ワクチンだけを頼りにしていると、その接種がうまく行かなかったときに、あとがありません。これから本格的な寒さの時期を迎え、感染が爆発的に増えていくことが予想されます。いまこそ、危機を正しく直視し知恵を結集し、力を合わせて日本を護っていくべきでしょう。
注:アジアの定義は外務省のものに準じています。人口が1000万人以下の国家・地域と、データのない北朝鮮はグラフに入っていません。