歯科治療・水に細菌…機器に滞留し増殖 対策不十分

参考:読売新聞 2015年8月27日

 

歯科治療では通常の水道水が使われていますが、治療装置の維持管理などが適切に行われないと、多くの細菌に汚染された水で治療が行われる心配があります。日本歯科医学会の作業班は、昨年まとめた指針で、細菌対策として消毒液の使用を勧めていますが、消毒液を注入できる装置が普及しておらず、消毒を行っている施設は一部にとどまっています。

歯を削ったり、歯の汚れを除去したりする治療は、患者の口の中に機器から水を注入しながら行われます。この水は、治療が行われない時は、患者が座るチェアに備えられた細い管内に滞留します。時間がたつと水道水の塩素が抜け、元々存在している細菌が増え始めます。細菌は集まって、バイオフィルムと呼ばれる薄い膜を管内に作り、細菌がさらに増えやすい環境を作ります。

体には細菌から身を守る免疫機能が備わっているため、こうした水が体内に入っても問題を起こすことは少ないとみられています。しかし、水の細菌汚染を研究している東京医科歯科大学教授の荒木孝二さんは「高齢者など免疫機能が衰えた人が大量の細菌にさらされると、発熱などの症状が表れる可能性がある。院内感染対策として細菌は少ないに越したことはない」と話します。

荒木さんが班長で昨年まとめた日本歯科医学会作業班の指針では、細菌の増殖を防ぐために、チェアの管に消毒液を毎日入れることを勧めています。消毒液は診療終了後に入れ、次の診療前に全部排出し、新しい水と入れ替えます。ただ、こうした消毒液を注入できるチェアは販売されているものの、一部の歯科しか導入しておらず、消毒液による対策は普及していません。

代わりに多くの施設で行われているのが、チェアの管内にたまった水の排出です。診療前に治療機器ごとに数分間、水を出しっぱなしにして、細菌が少ない新しい水道水で治療ができるようにします。

国内のある歯科医療機関のチェアの水を調べたら、1ミリ・リットル中に3800個もの細菌が存在していました。水道法の水質基準では、細菌数が1ミリ・リットル当たり100個以下と定められており、基準を上回ります。たまっていた水を排出したら、細菌数は4個に減り、水道法の水質基準を満たしました。

だが、たまった水の排出だけで細菌対策が十分だとは言い切れません。バイオフィルムの付着の程度や、元々の水道水に含まれる細菌数など諸条件によって、水質基準以下にならないこともある心配があるためです。

また水の排出を、手間や時間がかかるのを理由に、診療前に行わない歯科医療機関もあります。読売新聞が5月に歯科系大学の付属病院・診療所40施設に対して行ったアンケート結果によると、回答の18施設(45%)のうち、3施設は診療前の水の排出を「行っていない診療科もある」と答えました。細菌対策は、歯科医師を育てる歯科医療機関でも、意識が十分ではありません。

厚生労働省歯科保健課は「歯科で使う水も、水道法の水質基準を満たすことが重要です。水の排出に加えて、消毒液の注入も示されていますが、費用対効果も含め、研究が尽くされたとはいえません。今後、国の研究費などで対策を研究していきたい」としています。(渡辺理雄)

Dr.堤より
多くの歯科医院では、毎日のメンテの中で、細菌の増殖がないような、処置をしている。当院でも各チェアへの配水は、電気的に分解して生成した、酸性水を流し、配管は腐食しないテフロンチューブにしてある。しかしこういう歯科をターゲットにした不適情報の発表は事前に歯科医師会などにその真偽を確かめていないはず、こういうことで、設置器具の業者が儲けるはずだが、前回のタービン内の使い回し情報と同じで、非常に不愉快です。新聞社はしっかり自分の足で、各歯科の情報を集めてそのエビデンスを基にこういう記事を載せるべきで、噂の類を基にした、エビデンスのない告発調の記事は問題だ。

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