ココナッツオイルが効果?「心臓の“肥満症”に治療薬を」【11月9日放送】

参考:2015年11月9日 (月)配信 11月09日(月)05時00分~06時30分/NHK総合

 心臓の細胞に脂肪がたまっていく中性脂肪蓄積心筋血管症は根本的な治療法がありません。しかし最近、治療薬の候補が見つかり研究が進められています。

大阪茨木市に住む和田憲宗さん。2年ほど前から突然呼吸が苦しくなる症状に悩まされています。多い時は毎日発作が起き、生活に支障が出ているといいます。和田さんは今、大阪大学附属病院に通院しています。症状が出てから様々な検査を受けたが病名はわかりませんでした。数カ月後ようやく中性脂肪蓄積心筋血管症と診断されました。

この病気は主治医の平野賢一講師が7年前に発見しました。当時平野医師は、これまでの治療法で効果が見られない重い心臓病の患者を担当していました。患者は心臓移植を受け平野医師は病気で傷んだ心臓を詳しく調べました。すると細胞の中に水滴のようなものが沢山溜まっていました。その正体は中性脂肪、これまで心臓には脂肪はたまらないとされてきましたが、蓄積することが分かりました。

健康な人の心臓では細胞中性脂肪が分解され、エネルギーとなります。しかし病気の患者は、脂肪が分解されずたまりつづけます。このためエネルギーが不足するとともに心臓の壁が厚くなるなどして血液を送り出す機能が弱まると考えられます。さらに心臓をとりまく血管にも脂肪がたまります。健康な人はほとんどありませんが、患者は脂肪分が多く、血管が詰まる心筋梗塞の恐れがあります。

平野賢一講師は、これまで根本的な治療法はありませんでしたが、治療薬の候補となる物質を探していました。そして、ヤシの実などに含まれる「中鎖脂肪酸」の一種に脂肪を減らす効果がある事を突き止めました。平野賢一講師は、油の病気は油で治ると考えていて油汚れを石鹸で落とすのと同じで、よく似たもので対応する事によって減っていくのだといいます。

治療薬として使用できるのかどうかを調べるために、9月から試験が開始。和田さんも投与して安全性などを確かめます。平野賢一医師は「できるだけ早く多くの皆さんに役立つようにしたい」と語りました。臨床試験は来春までに6人の患者を対象に行われ、期間をのばして続けられる予定。治療薬として承認されるとしても数年後になる見込みです。

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