GC社製ファイバーポスト 保険治療に認可される、コスト的に見ても、耐久性は??

参考:中医協 2016年
堤 一樹 2016年1月9日

ファイバーポストを保険適用2016年1月より

改定時以外では初の区分C2

中医協総会が10月28日、厚労省内で開催され、支台築造を行う際に支台歯の補強や維持のために用いるガラスファイバーで補強したレジン材料「ジーシー ファイバーポスト」の保険適用を承認しました。診療報酬改定時以外では区分C2(新機能・新技術)での歯科医療機器の保険適用は初めて。平成28年1月から実施されます。

承認された「ジーシー ファイバーポスト」は、株式会社ジーシーが開発しました。従来はメタルコアや金属既製ポストを用いたレジンコア等による支台築造が行われてきましたが、ガラスファイバーを主成分とするため、金属とは異なりフレキシブルであり、弯曲した根管内においても適切な長さを挿入することが可能になります。また、弾性係数が天然象牙質に近似しているため、支台築造後の歯根破折の減少が期待できます。

保険償還価格は892円で、原価計算方式を用います。厚労省は、年間約272万歯の適用を見込んでいる。

Dr.堤より
すでに、10年以上から進化を続けた、海外でのファイバーポストの処置費用の10分の一の保険点数評価で、はたして?どのくらいの性能のファイバーpostを作れるのだろうか?また、その耐久性の試験評価などを検討してみたい。

 

歯の中が透けて見える、ファイバーコアの保険適応について

堤一樹

 今年10月28日に開催された、第309回中医協総会にて、株式会社ジーシー社製の「ジーシー ファイバーポスト」が平成28年1月より保険適用されることが決まりました。つまり、来年一月からは、銀合金でなく、歯と同じ色のコアポストが保険でも使えます。
でもこれは、国産のGC社の製品だけです。

神経を除去した死んだ歯は、数年後には歯質は乾燥してくるのです。すでに黒く硬く変色している場合、この乾燥が進んでいて、歯が割れやすくなっている場合が多いです。例えば、青い竹はしなやかで、折れません。切って数年経った、黄色い竹は、踏めばパリパリと割れてきます。歯の質も同じで、体液の循環がなくなった失活した歯は、非常に脆く、割れやすいのです。抜歯になった歯の原因の第二位が、根破折です。
失活歯は10年くらいで、根が割れるリスクが増すのです。

歯の根破折という事態を防ぐために、歯の根の芯中央にコアという、支台ポストと言うものを建てます。
保険治療の場合、これが金属の銀合金なのです。2016年1月には、グラスファイバーのポストも保険に認可されますが、多くの歯医者さんが保険で治療している場合。コアポストには銀合金のポストが入ります。銀は酸化すると真っ黒な酸化銀になります。

被せ物の材質の種類にも影響されるのですが、歯の大きさとコアポストの大きさのバランスが取れずに、被せ物の厚みが薄いと中の銀合金の色が透けて、見えます。
保険治療というのは、点数制で、やったか、やらないかという観点だけの評価で、丁寧に精密に、見た目も考え、工夫して作るというのは、Dr自身の感性や、倫理に任されています。30年臨床経験があっても、Dr資格とって臨床経験数年でも、保険の場合の基準を満たしていれば、OK で点数になります。
細心の注意と経験を活かした場合でも、経験が少なく、保険治療レシピにそってやる場合もです。
料理人や職人さんの仕事と同じです。同じ材料で作っても、味も違えば、仕上がりも違う。

歯の中の色が透けて銀色の黒が見える場合、コアポストを小さく削りこんでもらい、被せ物の厚さを増すということも、チェアサイドで、その場で出来きます。もちろん、それは、保険治療内容にないことをするので、Drの判断で、自費治療になる場合もあり、また、制作した歯が前歯なら、当然、見た目も重視するというなら、無料で調整する場合もあるでしょう。
しっかり担当の先生に、色が透けているのを修正してほしいと言うべきでしょう。
患者さんから言われて、初めて気づくことは、私の経験でも、とても多くあります。歯科大学では教えてくれなかったことで、練習時のマネキンでは教えてくれない。だから、患者さんもそのDrにはっきりと伝えることで、Drも気づき、対応します。それがDrの臨床経験を積み上げていきます。

本接着のセメントが、色を遮断するタイプで、オペーク色なら、中のポストの色は、本接着で、ある程度隠れます。
でも、保険の前歯の被せ物の内面にも普通は、オペーク膜が付いていて、中の色が透けないように作るのです。
もしかして今の被せているのも、仮の歯でしょうか?
最近のオールセラミックタイプで、コアポストもグラスファイバーの場合は色が、歯の色なので、最終被せ物は透明感のある自然な色です。これを銀合金のコアポストに被せた場合には、銀合金の色が透けたり、自分の歯が黒く変色している場合は、黒く透けます。

支台ポスト(コアポスト)は、根と口の中にみえる歯冠をしっかり連結します。この中のポストが太すぎたり細すぎたり、根の中に充分に深く、根の半分以上、差し込まれていない、短い場合、数年でポストが噛む力に負けて、接着が剥がれて、脱離したりします。歯の根の周囲の歯質の処理法によっては、歯の根元は、数年でお口の中の食後の酸に犯され、酸蝕で弱くなり、ヒビが入って取れてきたりします。深い部分まで根破折になったら、抜歯となるのです。稀にスーパーボンドでつけてひび割れを治す場合も、数年後には脱離します。

20年くらい前から、このコアポストが歯の根の弾性と同じでない硬い金属合金だと、根の中の接着面が数年で剥離していて、それを知らないで、症状がないので使っているうちに、根にヒビが入り、割れて脱離してから歯医者に駆け込んだ時には、抜歯してインプラントやブリッジの連結修復という流れで。根破折の原因がコアポストの材質にあることがわかってきました。

もちろん、奥歯の欠損や、奥歯の歯周病で奥歯の噛み合わせが低くなって、前歯のコアポストに過大な咬合圧が掛かったり、スルメイカなどを前歯で噛んで引っ張る動作で、根破折となる場合も、先に、この金属のコアポストに接着剥離の緩みがあって、力に負けることで、根破折となるのです。

自費治療では、20年くらい前から、根破折を起こしにくい、グラスファイバーをポストにした、コアポスト(支台ポスト)を使い、歯の根の歯質とも、よく接着する材質で、コアポストと歯の根を強固に一体化しつつ、弾性は歯と同じなので、力が加わった場合でも、歯の根全体に力が分散するので、コアポストがはがれたり、脱離で根破折とならず、100倍以上耐久寿命があるのです。
釣竿やスキー、などしなやかで折れない道具に使われ、強度もあるグラスファイバーは、色もまた透明で、ガラス繊維ですから、銀合金のコアポストと違い、前歯に使った場合でも、歯の裏からの光も透過して、色も歯と同じ色で、どこから、どう観察しても、自然な歯とわからないレベルになります。
歯の表面や、被せ物だけの色でなく、中のコアポストから、透明感のある歯牙色にできるのが、自費のコアポストのファイバーコアです。これが来年は保険に適応になるのです。

でもです。ファイバーポスト、コアポストの製品は世界で、40種ぐらいあり、問題点もあり、信頼できるのは、数社のみ。僕のところでは、ドイツのジルコニアを含んだ、ルクサボンドとルクサペースト、インテグラポストのみ使います。他のメーカは、耐久性に問題ありで、20年間で数例が2年くらいで折れたり、脱離しました。
現在は上記の製品しか使いません。
日本の保険制度に沿った、材料は、治療が2年後に、再度同じ処置の算定を認めているので、ある意味、2年過ぎたら、耐久性はないと考えます。保険点数で900円のファイバーポストコアは、メーカーはその点数に見合った、コストでしか、材料を作れません。
海外では、コアポストは5万から10万の間のプライスで行われていますから、僕は到底、GCのファイバーポストを使う気はないので、コアポストは自費治療のままでしょう。

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