【ワシントン共同】米製薬会社ギリアド・サイエンシズは２９日、新型コロナウイルス感染症の治療薬として日本政府が特例承認したレムデシビルについて、先進国政府向け販売価格を１人当たり２３４０ドル（約２５万円）と発表しました。

　同社はこれまで米国や日本に無償提供してきました。日本の特例承認は人工呼吸器などを用いる重症患者が対象です。日本の厚生労働省によると、新型コロナの入院治療費は公費負担しており、レムデシビルについても引き続き患者の費用負担はありません。

　ギリアド社は「購買力の低い先進国にも手の届く価格に引き下げた」と説明しています。７～９月の生産量のほとんどは米国政府に供給します。

　レムデシビルは、初期臨床試験で入院患者の回復期間を短縮すると評価されましたが、死亡率の改善は確認されていません。

　ギリアド社によると、瓶１本の価格は３９０ドル。１人分を６本と想定しています。米政府は７月生産予定の全量、８～９月生産予定の９割に当たる計５０万人超の治療分を確保したと発表しました。

　発展途上国向けに低価格で供給できるよう、他社と協力してジェネリック薬（後発薬）の生産も進めるとしています。