くらしナビ・医療・健康:妊婦だからこその口腔ケア

参考:2019年12月25日 (水)配信 毎日新聞

 口の中の環境が変わり、つわりで歯磨きが難しくなるなど、妊娠中は歯周病や虫歯になりやすいです。歯周病は早産のリスクが高いという報告もあり、専門家は「妊娠中でも口の中を清潔に保つ習慣を身につけて、生まれてくる子どものケアにつなげてほしい」と訴えます。

 ●歯周病・早産リスク

 「歯と歯の間の歯肉が、きれいな三角形になっているかチェックしてみて」。10月上旬、東京都文京区主催の母親学級で、歯科衛生士の鈴木絢子さんが約15人の妊婦に呼びかけました。鏡を持って自身の歯茎を見つめる参加者に、鈴木さんは「妊娠中は女性ホルモンが増えるが、歯周病菌は女性ホルモンが大好き。菌が増えて、歯茎の腫れや出血が増えやすい」と説明しました。

 磨き残しがなくなる歯磨きの方法として、「スタートとゴールを決めて、一筆書きのようにブラッシングするといい」などと助言。じっとしているのが苦手な乳幼児の歯磨きも、いつも同じスタートとゴールの歯を決めると、見通しが立って協力してくれやすいといいます。参加した妊娠4カ月の女性会社員(28)は「つわりで空腹になると気持ち悪くなるので間食が増えた。歯茎が少し腫れ気味だったので、安定期になったら歯科健診に行きたい」と話しました。

 妊娠中は、つわりによる嘔吐(おうと)や唾液の減少で口の中が酸性になりやすく、虫歯になりやすいです。女性ホルモンの増加に伴い歯周病菌が増え、歯周病のリスクも高まります。成人の約7割がかかる歯周病は糖尿病や肥満、認知症につながると言われます。妊婦の場合、歯周病の炎症物質が子宮収縮を誘発すると考えられ、早産の危険が1・78倍、低体重児出産の危険は1・82倍になるという報告もあります。

 ●治療は妊娠中期に

 「ライオン」は、ホームページで妊娠期(初期、中期、後期)に分けて口腔(こうくう)ケアの方法を紹介しています。例えば、初期はつわりがあるため「ヘッドの小さい歯ブラシを使う」「マウスウオッシュを使う」などと助言。中期は一度に食べられる量が減って間食が増える時期なので、食後の歯磨きが重要です。また、体調が安定する時期なので、治療を受けるのに適しているといいます。後期は、出産準備で忙しくなる時期。母親に虫歯がある場合、子どもが2歳になった時の虫歯の割合が3倍になるというデータを紹介し、赤ちゃんに虫歯菌をうつさないよう引き続き口腔ケアを心掛けてと呼びかけます。

 ●予防歯科の心がけ

 今年9月末から、日本産科婦人科学会が監修する妊産婦向けスマホアプリ「Babyプラス」で、日本歯科医師会が監修する予防歯科情報の提供が始まりました。歯科医院での定期的な健診で歯磨き指導を受けると同時に、自身でも歯磨きやデンタルフロスなどのセルフケアを行うよう勧めています。妊娠中の歯科治療について、よく寄せられる心配事についても回答。例えば、エックス線撮影した時の胎児への影響については、「歯科治療で使うエックス線の放射線量はごくわずか。子宮から離れており、影響はないと考えられている」と助言。麻酔の使用についても「局所麻酔で、使用量もわずか。胎児には影響はない」と解説します。日産婦の木村正理事長は「妊娠中の口腔ケアは非常に大切。自身の体を考えるいいきっかけになる」と話しています。【大沢瑞季】=次回の「医療・健康」のページは1月15日に掲載します。

Dr.堤より
つわりは脳の酸素欠乏状態なんです。深呼吸をすることで、症状は改善します。歯ブラシだけでなく、フロスが重要。

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